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ラオスの不発弾処理への支援増額を求められている米国

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

軍縮活動家や元駐ラオス米国大使らが、ヒラリー・クリントン国務長官に対して、11日のラオス訪問の機会を捉えて、米国がベトナム戦争当時にラオスに投下した数百万トンもの不発弾処理に対する支援を拡大するよう強く求めている。

バラク・オバマ政権の中東・アジア重視外交を象徴する今回の8カ国歴訪(『アフガニスタン復興に関する国際会議』に出席する日本を皮切りに、ベトナム、ラオス、カンボジア、フランス、モンゴル、エジプト、イスラエルを訪問予定)において、ラオス訪問に割かれる時間は僅か数時間に過ぎないが、現役の米国国務長官がラオスを訪問するのは実に1955年以来のことであり、歴史的な訪問といえよう。

 
関係者によると、クリントン長官は、向こう10年間にわたる不発弾処理の取り組みに対して、1億ドルの支援表明を検討しているという。もしそのような表明がなされれば、支援総額は、1997年以来、米国が不発弾処理支援に提供してきた援助総額4700万ドルを、一気に倍以上うわまわることとなる。

ダグラス・ハートウィック元駐ラオス米国大使
(在任2001年~04年)は、「クリントン長官による今回のラオス訪問は、両国間関係の明るい将来を展望できる喜ばしい出来事ですが、クリントン長官には、是非この機会に、米国が不発弾処理に関してラオス政府と国際社会の努力を断固支援し、不発弾問題の根本的な解決をはかる覚悟である旨を、ラオスの人々に確約してほしいと考えています。」と語った。

ハートウィック大使は、昨年インドネシアのバリで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットに出席するクリントン長官に対して、サミットの前か後にラオスを訪問し、10年間で1億ドル規模の不発弾処理支援提案(原案はワシントンDCに本拠を置くアドボカシー団体「レガシー・オズ・ウォー」が作成)を行うよう求めた、6人の元駐ラオス大使のうちの一人である。

しかしオバマ政権の政策立案者は、長官のラオス訪問時期を、ラオスの隣国カンボジアでASEAN地域フォーラムが開催される今年まで延期した。

この1年、オバマ政権は中国の南に隣接する東南アジア諸国への接近を積極的に図ってきた。とりわけビルマ(ミャンマー)との関係は、昨年12月のクリントン長官の訪問(現役の国務長官による前回の訪問はラオスの場合と同様1955年)以来、飛躍的に改善してきている。クリントン長官は10日にベトナム(ハノイ)を訪問、さらに11日には、ラオス(ビエンチャン)を訪問後、同日中にカンボジア(プノンペン)入りする予定である。
 
ベトナム戦争中の1964年から73年の間に、250万トンを超える米国製の爆弾がラオスに投下された。この総トン数は、第二次世界大戦中にドイツと日本に投下された爆弾の総量の合計を上回るもので、当時ラオスは東南アジア最貧国にして、歴史上人口一人当たり最も激しく空爆された国であった。

当時のラオスの総人口は約250万人。つまり平均すると、成人男女並びに子供も含めて、一人当たりの頭上に1トンを超える爆弾が投下されたことになる。

ラオスに投下された爆弾のうち、約3割が爆発しなかった。こうして地中に残った不発弾は今でも年間数百人の犠牲者を生み出しており、ラオスの農民は、数万ヘクタールにものぼる肥沃な土地を、耕せないでいるのが現状である。

「レガシー・オズ・ウォー」によると、この40年の間に、約20,000人が、不発弾の爆発で死亡または手足を失っている。また、ある調査によると、こうした不発弾は、未だにラオス全土の約3分の1の国土に点在しているとみられている。

