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食糧援助を求める北朝鮮

 

【ワシントンIPS=カンヤ・ダルメイダ】

 

1990年代、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)では、控えめに見積もっても約100万人が飢餓にあえいだ。今現在、同国は第二の食料危機の時代にはいりつつある。

今年の2月と3月、世界食糧計画(WFPは、国連食糧農業機関(FAO)、国際連合児童基金(UNICEF)とともに、北朝鮮全域において国民の栄養状況に関する調査を行った。3月末に発表された報告書(Rapid Food Security Assessment)によれば、現在、人口2200万人の北朝鮮で350万人が深刻な栄養不足にある。今年末までに食糧が完全に枯渇することが見込まれる中、人口の15%を上回る国民が飢える可能性があるという。

 
アミール・アブドラWFP事務局次長は先週、「私たちは、早急に北朝鮮国内に援助物資を持ち込まなければ、既に飢餓状態にある数百万人の人々にとって手遅れとなりかねない状況に直面しています。私たちはとりわけ最も弱い立場にある子供、母親、老人、大家族への影響を心配しています。」と語った。

政府による食料配給はかつてない低レベルにあり、1日に必要なカロリーの半分も提供できていない状態である。「北朝鮮における穀物および食料安全保障に関する評価ミッション報告書(CFSAM)」によると、配給を受けている世帯(総人口の68%)は栄養摂取量を極限まで引き下げている。この状況は、政府が相次ぐ洪水災害から配給量の半減をやむなく決定し、「1日の食事は2回にしよう」キャンペーンが張られた1990年代を彷彿とさせるものである。

北朝鮮は、過去6年間で最も寒さが厳しい冬に見舞われた。政府が十分な穀物を輸入できない中、凶作と口蹄疫被害(国営メディアによると1万頭以上の牡牛、乳牛、豚が感染した)が重なり、北朝鮮は再び深刻な人道危機に直面している。

食糧支援を阻む政治

各国による対北朝鮮人道援助は、過去30年にわたって、増減を繰り返してきた。その背景には、人道支援の必要性を認識しつつも、金正日総書記による孤立政策、核開発問題に加えて、援助供与国側にも支援物資が本当に必要な人々のもとには届いていないのではないかという深い疑念が広がっている事情がある。
 
2年前の段階では、米国が北朝鮮に対する最大の食糧援助国で、2008年から09年にかけての実績は17万トンであった。しかし当時は、このレベルでも、WPFが2010年までに北朝鮮の人々の最低限の栄養摂取量を維持するために必要と見積もった305,000トンには届いていなかった。その後、米国と韓国が北朝鮮支援を停止したことから、既に激減していた北朝鮮国内の食糧供給事情は一層厳しい局面に見舞われることとなった。現在では中国が北朝鮮に対する最大の食糧援助国となっている。

米議会が設立したワシントンの国立平和研究所(USIPは、5月5日、「与えるべきか与えざるべきか」というテーマで討論会を開催した。米国際援助庁(USAIDのアンドリュー・ナツィオス元長官は、「従来、北朝鮮への食糧支援を巡る討論には、常に軍縮問題と『史上最悪の警察国家』に対する外交姿勢を問う議論がつきまとってきた。しかし、同意できない国の国民は助けられないという立場を採用したとしたら、米国政府は、大規模な食糧支援を現在実施しているスーダンのような国はもちろんのこと、どの国に対しても食糧支援は行わないということになってしまいます。」と語った。

その上でナツィオス元長官は、ハーバート・フーヴァー大統領が(商務長官時代の)1921年から23年にかけて、ソビエト連邦に対し6000万トンの食糧支援を行った事例を引き合いに、「権威主義体制を存続させることなく民衆を救わねばならない。」と語った。

僧侶で人権活動家のPomnyum Sunim師は、「このように(北朝鮮が直面している)複雑な状況を考えれば、私たちは人道支援の原点に立ち返り、困っている人々のために何が必要か、どのように支援をしていくのかを考えるべきです。」と付け加えた。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩


*フーヴァー大統領は商務長官在任中の1921年、ロシア革命後の混乱により飢饉で苦しんでいるソ連・ウクライナ地方や大戦後のドイツの人々に食糧支援を提供した。その結果、評論家が共産主義ロシアを助けていなかったかどうか問い合わせたとき、フーヴァー氏は、「2千万の人が飢えている。それらの政治が何であっても、それらは食べさせられるべき」と反論した。(出典:Wikipedia

 

 

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