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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

グアンタナモ収容所からの大量釈放によって明らかになる多くの過ち

【ニューヨークIPS=ウィリアム・フィッシャー】

 

今もなおキューバのグアンタナモで収容されている囚人の約3分の1を米国防総省がまもなく釈放する、という報道を見た米国のメディア関係者やブログの世界の人々は、グアンタナモの囚人は「最悪中の最悪」の連中だとしたラムズフェルド国防長官の2002年の声明を思い出したことだろう。

そして、つい最近の2005年6月にも、彼はこう述べている。「あそこにいる人びとのことでいえば、彼らはみな戦場で捕まえられてきた連中ばかりだ。彼らはテロリストであり、訓練役であり、爆弾を作っている連中であり、[新しいテロリストを]リクルートしている連中であり、資金集め役であり、[オサマ・ビン・ラディンの]ボディーガードであり、将来の自爆テロリストであり、そしておそらくは、9・11のハイジャック犯だ」。

ペンタゴンは、グアンタナモにいまだに収監されている人びとの約3分の1にあたる141名の囚人をまもなく釈放すると発表した。しかし、ペンタゴンは同時に、収容所の存在そのものやそこで取調官が囚人を選別する方法に関して、頑としてその正当性を主張し続けている。

 
グアンタナモから囚人が釈放されたのはこれが初めてではない。2002年以降に同収容所に連行された約760名の囚人のうち、米軍はこれまでに180名を釈放し、76名を他国の施設に移送してきた。

ペンタゴンは、釈放される囚人はもはや米国にとっての脅威とはみなせず、諜報上の価値も持たないと説明している。

しかし、ブッシュ政権のこうした収容政策に批判的な人々は、米軍はこれらの人々を裁く十分な証拠を持っていないと主張している。しかもその裁判所は、米国内の裁判所よりも証拠採用の基準がずっと緩いのである。

「ヒューマン・ライツ・ファースト」の国際法律ディレクターのギャバー・ロナ氏はIPSに対してこう答えた。「もしこれらの人々のほとんどがアルカイダではない、つまり、濡れ衣を着せられた民間人であったとしたら、あるいは、たんなるタリバンの歩兵だったとしたら、グアンタナモにおける人権侵害の訴えを否定しようとする際にブッシュ政権が持ち出してくる、『テロリスト』たちは人権侵害を受けたという嘘の申立をするように教え込まれているのだという唯一のスローガンにすら反することになる」。

最新の囚人釈放のニュースを伝えた『ロサンゼルス・タイムズ』によれば、その他の囚人約20名超に関しても、訴追が停止されているという。しかし、主任検事は、残りの囚人たちが4年間も収監されたあげく即時釈放されることもないし公判に出席することすらない理由を明確に示していない、と報じられている。

現在グアンタナモに収監中の「敵の戦闘員」だとされている約490名のうち、わずか10名に対して訴追が開始されたに過ぎない。死刑を求刑されたものはひとりもいない。

グアンタナモ基地の軍事検事によれば、米国はこれまでより多くの囚人を訴追する計画で、場合によっては死刑を求刑することになるだろう、という。しかし、空軍のモリス・デイビス大佐は、すでに訴追された10名に加えて20名超の囚人を訴追する計画の詳細について明らかにすることを拒んでいる。

141名の囚人を釈放する決定は、彼らの事例に関する1年にわたる見直しの結果である。取調官は、これら囚人から得られる情報はこれ以上存在しない、との結論に達した。

米国がグアンタナモに囚人を送り始めた2002年以降、収容者の中に「テロリスト」などほとんどいないという世界の法律家・人権団体からの激しい非難が勢いを増してきた。ペンタゴンのファイル自身が、米軍は、グアンタナモに人を送り訴追も裁判もなしに収監し続ける点において多くの過ちを犯してきたことを示唆しているのである。

ペンタゴンの「過ち」の多くは、5年間にわたり秘密にされてきた。囚人の中には、アフガンの戦場において逮捕されたのではなく、ヨーロッパの街頭や中東のさまざまな場所で拉致されてきた人びともいる。

多くの囚人は、アフガンやパキスタンにおいて懸賞金と引き換えに米当局に「売りとばされた」。他にも多くの人たちが、たんに間違った時間に間違った場所にいたというだけだ。
 
