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|輸送と環境|紙と鉛筆があればできるエコ・プロジェクト(遠藤啓二)

【バンコクIDN=浅霧勝浩】

 

アジア・太平洋地域は、すでに世界最大の自動車保有数を誇っている。現在の流れが続けば、そのうちに欧州と北米の合計台数を上回るようになるだろう。

日本だけでも、1966年の812万台から2009年には7800万台にまで急増している。内訳は、自家用車54%、軽自動車34%、トラック8%である。残りはバイクとバスだ。

同時に、運送会社の数も伸びている。東京都トラック協会(東ト協)の遠藤啓二環境部長によれば、「現在日本には約6万の運送会社があり、1990年代からは50%増えた」という。遠藤氏の発言は、アジア22カ国の政府関係者と交通専門家が集まって8月23日から25日までバンコクで開催された「環境面から持続可能な交通政策に関する第5回地域フォーラム」でなされたものである。

 
フォーラムは、国連地域開発センターUNCRD)、タイの天然資源環境省、日本の環境省国連アジア経済社会委員会が開催した。

遠藤氏によれば、日本の運送会社の99%は100台以下のトラックしか保有しておらず、全体の76%は20台以下しか保有しない零細企業であるという。

窒素酸化物と粒子状物質の排出を抑制することを目的とした日本の「動車NOxPM」では、2003年以降、製造後9年を越した大型トラックと、8年を越した小型トラックは(それまでの総走行距離に関わらず)走行してはいけないことになった。中小運送会社が使う車両からの排出物を抑制すること目的とした厳しい法律の内容の一部である。

東京都では、この厳しい規制によって、製造後7年以上の車両はディーゼル粒子状物質フィルターを装着するか、新車両を購入するかしかなくなった。規制に違反すれば罰則が待っている。

この法律施行後、東京都のすべての観測地点において、2005年以降の大気汚染レベルが下がったという。大気は以前よりきれいになり、空は青くなった。

しかし、中小運送会社は大きな代償を払うことになった。値段の高いフィルターを付けるか、新しいトラックを買うか。結果として、東ト協の会員企業は20%も減少した。また、トラックの数も2003年以来20%以上減少した。

改正省エネ法が環境を守るためのもうひとつの道具である。同法は、運送会社にCO2排出に関する定期的報告を義務づけている。「しかし、零細企業はそんなデータを集めたり解析したりすることなどできません。運送会社の99%は中小企業なのですから。」と遠藤氏は語った。

エコドライブ

そこで東ト協は新しいプロジェクトを立ち上げることにした。名づけて「エコドライブ」である。運送会社にとっての「CSR:企業の社会的責任」を果たす中心的なプロジェクトだ。

ある調査によれば、エコドライブ開始後、窒素酸化物の排出が15%、CO2の排出が20%削減されたという。

グリーン・エコプロジェクト
には4つの側面がある。持続可能性、コスト削減、収集データの正確性、そして何よりも、ドライバーのやる気を持続する活動であるということである。

しかし、実際に使われているツールは、インターネットで手に入るようなものではない。たとえば以下のようなことだ。

・ポスターやステッカーで相互のやる気を高める
・チェックリストにデータを手で記入(この方が経済的にも優れたデータ収集の方法)
・こうすることで、省エネと交通事故減少が目に見えてわかるようになる
・エコドライブ教育
・優良ドライバーの表彰
・上司も同等の立場でプロジェクトに参加
・収集データのプロによる解析
・マネージャーは年7回の研修

遠藤氏は、プロジェクトは大いなる成果を挙げたと胸を張った。毎年、参加企業は増加している。今年3月時点で、500以上の企業と1万1000台以上の車両がグリーン・エコプロジェクトに参加している。
 
 
加えて、燃料消費もこの4年間で減少した。それは、500台の大型タンクローリーに積載できる量に匹敵する。金額にして8.8億円分だ。
 
この省エネで2万トンのCO2排出削減もできた。交通事故もこの4年間で4割減少している。

「プロジェクトは国民経済の面だけではなく、社会全体に対しても大きな成果をあげている」と遠藤氏はバンコクのフォーラムで語った。次のステップは、各車両タイプごとに省エネデータベースを構築することだ。

「日本では、デジタルタコグラフのように、エコドライブをサポートする多くの先進的な装置があります。」と遠藤氏は言う。

しかし、グリーン・エコプロジェクトは巨額の投資もハイテクも必要としない。必要なのは、「運転管理シート」と呼ばれる1枚の紙と鉛筆だけだ。これだけで、環境を守り、燃料コストを削減し、交通事故を減らし、従業員間での意思疎通の円滑化を図れるのだ。

遠藤氏は、このプロジェクトを日本全国に広げたいと考えている。また、低予算で紙と鉛筆さえあればできることから、東京都での経験に学ぼうという団体が他のアジア諸国で現れるのではないかと期待している。原文へ

翻訳=IPS Japan



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