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凍てついた軍縮交渉再開のために(ジョン・バローズ核政策法律家委員会(LCNP)事務局長)

IPSコラム=ジョン・バローズ】

2008年以来、「核兵器なき世界」を実現することがいかに望ましいか、それがいかに必要かということが、とりわけ国連の潘基文事務総長や米国のバラク・オバマ大統領など、多くの人々によって声高に語られてきた。しかし、ジュネーブ軍縮会議(CD)は、こうした明確なレトリックの変化からは超然としており、依然として行き詰まりの中にある。

全会一致ルールによって運営されるこの会議は、すべての核爆発実験を禁止する合意のテキストを1996年に生み出してからは、何の交渉も行ってこなかった。

|視点|世界を核の連鎖から解き放つ(ザンテ・ホール核軍縮・不拡散議員連盟欧州コーディネーター)

【ベルリンIDN=ザンテ・ホール】

原子力エネルギーの放棄や核兵器の廃絶が語られているが、それだけでは十分ではありません。それらは私たちを結びつけている『核の連鎖』とも言うべき大きな生産の連鎖の中の、目に見える生産物に過ぎないのです。そしてこの核の連鎖は、私たちが一般に認識しているよりも遥かに深刻な危害をもたらすものなのです。

核の連鎖の入口は、原子力エネルギーと核兵器共通の原料である「ウランの採掘」です。

そして次の連鎖は「ウラン濃縮」です。遠心分離技術でウラン濃縮が行われますが、ウランが発電に使われるか核兵器開発に使われるかを規定するものは、単に濃縮段階の問題にすぎないのが実態です。

|視点|「恒常的な戦争状態」を作り出しているものは何か?(ガレス・ポーター:歴史家)

Gareth Porter【IPS東京=浅霧勝浩】

米国安全保障政策専門の歴史家で、中東情勢を中心に長年IPSに分析記事を寄稿してきたガレス・ポーター氏による講演「Speaking Truth to Power: a permanent state of war」の映像をご紹介します。


講演の中でポーター記者は、今日の戦争に続く戦争を作り出している構造的な問題について、歴史的な背景を紐解きながら解説するとともに、この「恒常的な戦争状態」から抜け出す方策として、1961年のドワイト・D・アイゼンハワー大統領の退任演説に言及し、アメリカ人自身が「真実を見極め、軍産複合体を油断なく警戒し続ける見識ある市民社会」を成熟させていく必要があると述べています。

すべての形態の平等に銃を向けた男(ウテ・ショープ)

【ベルリンIDN=ウテ・ショープ】Ute Scheub/ Lernhaus der Frauen

 

ムスリムを極端に嫌っていただけではない。彼は、多文化主義を忌み嫌い、女性を嫌っていた。それが、彼の自称「マニフェスト」を貫く赤い糸である。

アンネシュ・ブレイビク[7月22日にノルウェーで起きたテロ事件の容疑者]のイスラム教への敵視は、国家人民主義、原理主義的なキリスト教の考え方に由来している。彼の目的は、男性が女性の上位に、白人が非白人の上位に、キリスト教徒がイスラム教徒の上位に来る階層的な秩序を、崩壊の危機から救うことにあった。

ブレイビクは、男女平等と「ジェンダーの主流化」を達成し男性のアイデンティティーを抹消しようとする「全体男女同権主義」の撲滅を訴えるブロガー"Fjordman"を自身の思想的模範と仰いて、自称「マニフェスト」の中に同氏の主張を数多く引用している。離婚、経口避妊薬、同性愛これらはブレイビクにとって、神の天罰が下るべき憎悪の対象であった。

|軍縮|福島原発危機にあたって、広島を想起する(ラメシュ・ジャウラ国際協力評議会会長)

IDNベルリン/広島=ラメシュ・ジャウラ】

 

前代未聞のマグニチュード9.0の地震と津波に続いて起こった福島原発事故の映像は、2008年5月の私の初めての広島訪問と、2010年9月の2回目の訪問の記憶を呼び起こさずにはいられなかった。

広島平和記念公園
に穏やかにたたずむ像は、広島・長崎の悲劇を二度と起こしてはならないという人類の強い願いを象徴する多くの千羽鶴によって飾られていた。米国がはじめて核兵器を投下した両市では、約25万人が死亡した。皮肉ではないにしても婉曲的な言い回しで、米国はそれぞれの核兵器を「リトルボーイ」「ファットマン」と名づけた。

原爆の子の像」と銘打たれたその像は、65年前、原爆投下とそれに伴う無辜の若い身体を貫通した放射線の犠牲となった、佐々木禎子をはじめとする多くの子どもたちを記憶に留めるものだ。

「復興へ創造的応戦を」(池田大作創価学会インタナショナル会長)

IPS コラム=池田大作】Dr. Daisaku Ikeda/ Seikyo Shimbun

 

人間の心は、妙なる力を秘めている。それは、いかなる絶望からも、「希望」を生み出す力である。最悪の悲劇からさえも蘇生し、「価値」を創造する力である。3月11日に東日本を襲った大震災においても例外ではない。

