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人道的危機の打開策探るイスタンブールサミット

Photo: Secretary-General Ban Ki-moon (left) addresses a meeting to brief Member States on April 4, 2016 on the preparations for the World Humanitarian Summit (WHS), set for 23-24 May in Istanbul, Turkey. At his side is Stephen O'Brien, Under-Secretary-General for Humanitarian Affairs and Emergency Relief Coordinator. Credit: UN Photo/Evan Schneider【ベルリン/ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

トルコ最大の都市であり、同国の経済・文化・政治の中心地であるイスタンブールで5月23日と24に史上初めて開催される「世界人道サミット」に国連の潘基文事務総長が一方ならぬ情熱を注いでいるのは、公然の秘密だ。

サミットが成功裏に終われば、潘事務総長の功績として長く歴史に名を留めることになるだろう。なぜなら、このサミットは、仙台防災枠組みアジスアベバ行動目標(AAAA)持続可能な開発のための2030アジェンダパリ気候合意の4本柱に支えられた丸天井を象徴するものだからだ。

SDGs/ UNDP世界の指導者らが169のターゲットをもつ17項目の「持続可能な開発目標」に合意した2015年9月以来の潘事務総長の中心的なメッセージは次のようなものだ。「私は、世界の指導者に対して、すべての政策や戦略、意思決定の中心に、市民の尊厳や安全、幸福への関心という意味での人間性(人道理念)を、置くよう求めます。『世界人道サミット』は、人道の瀬戸際で生きる人々のために開催されなければなりません。彼らは私たちが頼りなのであり、失望させることなど、できないのです。」

実際、人間性は、現代にあって最大の問題に直面しているからだ。2015年、1億2500万人が人道支援を必要とした。6000万人が居住地を追われ、37カ国が影響を受けた。人道支援に推計200億ドルが必要とされている。

Infographic#1/ UN News Center潘事務総長は2月9日、世界人道サミットに向けて作成された報告書「人道理念は一つ、責任の共有を (One humanity, Shared Responsibility) 」をニューヨークの国連本部で発表するにあたって、同サミットの重要性を詳しく述べた。

「私たちは、深刻で、緊急で、重大化しつつあるグローバルな課題に直面しています……。残虐で一見して手におえない紛争が、数多くの人々の生活を破壊し、地域全体を不安定化しています。暴力的過激主義やテロリズム、越境犯罪が、継続して不安定な状況を生み出しているのです。」と潘事務総長は加盟国を前に語った。

「貧富の差の拡大が、社会で最も脆弱な立場に置かれている人々を周縁化し阻害しています。気候変動は、ますます頻度を増し規模を増す暴風や洪水、干ばつを伴って、重大な影響を及ぼしています。人道支援のニーズは過去最大の水準となっているが、彼らを救う政治的解決策は見つかっていません。今日の複雑な課題は、国境を超え、ある国家や組織が単独で対応できる能力を超えています。」と潘事務総長は付け加えた。

こうしたことを背景に、潘事務総長は、「私たちは、グローバル秩序と、これらの課題に効果的に対応する各国および各地域の機関の能力に対する信頼を取り戻す必要があります。慢性的なニーズと終わりなき恐怖の中を生きている数多くの紛争下の人々に対して、彼らが期待し本来得るべき連帯を示す必要があります。」と主張した。

こうした課題の緊急性と苦難の大きさは、国際社会がその共通の責任を受け入れ、共感と決意を持って力強く行動すべきであることを意味している。

Migrants in Hungary near the Serbian border/Gémes Sándor/SzomSzed, CC 表示-継承 3.0「世界人道サミットは、私たちが、人間性へのコミットメントと、危機を予防し収束させ人々の苦しみと脆弱性を減らすために必要な連帯と協力へのコミットメントを再確認する機会となります。」と潘事務総長は訴えた。

国連事務総長の「人道への課題」は世界の指導者に対して、共通の人間性の名において「5つの核となる責任」を取るよう求めている。

中核的責任1:紛争を予防し収束させるグローバルなリーダーシップ。紛争を予防し、紛争を解決する政治的手段を見つけることは、人間性への最大の責任である。というのも、紛争はすべての人道的ニーズの8割を食いつぶすからだ。

中核的責任2:人道規範を護持する。連日のように、民間人が戦争において意図的にあるいは無差別に殺されている。私たちは、国際人道法150年の歴史が衰退するのを目の当たりにしている。しかし、戦争にすら限度がある。指導者は、人間性を守る規則の遵守をあらためて誓うべきだ。というのも、人口過密地域で爆発兵器の使用により殺傷される人々の9割が民間人だからだ。

中核的責任3:誰も置き去りにしない。世界人道サミットは、見捨てられるリスクが最も高い人々の生活を変革することへのコミットメントが試される最初の試金石となる。

このことは、すべての人々と関わりを持ち、すべての女性、男性、女児、男児を積極的な変革主体としてエンパワーすることを意味する。強制的な移住を減らし、難民・移民を支援し、教育格差をなくし、性的暴力やジェンダーを基盤とした暴力の根絶のために闘うことを意味する。

中核的責任4:人々の暮らしを変える―届ける支援から、人道ニーズ解消に向けた取り組みへ。今や、成功とは、毎年いかにして人々のニーズが満たされたかによってではなく、人々の脆弱性とリスクがいかに縮小されたかによって測られるべきだ。ニーズそのものをなくすには、私たちの活動の仕方を3つの根本的な意味において変えなくてはならない。まず、国家のしくみを変えてしまうのではなく補強すること。次に、危機を待つのではなく先回りすること。最後に、人道/開発の分断を乗り越えること。今日、43%の人々が脆弱な状況下に生きていることを考えると、これはきわめて重要なことだ。2030年までに、この数値は62%まで上昇すると見られている。

中核的責任5:人道への投資。人間性への共通の責任を受け入れそれを基に行動するためには、政治的、組織的、金融的投資が必要となる。

地方の能力に投資し、リスクを考慮に入れ、脆弱な状況において投資し、集合的な成果にインセンティブを与えるような資金調達を行うことが必要とされている。私たちはまた、人道的ニーズのための資金調達格差を縮小しなくてはならない。2014年、政府開発援助のわずか0.4%しか防災のために利用されていない。(原文へ

翻訳=INPS Japan

 

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