サウジアラビアの核武装の夢―米国の支援を受けて
【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】
ドナルド・トランプ政権とサウジアラビア政府の蜜月は、核兵器取得というサウジアラビアの長年の夢を実現するために、直接的・間接的に米国がサウジを支援しているのではないか、との推測を生んでいる。
ニューヨーク・タイムズの11月23日の1面記事によれば、実に800億ドルにも上るとみられるサウジアラビアとの原子力協定に関する協議が秘密裏に進行していることで、こうした推測が強まっている。
核の「曖昧政策」のなかで活動する「イスラエル軍縮運動」
【アンマンIDN=バーナード・シェル】
イスラエルのメディアは、2017年12月10日にオスロで行われた、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に対するノーベル平和賞の授与式を黙殺した。もっとも、イスラエルの駐ノルウェー大使は式典に出席した。
ICANの中東における主要なパートナー団体である「イスラエル軍縮運動」(Israeli Disarmament Movement 〈IDM〉 シャロン・ドレブ氏が創設し、現在議長を務める)がこの6年間イスラエルの世論に影響を与えてきたものの、イスラエル・メディアによる黙殺は驚くべきものではないとみられている。
|イラク|ISIL構成員らがモスルでの「国際犯罪」で糾弾される
【ジュネーブIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
国連の報告書は、いわゆるイスラム過激派組織『イラク・レバントのイスラム国(ISIL)』がイラク第二の都市モスルにおいて、「国際犯罪」に相当する深刻かつ組織的な犯罪を行ったと非難している。
国連イラク支援ミッション(UNAMI)と国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)が11月2日に発表した報告書は、目撃者の証言に基づいて、民間人の集団拉致、多数の人の『人間の盾』化、民間人の住居に対する意図的な砲撃、モスルから逃げようとする民間人を標的とした無差別攻撃を記録している。
「イエメンに死が迫る」なか、国連は頼りにならず
【アンマンIDN=バーンハード・シェル】
アラブ世界で最も貧しい国のひとつであるイエメンで2年以上に続いている紛争に対して、国連は明らかに政治的解決策を提示できずにいる。イエメンでは、国際的に承認されたアブド・ラッボ・マンスール・ハーディ大統領の政府に忠誠を誓う勢力と、反体制組織フーシと組む勢力との間の内戦で国が荒廃している。
独立の情報源によれば、2015年3月以来、7600人以上が殺害され、4万2000人が負傷しているが、その大部分が、大統領側を支持するサウジアラビア主導の多国籍軍の空爆によるものだ。この紛争と、多国籍軍による封鎖で人道的危機が引き起こされ、人口の7割が支援を必要としている。
「石器時代」のレイプ法廃止に動いたヨルダン政府の決定がなぜ重要なのか?
【ローマIDN=フィル・ハリス】
今日でも、多数の国々で多くの女児や若い女性が、「男性は女性をレイプしてもその後犠牲者と結婚すれば罪を問われない」と規定する、「石器時代」の法律と呼ばれてきた、ある刑法の条項に恐れおののきながら暮らしている。
中東のヨルダンもこうした条項が適用されてきた国の一つであるが、政府が4月15日に同国の刑法308条を廃止する勧告を行ったことから、レイプ被害者を取り巻く状況が好転する兆しが見えてきた。
包括的核実験禁止条約批准は依然として「核のファンタジー」
【国連IDN=ロドニー・レイノルズ】
国連内外で、イスラエルがおそらく今後5年以内に包括的核実験禁止条約(CTBT)批准を検討しているらしいとの推測が広まっている。
しかし、これは政治的現実なのか、それとも核のファンタジーなのか?
こうした推測は、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)のラッシーナ・ゼルボ事務局長によるイスラエルへの3日間の訪問の後に出てきた。ゼルボ事務局長は訪問中の6月20日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談している。
|世界人道サミット|高い期待に応えられず
【イスタンブールIDN=ロドニー・レイノルズ】
2012年に国連の潘基文事務総長が提案してイスタンブールでようやく開催された初の世界人道サミットは、150カ国以上で2万3000人との協議を4年にわたって積み重ねてきたにも関わらず、高い期待に応えることができなかった。
潘事務総長は開会のあいさつで「これは21世紀の国連の集まりです。」と代表らに誇らしげに語った。しかし、5月24日まで2日間の日程で開催されたサミットは、意義のある資金を生み出すこともできず、期待に反して首脳がこぞって欠席した国連五大国(英国・米国・フランス・中国・ロシア)からの全面的な政治的支持を得ることもできなかった。
「イスラム国は絶望した若者らが駆け込む聖域となっている」(タルミズ・アフマド元駐サウジアラビアインド特命全権大使)
【INPSオピニオン=タルミズ・アフマド】
「ISIS(イラクとシャームのイスラム国)に参画する多くのアラブ人青年らにとってのISISの魅力とは、自らの歴史と伝統に基盤を置く大義の下に参加したいという彼らの希望を満たしながらも、中東地域全体でアラブの独裁者らに闘いを挑んでいる点にある。」
昨年、自らをカリフと称するアブ・バクル・バグダディは、モスルにあるモスクの壇上から集会の参加者に演説を行い、「イスラムの土地へのヒジュラ[移住]は義務的なもの」であるとして、全てのイスラム教徒に対してISISへの移住を呼び掛けた。
|UAE|寛容の精神を擁護する世界有数の開発援助国
【ムンバイIDN=バーナード・シェル】
経済協力開発機構(OECD)によると、国際社会が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」への取り組みを開始するなか、29か国で構成される開発援助委員会(DAC)(本部:パリ)に加盟していない国々による資金が、開発協力への資金調達をするうえで、ますます重要な役割を果たしている、という。
近年、困窮している国々に対して譲許的な融資や寄付を行ってきた主要なDAC未加盟国には、中国、ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカ共和国があるが、とりわけ中東のアラブ首長国連邦(UAE)は、政府開発援助(ODA)拠出額が、国民総所得(GNI)比(国の経済規模に対してどのくらいの割合をODAとして供与しているかを示す数値)で世界第1位にランク付けされている。