核なき世界へ向けた次のステップ(モハメド・エルバラダイ)
50年前、世界の指導者たちは、いまだかつて経験したことのないような危機に対処しようとしていた。
核兵器の脅威である。広島・長崎で恐るべき惨禍をもたらした原子の力をさらに多くの国々が手に入れようとしていた。
[米国のアイゼンハワー大統領による]「平和のための原子力」構想が生まれ、国際原子力機関(IAEA)が創設されたのはこうした状況下においてであった。
さらに、1970年、核不拡散条約(NPT)が発効した。この条約の内容は以下の3つである。まず、非核兵器国は核兵器保有を断念すること。それと引き換えに、当時の5つの核兵器保有国は完全核軍縮に向かって努力すること。最後に、核技術を保有している国家は、他の条約加盟国と核の平和利用技術を共有することである。