IDN JAPAN COVID-19 UN Insider
アフガニスタンという不安

IDN-InDepth Newsオピニオン=ジュリオ・ゴドイ】

 

米国がベトナム戦争での大失敗から学んだことのひとつは、戦争を始める前に「出口戦略」を策定しておくのが必須だということだ。もっとも、「出口戦略」というのは婉曲表現で、実のところ、「自国兵士の死体が積み上がり、戦争に勝つ見込みがなくなってきた際に、体面を失わずにいかに戦争を終わらせるか」ということだ。

1980年代には、出口戦略はいくつかの形を取っていた。かたや、徴兵制をやめて志願兵制に移行した。こうして、1960年代から70年代の平和運動の中核を占めた中産階級の若者は戦地に行く必要がなくなり、戦争はテレビで見るものになった。そのかわり、「ルンペンプロレタリアート」とでも呼ぶべき貧しい黒人、そして後にはラテンアメリカからの移民の若者たちが兵士となった。因みに2003年、イラク戦争における米軍最初の戦死者は、グアテマラ生まれの、ほぼ文盲で身寄りのない不法移民の青年だった。彼は熱望したグリーンカード(米国の外国人永住権及びその資格証明書)を獲得するための最短距離と考え、米軍に入隊したのだった。

|日本|誇りと慎重さをもって(海部俊樹元総理大臣インタビュー)

【ベルリンIDN-InDepth News=ラメシュ・ジャウラ】

 

海部俊樹元総理大臣は、79歳になった今も、政治的な読みの深さと生命と政治に対する人間味溢れるアプローチで、日本国内はもとより広く海外においても尊敬を集めている。

海部氏は、IDNのインタビューの中で、活発な政治人生における早期の取組みを誇りと満足感を持って振返るとともに、細心の注意をもって世界の現状を考察し、将来に影響を及ぼす詮議中の政策については慎重な対応をアドバイスした。

ボイコットだけでは事態は悪化する(エーリク・ソールハイム)

IPSコラム=エーリク・ソールハイム】

 

ハマスとの接触を断て!イスラエルと話をするな!ビルマから距離をとれ!過去の長きにわたって、望ましくない体制とは接触するなとのこうした叫びが繰り返されてきた。

しかし、タカ派というべきイスラエルの
ダヤン元外相の次の発言を思い出してみるべきだ。「もし平和を作り出したければ、友人と話をするな。敵と話をすべきである」。

「世界共通の人権文化として定着させることが重要」(創価学会インタナショナル池田大作会長インタビュー)

Seikyo Shimbun
【国連IPS=タリフ・ディーン】

 

世界人権宣言が国連で採択されて60周年を迎える今年、東京に本拠を置く創価学会インタナショナル(SGI)が、「人権教育に関する会議」の開催を呼びかけている。

SGIは、世界190カ国地域、1200万人以上の会員を擁する非政府組織で、提案の会議は市民社会を中心とすべきと訴える。



SGIの
池田大作会長は、従来人権問題は主に政府によって取り組まれてきたし、またそうあるべきだと認めながらも、「人権の尊重を政府レベルの議論にとどめるだけではいけない」と述べた。


「人々の現実生活に深く根差した世界共通の『人権文化』として定着させることが重要」と、世界平和を希求する仏法者で著作家でもある池田会長は語った。


会議開催に対する日本の政治的支援はあるかとの質問に対し、会長は次のように答えた。「この課題に関しては、日本やその他の国の政治的支援とともに、より一層深く、市民社会の役割に期待したいところです」


IPS
国連総局長の
タリフ・ディーンのインタビューに応えた池田会長は「この会議は、人権理事会で人権教育の問題を取り上げているいくつかの政府からの関心を得ています。もちろんそれは極めて歓迎すべきですが、あくまで、市民社会のイニシアチブに基づく会議という本質を損なわないようにすべきでしょう」と述べた。

|視点|原子力にイエス、核拡散にノー

【ウィーンIDN=クリーブ・バネルジー】

 

原子力という言葉は、クリーン・エネルギーを主唱している者にとって禁句である。従って、重要な非化石エネルギー源として原子力を擁護するにはちょっとした勇気を要する。

日本のベテラン外交官である天野之弥氏が、
国際原子力機関(IAEAの事務局長職について7日後の12月9日にやろうとしたのは、まさにこのことであった。

天野氏は、151加盟国の代表に対して、原子力は「地球温暖化の影響を軽減する安定的でクリーンなエネルギー源としてますます受け入れられるようになっている。」と演説した。


この発言がなされたのは、デンマークの首都コペンハーゲンで気候変動に関する歴史的な国際会議が開催される2日前のことで、途上国・新興国が、先進国と角を突き合せんとしているところであった。


「多くの加盟国が、新しい原子力計画の開始、あるいは既存計画の拡張を非常に重視していることを表明しています。」「原子力新興国のニーズに対応するため、IAEAは活動の焦点をかなりの程度変えてきました。これまでの成果を生かし、できるだけ現実的で、受け手国の役に立つように、能力構築(キャパシティ・ビルディング)などの分野で支援を行っていきたいと考えています。」と、天野氏は語った。