大地震・大津波の発生後、世界中の方々から、ありとあらゆる形で励ましのお見舞い、真心あふれる救援、支援をいただいた。私たち日本人は、この恩義を決して忘れることなく、道は遠くとも、未来を見つめて、復興への歩みを断固として進めていきたい。それが、世界の皆様から寄せていただいた無量の善意への御恩返しと確信するからだ。

歴史家アーノルド・トインビー博士は、「挑戦と応戦」という法則を強調されていた。

「文明というものは、つぎつぎに間断なく襲いきたる挑戦に対応することに成功することによって誕生し、成長するものである」

今こそ「オープンガバメント」の推進を!-東日本大震災・被災者支援で必要な視点(谷本晴樹「政策空間」編集委員)

阪神淡路大震災があった1995年、後にこの年が「ボランティア元年」といわれたように、東日本大震災のあった本年は、いずれ「オープンガバメント元年」と振り返られる時がくるのではないだろうか。

今回の震災を契機として、「オープンガバメント」と呼ばれる、政府の情報公開と官民の新たな連携が、急速に進んでいる。この流れをより強固なものとし、さらに拡大していくことが、現在の支援活動をより効果的なものにするだろう。そして長引く避難生活での二次被害を防ぐことに繋がるはずである。そこで本稿では、この震災で登場した「オープンガバメント」の萌芽について紹介しつつ、これから乗り越えるべき課題について検討していきたい。

|視点|鄧小平の中国とアラブの専制政治を混同してはならない(シャストリ・ラマンチャンダラン)

 

【ニューデリーIDN=シャストリ・ラマンチャンダラン】

 

アラブの独裁体制に対するとめどもない民衆蜂起の波が、ひとつの問いを呼び起こしている。すなわち、「アラブを席巻している変化の風は、中国の民衆を政府に対峙させることになるのかどうか」という問いである。

中国においてアラブ諸国が直面しているような騒動が顕在化していない背景には、多くの理由が考えられるが、そうした理由は偏見を排除した目で同国を観察すれば明らかに理解できることである。

|軍縮|究極のテロ兵器(デイビッド・クリーガー核時代平和財団所長)

IPSコラム=デイビッド・クリーガー】

 

核兵器は究極のテロ兵器である。それがテロ組織の手にあろうとも、国家の指導者の手にあろうとも。それは、男、女、子どもを無差別に殺す大量殺戮の兵器なのである。多くの人々は核兵器がテロ組織の手に落ちることを恐れているが、誰の手にあっても、核兵器がテロ兵器であることを忘れてはいけない。

核兵器のテロリスト的性格や、それが文明を破壊する能力を考え合わせると、それを多くの人々が現状を受け入れているのはなぜなのか、という疑問が浮かぶ。あるいは、少なくとも、多くの人々が核の脅威を問題視していないのはなぜなのだろうか?私が長年にわたって考え続けてきた問題である。


なぜ核兵器が受け入れられるかと言えば、それは
核抑止の理論のためである。その支持者らは、核抑止は平和を保ってきたし、これからもそうであろうと考えている。この理論は、人間の行動に関する多くの前提を基礎としている。たとえば、政治的・軍事的指導者の持つ合理性である。しかし、すべての指導者が、いつ何時でも、いかなる状況においても合理的に行動するとは限らないことは明白である。この理論の前提は、(指導者間に)明確な意思疎通があることと、報復として核兵器を使用するとの脅しが相手方の指導者によって信じられることである。しかし、我々の知るかぎり、意思疎通は常に明確とは限らないし、思い違いがある考えを形成してしまうこともある。

|軍縮|核保有国のダブル・スタンダード(レイ・アチソン「リーチング・クリティカル・ウィル」代表)

IPSコラム=レイ・アチソン

 

2月5日、新しい戦略兵器削減条約(START)が発効した。新STARTは、いかなる時点においても核弾頭の配備数を1550発までに制限する米露間の協定である(旧協定では上限が1700~2200発)。しかし、協定では核弾頭保有数までは制限していない。現在、米国が8500発、ロシアが1万1000発保有しているとみられている。

軍備管理や軍縮を求める多くの人々が、STARTはひとつの勝利であるとして歓迎した。彼らによれば、条約は軍縮にはそれほど寄与しないが、実際の削減への道を開き、核兵器二大保有国の関係強化に資するという。

しかし、現実には、条約は核軍縮の未来にとって深刻な帰結をもたらしている。オバマ政権は、米上院による条約批准と引き換えに、核兵器とその運搬手段、関連インフラを今後20年にわたって近代化するために1850億ドルを投資することを約束したのである。同じく、ロシア下院(ドゥーマ)は、新型の戦略攻撃兵器の開発・製造と、戦略的核戦力に必要な研究開発基盤と生産能力の保持・発展にロシア政府が投資を行うという条件付きで、条約を批准した。

 

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