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|オプエド|ガザに盲いて(ジャヤンタ・ダナパラ元軍縮問題担当国連事務次長)

【コロンボIPS=ジャヤンタ・ダナパラ】

 

マハトマ・ガンジーは卓越した道徳基準に照らして「目には目をという考え方では、世界中を盲目にしてしまう。」と述べたが、それこそが11月に8日間に亘ってガザ地区で起こったことだった。イスラエルとハマス間の今回の衝突は、エジプトの仲介によりなんとか不安定な停戦に漕ぎ着けたが、8日間に亘ったロケットミサイルとドローン攻撃機の応酬で、パレスチナ人160人とイスラエル人6人が犠牲になったとみられている。

今回のイスラエルによるガザ侵攻は来年1月に選挙を控えたベンヤミン・ネタニヤフ首相が再選を目論んで仕掛けた身勝手な行動だったが、先日再選を果たしたバラク・オバマ大統領は、イスラエルを支持する立場を明らかにした。

 
オバマ大統領のこの決定は、ネタニヤフ首相がミット・ロムニー候補に肩入れした米大統領選挙への向う見ずな介入から手を引いたことに対する見返りであったと広くみられている。さらにオバマ大統領は、12月に予定されていた中東非核・非大量破壊兵器地帯の創設に関する国連会議(フィンランド会議)は、開催されないと一方的に宣言してしまった。

 
しかし同会議の開催については、そもそも核不拡散条約(NPT加盟国から米国、英国、ロシアの3カ国及び国連事務総長に委ねられたものであり、フィンランドのファシリテーターが開催に向けて不断の努力を続けているところであった。

1936年、オルダス・ハクスリーは、「ガザに盲いて」と題した小説を発表した。このタイトルはペリシテ人によって両目を奪われガザで労働を強いられたサムソンを描いた旧約聖書の逸話に由来したもので、この作品は、平和主義へと傾倒していった人物の人生を描いている。

イスラエルによるガザ地区の封鎖を平和的に解決し、170万人が置かれてきた悲惨な状況に終止符を打てる日は、依然としてかなり先のことである。しかし、イスラエルによって残酷に抑圧されてきたパレスチナの人々にとって、ガザを実効支配しているハマスとパレスチナ自治政府を率いるファタハの間で依然として根深い対立が存在するものの、11月29日の国連総会でパレスチナのオブザーバー国家地位への昇格が投票で可決されたニュースは、いくぶんかの慰めとなった。

この採決では、138カ国が賛成し、9カ国(米国、イスラエル、カナダ、チェコ共和国を含む)が反対、41カ国(パレスチナにユダヤ人国家の建設を約束した悪名高い「バルフォア宣言」を出した英国を含む)が棄権した。

イスラエルはこの決定に対する報復として、明らかな国際法違反となるパレスチナ占領地域におけるユダヤ人入植地を拡大する方針を明らかにした。

ガザ地区は、イスラエルと地中海の間に横たわる狭小な土地(360km2=東京23区の約6割程度の面積)で、1967年の6日戦争(第三次中東戦争)以来、長らくイスラエルによる不法占領状態が続いた。オスロ合意後、この地区は1993年にパレスチナ自治政府に委譲された。しかしイスラエルがユダヤ人入植者を立ち退かせ、軍を撤退させたのは2005年になってからのことだった。

しかし2006年の選挙で急進派のハマスが第一党に躍り出ると、イスラエルとの緊張関係が再燃し、ハマスによるイスラエル領土へのロケットミサイルの攻撃や、イスラエル軍によるガザ地区爆撃が散発的に発生するようになった。

ガザ地区の住民は、パレスチナ領内に建てられた要塞化された柵に取り囲まれたうえに、イスラエルによる経済封鎖で、極めて厳しい生活を強いられている。2008年12月、イスラエルが行ったガザ侵攻作戦「鋳造された鉛」作戦は国際社会から厳しい非難を浴びた。これに対してイスラエルは、ハマスはテロリスト集団であり、イランから支援を得ていると強く訴えた。

パレスチナ当局の発表によると、イスラエル軍による最初2日間の空爆で、280人が殺害され、600人が負傷した。イスラエルはその後2009年1月17日になって、一方的な休戦を宣言した。ハマスは、これに対して翌日、イスラエル軍がガザ地区から撤退するための期間として、1週間の休戦を発表した。

その後、不安定な休戦状態がしばらく続いたが、イスラエルは2012年の11月にハマス軍事部門のトップであるアハマド・ジャバリ氏を空爆で暗殺したのを契機に、ハマスとの戦闘を再開した。皮肉なことに、ジャバリ氏はイスラエル軍兵士ギルアド・シャリートとパレスチナ人捕虜の交換交渉を担当した人物で、イスラエル、ハマス間の停戦を維持するためにイスラエルとの交渉を進めているところであった。

ハマスのロケット攻撃によるイスラエル諸都市への被害は、米国の資金援助で配備された迎撃ミサイル防衛システム「アイアンドーム」の活躍により効果的に抑えられた。そしてオバマ大統領が、イスラエルの自衛権を主張する中、ガザ地区では、イスラエルの空爆により女性子供を含む多くの民間人が犠牲となった。

オバマ大統領が、今後も引き続き、国連安保理の拒否権を行使してイスラエルを擁護する米国の伝統的な政策を踏襲するとともに、イスラエルに対する武器・弾薬の供給を継続し、パレスチナ人の権利を否定し続けるのは明らかである。

オバマ大統領が国内の経済危機への対応に追われる中、中東の和平交渉は後回しにされている状況である。一方、アラブの春は、引き続きアラブ諸国に変革をもたらしている。さらにパワーブローカーとしてのサウジアラビアカタールの台頭は、中東情勢をさらに複雑なものにしている。

中東和平に向けた新たな外交努力を開始するとしても、今はイスラエル大統領選挙の結果をまず見極めるほかに選択肢はないだろう。イスラエルとパレスチナが平和理に共存する2国間解決案が実現するまでには、依然として相当長い時間を必要とするだろう。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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