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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

不確実な将来に直面するアフガニスタン(レト・ストッカー赤十字国際委員会カブール代表部首席代表)

【カブールIDN=レト・ストッカー】Reto Stocker

 

アフガニスタでは多くの国民が、「故郷を離れたい」と漏らします。紛争に明け暮れたこの10年間の中でいったい何が改善されたのか、彼らの目にはよく見えないのです。たしかにインフラや通信の分野をはじめとして、この間に環境が向上したものは少なくありません。

しかし大半の国民にとって、祖国は依然として戦争状態にあり、事態が好転する兆しは見えてこないのです。従って、今日のアフガニスタン社会全体を見渡せば、「絶望的な気分が漂っている」と言わざるを得ない状況です。
 
また最近は、医師が治療をしようとしても邪魔されるケースをよく耳にするようになりました。敵対する派閥に属する患者が治療されることを望まない軍閥からの横やりによるものです。しかし、このような行為は、全ての負傷者・病人に安全で時宜にかなった医療を提供するという私たちの活動の根幹を脅かすものです。

 
赤十字国際委員会(ICRC
では、アフガニスタンでの任務の一部として、保健省を支援して住民に医療を提供しています。例えば、350万人の地域住民にサービスを提供している南部カンダハール州にあるミルワイス地区病院ICRCが96年に設立した戦傷外科病院)では、活動の全般に亘って支援を行っています。また、アフガニスタン国内に赤十字が運営するリハビリセンターが全部で7ヶ所あり、この20年の間に10万人の身体障害者を支援してきました。

囚人の処遇問題:

アフガニスタンは「法の支配」の側面においても重大な局面を迎えています。現在、囚人処遇の権限を多国籍軍からアフガニスタン政府当局に移す手続きが進められていますが、多国籍軍側は、権限移管後も囚人が国際人道法に基づいて適切な処遇が受けられるよう、政府側の保障を取り付けなければなりません。

そしてそれを確実なものにするためにも、移管プロセスの前後に亘ってモニタリングを継続していくことが極めて重要になります。拘留中の囚人には、国際人道法の規定により、適正手続きや裁判上の保障を受ける権利があります。ICRCは、中立的な立場から囚人に接見し、調査内容に国際人道法に基づく勧告を付けて全ての関係者と共有することで、囚人の人権保護のためにある程度の影響力を行使することができるのです。

また、2014年末に向けてアフガニスタン政府管轄の刑務所に、ますます多くの囚人が引き渡される見通しであることから、こうした変化に対応できる刑務所管理体制をいかに構築していくかという点も大きな課題となっています。

囚人の処遇問題については、ここ数年間で、多国籍軍及びアフガニスタン政府双方と徐々に前向きな協議が出来るようになってきました。またICRCは、タリバン、ハカニネットワーク、ヒスビ・イスラミを含む反政府武装勢力とも、国際人道法の下で捕虜に対する人道的取扱いが彼らにも義務付けられている事実について、対話を継続しています。

多国籍軍の削減問題:

そうした中、多国籍軍の撤退を加速させる議論が現在浮上しており、ICRCとしても、従来から行ってきた戦闘行為と市民の保護に関する対話活動の重点を、多国籍軍からアフガニスタ自体の各種治安部門に、早急にシフトしてなければならないと考えています。

米国をはじめとする多国籍軍派遣諸国は、これまでアフガンニスタンの国軍や警察の他にも、多数の民間武装組織に対する訓練・支援を行ってきました。最近の事例がアフガニスタン地方警察(ALP)の創設です。これらの武装組織は、ジュネーブ条約の規定に基づいて、多国籍軍がアフガニスタンを去った後も含めて、常に国際人道法を遵守しなければなりません。

さらに、治安部隊の縮小に関する議論が今後最終的に妥結した際には、隊員の除隊や社会復帰の問題を含む複雑なプロセスに全力で取り組み、その実現を図らなければなりません。

ここカーブールにおける民間人口について言えば、私がはじめてアフガニスタンに来た13年前は、わずか40万人でした。ところが現在では500万人にまで膨らんでいます。その多くが、パキスタンやイランからの帰還組です。そうした人々の中には、亡命中に技術を身に付けて帰国後成功した人々もいますが、そうでない人々もたくさんいます。彼らは農村部の貧困層と同じく、ある程度アフガニスタンの戦争経済に依存しながら、日々のぎりぎりの生活を支えてきたのです。

戦争経済は、比較的少数のアフガニスタン人に莫大な富をもたらした一方で、一般庶民に対しても、例えば、治安部門への雇用や日雇い労働の機会を提供してきました。こうして貧しい庶民が、僅かながらも賃金を得て、家族を養ってこられたという側面もあるのです。

しかし、今後数カ月から数年に亘ってアフガニスタンの戦争経済が収縮していき、国際社会の関心も弱まっていけば、アフガニスタンの人々はさらに厳しい環境に晒されることになるでしょう。すでにその兆候は表れており、例えば、米国の国際援助庁は昨年アフガニスタン向けの援助を大幅に削減したため、いくつかの大手国際NGOがアフガニスタンでのプロジェクト停止せざるを得なくなり、アフガニスタン人スタッフの解雇を始めています。

こうした傾向が続けば、ICRCにように長期的なコミットメントをする少数の団体(ICRCはアフガニスタンでは既に25年間活動を継続している:IPSJ)のみがアフガニスタンに残り、戦争で破壊されたコミュニティーのニーズとますます貧しくなる人々に対応していかなくてはならなくなるため、今日よりかなり負担が大きくなることが予想されます。2014年以降も多くの仕事が残っているのではないかと心配しています。そうでなければいいのですが。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

 

 

 

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