暴力からの解放はあらゆる女性の権利(ニコール・キッドマン)

The actress Nicole Kidman at the U.N. on Nov. 25, the International Day for the Elimination of Violence against Women. Credit: Wolfgang Kerler/IPSIPSコラム=ニコール・キッドマン】

 

女性の3人に1人は、虐待や暴力を耐え忍んで暮らしています。これは広く行われている恐ろしい人権侵害ですが、目に見えない、認識の薄い現代の疫病の1つとなっています。考えてみてください。女性あるいは少女であることで危険に晒されるのです。更に驚くのは、多くの人々、社会の中枢あるいは政府の回廊にいる人々までもが、女性に対する暴力は避けられないと思っている事実です。

私たちはこの精神構造を変える必要があります。女性に対する暴力を認識し、人権侵害として対応することが重要です。家庭内暴力であれ戦時下の暴行であれ、女性性器切除や強制結婚あるいは若年結婚といった慣習であれ、女性に対する暴力は許されない犯罪です。女性に対する暴力は、何処で起ころうとも法的裁きを受けるべきです。

|Q&A|「これ以上、地球温暖化を進行させる訳にはいかない」(レスター・ブラウン、アースポリシー研究所創立者インタビュー)

Dr. Lester Brown

【アクスブリッジ(カナダ)IPS

 

レスター・ブラウン氏は、「自分の見解は時々極端に聞こえるかもしれない。それは主流メディアが、破滅的な気候変動を避ける緊急性やそのための様々な難題について、ほとんど理解していないからです。」と言う。

ワシントンDCに本拠を置くアースポリシー研究所の設立者であり所長も務めるブラウン氏は、世界で最も影響力のある思想家の一人と考えられている。


「私が極端論者のように見えるのは、主流メディアが今日の世界の状況を正確に報じていないからです。」とブラウン氏は言う。


ブラウン氏はニュージャージー州の農家出身で、ラトガーズ大学、ハーバード大学で農学・行政学を修めた後、1960年代に農務省に入省、国際農業開発局長を務めた。1974年に
ワールドウォッチ研究所を設立した。

なぜ核兵器を廃絶するのか(梅林宏道)

Mr. Hiromichi Umebayashi

IPSコラム=梅林宏道】

 

「なぜ核兵器廃絶なのか?」この素朴な問いが最先端の問題になっているように思われる。広島、長崎の原爆投下を経験した日本においては、核兵器のもたらす非人道的な惨害が核兵器廃絶を求める深い願望として存在している。しかし、これだけでは「核兵器のない世界」のビジョンを描くには不十分だ。核兵器廃絶の努力は、より平等で、公正で、人間的な地球社会を創り出そうとする挑戦に強く結び付くものでなければならない。

米国で新たに反核イニシアチブが始まり「核兵器のない世界」という概念が現実的な目標として再浮上したことで、私は改めてこの「なぜ」という問いに直面した。


貧困や気候変動といった問題に対するグローバルな取組みは、あたかも人間社会が律せられるべき暗黙の規範に導かれているかのように、当然のことと考えられる傾向にある。しかし核兵器廃絶運動は、それとは対照的に、国の安全保障との関連から個別兵器の問題の枠組みに閉じ込められがちである。核廃絶の問題は、倫理上の、グローバルな人間にかかわる問題として見られないのである。従って、核廃絶運動を成功させるためには、私たちは思考基盤において、より広い空間に出る必要がある。

アフガニスタンの女性差別法に世界からの圧力を(エマ・ボニーノ)

 

IPSコラム=エマ・ボニーノ】

 

アフガニスタンにおいてシーア派民法が成立したと報じられたとき、夫婦間でのレイプが合法化されたと聞いた私たちには衝撃が走った。しかし、よくよく検討してみると、法律は私たちが考えているものよりもずっと悪いものであることがわかったのである。

レイプの合法化はそれ自体恐ろしいものではあるが、それよりも問題なのは、女性を公的に第2級の市民の地位に貶めていることだ。


法律では、女性の行動に制限をかけることが合法化されている。子どもに関する決定、女性による医療・教育サービスの利用などについても。


今年後半に行われるアフガニスタン大統領選挙で急進的な
シーア派の支持を勝ち取るために、このような民法が制定されたとの見方もある。しかし、私たちは、こんな「和解」のために、女性の基本的人権を犠牲にする法律の成立を容認することはできない。

|キューバ|世界的危機を超えて、そしてその裏で(レオナルド・パドゥラ・フエンテス)

私たちキューバ人は、世界中を襲っている「経済危機」という言葉を聴いても、おそらくもっとも小さな恐れしか抱かない人々であろう。というのも、ポストソ連期の1990年代、私たちは長期にわたるモノ不足と貧困に悩まされたからだ。それは、婉曲的に、「平和な時代の特別期」と呼ばれている。私たちは、食料や電気、交通手段、住宅、医療、衣服などあらゆるものがない時代を生き抜くすべを学んできた。

停電が毎日のように起こり、主要な移動手段が自転車であった90年代、キューバではあるジョークがはやっていた。それは、「キューバ人にはたった3つの悩みしかない。それは、朝食、昼食、夕食だ」。

 

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