米国政府は、ベトナムカンボジアの場合と異なり、1975年に政権を掌握したラオスの共産党政権との外交関係を断絶したことはない。しかし、米国政府が600名近くにのぼるラオス領内で戦死者或いは行方不明者になったとみられる兵士の消息確認問題や(ベトナム戦争中米国に協力した)モン族への人権侵害問題を最優先したため、ラオスとの国交が正常化されるまでには17年(1992年)を要した。また、通商関係が正常化されたのは、わずか7年前である。

米国政府は1997年、ビル・クリントン政権の下で最初の不発弾処理のための資金援助を行い、その後毎年平均260万ドル規模の支援を継続した。また2009年には、援助額を350万ドルに、2010年には500万ドルに増額した。さらに今年度分については、パトリック・リーヒ上院議員(民主党)とリチャード・ルーガー上院議員(共和党)が中心となって、900万ドルの予算を通過させた。

上院歳出委員会は、来年度には1000万ドルの予算を認めるよう勧告しているが、共和党が多数を占める下院議会でこの規模の予算を認めさせるには、様々な困難が予想される。

対ラオス援助を支持する人々は、クリントン長官がラオス訪問時に1000万ドル規模の不発弾処理に対する支援表明を行えば、同予算案が議会を通過する可能性が高まるのではないかとの期待を抱いている。また、彼らは、他の国々や専門諸機関からの追加支援を促すためにも、米国が支援を長期にわたって継続する必要があると考えている。

「レガシー・オズ・ウォー」のChannapha Khamvongsa専務は、「引き続き、不発弾の犠牲になっているのは一般のラオスの村人たちです。私たちは、クリントン長官が、不発弾が人々に及ぼしている影響をラオスで直接目の当たりにして、改めてこの問題の最終解決に向けてラオスを支援する米国の立場を改めて明言することを期待しています。」と語った。

しかし前途には多くの難題が立ちふさがっている。これまでに推定で約100万発の不発弾が破壊或いは除去されたと見られているが、ラオスにはなお8000万発近くの不発弾が各地に埋まっている。

国連開発計画(UNDP
トーンシン・タムマヴォン政権と協力して、不発弾処理に重点を置いた計画を2年に亘って策定してきたが、その研究報告書には、「ラオスに社会経済開発をもたらすには、まずその大前提として、不発弾の除去が実行されなければならない。」と記されている。

またUNDPは、「(不発弾のために)観光、水力発電、鉱業、林業等、本来ならばラオス経済の成長を支える原動力となるはずの諸産業が複雑な問題に直面しており、経済的な機会は制限され、高コスト体質になっている。」と指摘し、ラオスで不発弾問題を大幅に軽減するには、向こう10年間にわたり年間3000万ドル規模の経済支援が必要と見積もっている。

不発弾処理支援プログラムについては、米国が最大の支援国だが、日本、欧州委員会、アイルランド、スイス、ルクセンブルク、ドイツ、オーストラリア、国連諸機関も、同プログラムに対する資金援助を行っている。

米国の対ラオス二国間援助は、主に不発弾処理への支援予算を中心に、2007年の500万ドル規模から今年度は1200万ドルへと増大した。その内訳をみると、米国政府は900万ドルにのぼる不発弾処理への支援に加えて、保健衛生、麻薬対策分野に対する支援を重視している。

折しも人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRWは、7月9日、クリントン長官に対して、ラオス政府がソムサンガ薬物収容センターの人権状況(子どもを含む収容者に対して加えられているとされる人権侵害疑惑)について徹底した独自調査を実施するまで、全ての援助を停止するよう強く求めた。

また国連諸機関も、3月12日、ソムサンガをはじめとする国内の薬物収容センターを閉鎖するよう、ラオス政府に呼びかけている。

HRW
のジョセフ・エイモン保健・人権局長は、「ラオス政府と米国国務省は、ソムサンガ収容センターについて、近代的な医療施設(薬物治療リハビリテーションセンター)としていますが、10年に及ぶ米国の資金援助を経ても、この施設がラオス政府にとって『好ましからざる人々』を拘留する残虐で非人道的な収容所であることには違いがないのです。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

 

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