重要な2020年再検討会議を前に、高まる不安
【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
広島・長崎の被爆者や、核兵器の受け入れがたい残虐性を直接体験した人々が住む両市の市長、その他の市民団体の代表、国連は、核不拡散と核軍縮の行方について懸念を強めている。
国連軍縮局によると、広島・長崎の原爆被爆者を代表する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の藤森俊希事務次長らが10月11日、約1051万人分の「ヒバクシャ国際署名」を、サチャ・ヨレンティー第74回国連総会第一委員会議長と中満泉・国連事務次長・軍縮担当上級代表に提出した。
国連事務総長が描く、創設75周年に向けた青写真
【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】
国連の機能を脅かす財政難によって複雑化する様々な危機が進行する中で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、国連の死活的な重要性を強調する計画を発表した。「2020年は、国連創設75周年の一環として『私たちが望む未来』の構築にグローバルな協力が果たす役割に関する大規模かつ包摂的なグローバル対話に焦点を当てることになるだろう。」とグテーレス事務総長は語った。
「『国連デー』は、74年前に発効した国連憲章の不朽の理想を記念する日です。荒れ狂う海のような世界の中で、国連憲章は依然として私たちをつなぎとめる道徳的な錨(いかり)の役割を果たしています。」とグテーレス事務総長は強調した。
「印パ間の核戦争が世界的大惨事を引きおこす」と新研究が警告
【ボルダー(コロラド)IDN=ダニエル・ストレイン】
インド・パキスタン間の核戦争は、第二次世界大戦6年間の死者を上回る5000万~1億2500万人の死者を1週間弱の間にもたらす可能性があるとの新たな研究結果が発表された。
コロラド大学ボルダー校とラトガーズ大学の研究者らが行った新たな研究は、(印パ両国間の)紛争を想定し、それが世界全体にどういった波及効果を及ぼすかを考察している。今日、インドとパキスタンはそれぞれ約150発の核兵器を保有しており、2025年までには200発以上に増加するものと見られている。
|カザフスタン|IAEAの低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンクが運営開始
【ウィーンIDN=ラインハルト・ヤコブセン】
国際原子力機関(IAEA)は、カザフスタンに設置した「低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンク」が運営可能になったと発表した。低濃縮ウラン(LEU)バンクは、ウラン濃縮能力のない国々が安定した核燃料提供を受けられるようにすることで、核不拡散条約が加盟国に認めている「核の平和利用」を保障すると同時に、核不拡散の強化に貢献することを目的としている。
IAEAは10月17日に最初の核燃料の納入を受け、正式に運用可能になったと発表した。IAEAが保有しカザフスタンが管理する同バンクは10月17日に最初の核燃料の納入を受け、正式に運営を開始した。IAEAは1957年の創立以来、最も意欲的かつ挑戦的なプロジェクトが本格的に始動したとしている。
核兵器廃絶展を通じて絆を深める日本とカザフスタン
【ヌルスルタン(カザフスタン)IDN=浅霧勝浩】
2019年は、ソビエト連邦の主要核実験場であったセミパラチンスクでの核実験に終止符が打たれてから30周年、また、中央アジア非核兵器地帯条約(セメイ条約)の発効より10周年にあたる。さらに、カザフスタンが核実験に反対する国際デー(8月29日)に核兵器禁止条約に批准し、26カ国目の批准国となった年でもある。
カザフスタンは世界から核兵器を廃絶すべく熱心に取り組んできた国として知られている。同国では1949年から40年にわたり、456回の核実験が行われ、150万人以上が健康被害を受けてきたとされている。
国連事務総長、反転する核軍縮への動きに懸念
【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】
国連が「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」を迎えた9月26日、アントニオ・グテーレス事務総長は、世界が直面している2つの政治的現実について強調した。
事務総長は第一に、核軍縮の進展が停滞しているどころか、むしろ「反転している」と警告した。そして第二に、「核保有国間の関係が不信に塗れており、核兵器の有用性に関する危険なレトリックが強まってきている。」と指摘した。
アイスランドで基地増強に懸念
【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】
米軍は2006年に、アイスランドにあるケフラビク国際空港に附属する基地(同国南西端)を放棄し、撤退したとみなされていた。
しかし、マイク・ペンス副大統領の今年9月初めのアイスランド訪問、マイク・ポンペオ国務長官の2月の訪問といった最近の出来事は、それとは違う動機を明らかにしている。
「気候変動との闘いの道は長い」―国連事務総長の嘆き
【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】
国連が主催して9月23日に開催された「気候行動サミット」は、世界の指導者らが集うハイレベル会合であると謳われていたにも関わらず、それほど印象的な結果を残すことなく終わった。
ハリケーン・干ばつ・洪水・熱波といった、差し迫った「気候の緊急事態」に関して国連のアントニオ・グテーレス事務総長からの警告があったにも関わらず、そのほとんどが元首であるサミットの発言者は、わずかに64人であった。
国連ハイレベル会合、CTBT早期発効を訴え
【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】
10年前の2009年12月2日、第64回国連総会が8月29日を「核実験に反対する国際デー」と定める決議64/35を全会一致で採択した。決議は、カザフスタンを中心とする多くの共同提出国によって出されたもので、1991年8月29日にセミパラチンスク核実験場が閉鎖されたことを記念するものだ。
第74回国連総会は9月9日、世界各地で8月29日に行われた各種イベントのフォローアップとして、ハイレベル会合を招集した。8月29日は旧ソ連・セミパラチンスク核実験場が1991年に閉鎖された日でもあり、1949年にソ連の核実験が初めて実施された日でもあるという、象徴的な一日である。
国連、インドの原子力供給国グループ入り支持を否定
【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】
核兵器を保有するインド、パキスタン、イスラエルの3カ国は、核不拡散条約(NPT)の「核兵器国」として認知されていない。この核兵器国という「特権」は米国・英国・ロシア・フランス・中国だけに与えられているものであるが、この5カ国は同時に「原子力供給国グループ」(NSG)の加盟国でもある。
しかし、『エコノミック・タイムズ誌』(ニューデリー)は、「待ち望まれたインドのNSG加盟をアントニオ・グテーレスが支持」と題する記事で、「インドは民生用核事業に対して国連という大きな支援を得た。アントニオ・グテーレス事務総長が、ナレンドラ・モディ首相との会談でインドのNSG加盟支持を表明したのである。」と報じた。