無党派を頑固に貫いている『ナショナル・ジャーナル』誌は、次のように報道している。「ラムズフェルド自身の説明とは異なり、グアンタナモの囚人のほとんどは米兵が戦場で逮捕してきた人びとではない。彼らは、そのほとんどがパキスタンなどの第三国から送られてきている。中には、9・11以後にアラブ人狙いで張られた捜査網の中で、ピンポイントの家宅捜索の末に送られてきた囚人もいる」。

にもかかわらず、このすべての人びとが、タリバンやアルカイダ、テロを支援するその他の集団とのつながりを持った「敵の戦闘員」に分類されているのである。

グアンタナモの囚人の中にはできるだけ多くの米国人を殺害することを意図したアルカイダの工作員がいるとの十分な証拠をペンタゴンがつかんでいるかもしれない、という識者の意見もある。しかし、その他のケースにおいて、その「証拠」なるものは第2・第3・第4の人物からの伝聞によることが多いのだ。さらにその他のケースにおいては、多くの人びとが拷問同然だと語る残虐で非人道的な取調べを通じて自白を得たことは明らかだ。

ペンタゴンの過ちを探すのは困難なことではない。たとえば、

サディクという名前の男が、もう4年以上もかみそり付鉄線[で囲まれた収容所]の中に閉じ込められている。彼が敵の戦闘員ではないということを米軍はすでに昨年の時点で把握しているにも関わらずだ。彼の弁護士によれば、彼が故郷のサウジアラビアにおいてオサマ・ビン・ラディンに反対する言動を取ったことで当局が彼を持て余したのが原因だという。

中国のウイグル系ムスリムが中国における訴追を逃れ、彼らの一部が現在もグアンタナモに収監されている。米軍は、中国に戻れば彼らの身に危険が及ぶと説明している。

いわゆる「ボスニアの6人」は、2002年にボスニア・ヘルツェゴビナで逮捕され、サラエボの米大使館爆破共謀の罪に関してボスニア最高裁で無罪判決が下された後、グアンタナモに連れて来られた6名のアルジェリア人だ。彼らのうちのひとりは言う。「私はここに3年もいるが、私に関するそうした容疑は今聞いたばかりだ...取調官は、今あなたが話しているような容疑について私に言ってくれたことは一度もない。大使館爆破のことも、テロ組織のことも、アルジェリアのイスラム組織のことも全て聞いたことはない。どうしてこんな問題が出てきたのかはわからない」。

主要な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によれば、13才から15才までの子供が少なくとも3人は収監されている。

国防総省のファイルによれば、ある囚人がはめていた時計が、アルカイダが爆弾を製造するのに使用したのと同じ回路基板を搭載したカシオ・モデルに似ていた。米当局は、アルカイダが好んだカシオの腕時計を、少なくとも9名の囚人に対する証拠として利用している。しかし、この違法なモデルは世界中の街頭で売られている。しかも、この囚人のカシオ・モデルはこの数年間製造されてもいない。

トルコ人のムラート・クルナズさんは、パキスタンにおいて車から引きずりおろされ、その後、自爆テロリストを友人に持っていると疑われた。米政府は、クルナズさんの審理において、彼の友人はまだ生きており、「自爆テロリスト」とは呼べないということを隠していた。2005年1月、連邦裁のある裁判官が、グアンタナモの裁判において適正手続が欠けている証拠として、クルナズの事例を取り上げた。この裁判官は、グアンタナモの裁判は、無罪を証明する証拠を無視し、信頼するに足りないたった1枚の匿名の覚書を証拠採用していた、と述べた。

約3年にわたって収監されていた英国人男性の集団が、拷問やその他の人権侵害を受けたとして米政府を訴えている。男性は、提出した115ページにわたる意見書において、殴られ、裸にされ、手枷足枷につながれ、眠りを妨げられたと主張している。また、刑務官が囚人のコーランを便器に投げ込み、宗教的信仰を放棄するよう迫ったと訴えている。彼らは、囚人たちは成分不明の薬を強制的に注射され、軍用犬をけしかけられた、ともしている。そして、収容されているあいだ、人権侵害や殴打にあったと主張している。

また、彼らのそれぞれが、アルカイダの首領オサマ・ビン・ラディンや9・11のハイジャック犯のひとりモハメド・アタと共にビデオに出たという嘘の自白をさせられた、と主張している。ビデオが作成されたとき彼らはイギリスにいたと証明したにもかかわらずである。昨年3月に彼らが解放された後、そのうちのひとりがイギリス警察からの取調べを受けたが、起訴されずにすぐ釈放されている。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