www.facebook.com
www.twitter.com
www.linkedin.com
www.blogger.com
www.myspace.com
RSS Feeds
 
INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

│中国│30周年記念で再燃する「一人っ子政策」論争

 

【北京IPS=アントアネタ・ベッカー】

 

今年、中国では、一人っ子政策が始められてから30年を迎える。独自性の高い社会工学上の実験だとして賞賛する意見もあれば、中国がグローバル・パワーとしてのし上がっていくことを妨げるとの予測もある。

政府は政策の是非に関する論争を避けようとしているが、あまり都合のよくない意見がこのところ頻出している。



12月には、学者の胡鞍鋼氏が、中国共産党への公開書簡という形で、一人っ子政策は主に1960年代のベービーブーマー世代による人口圧力を緩和するために導入された30年という時限を切った政策であり、今後は家族計画の適切なルールを別に考えていく必要があるとの見方を示した。

さらに一人っ子政策の策定者の一人である田雪源氏が、12月の『人民日報』で、中国はふたりっ子政策に移行し、都会・農村を問わず全ての夫婦に2人の子供を持つことを認めるべきだとの見解を披露した。

田氏は同紙の中で、「中国は時代の流れに適応していくべきだ。次期開発5カ年計画(2011年開始予定)の重点項目を考えれば、人口政策の転換を図るのは今である。」と述べた。一人っ子政策の策定者自身によるこうした見解が人民日報に掲載されたことは、この政策を巡る議論が学術論争の枠を出て、今や政治課題となったとの見方が広がっている。

こうした中、李克強副首相が、今年実施される「第6回人口調査」の責任者に任命された。李氏は、しばしば13億人と言われる中国の正確な人口を把握するという困難な事業の責任者に任命された最高位の政府要人となった。前回2000年に実施された人口調査では、未登録の農村子女や国内移民など政府がそれまで把握していなかった多くの人口集団の存在が明らかにされた。

「一部の学者が如何に良い側面を評価しようとも、一人っ子政策こそ、今日中国社会が直面している深刻な諸問題(急速な高齢化、極端な男女格差)の原因なのです。」と、人口学者のHe Yafu氏は語った。

中国指導部は、一人っ子政策のおかげで約4億の人口抑制が可能となり、人口管理が不可能となる事態が回避できたと評価している。それと同時に、かつて厳格を極めた一人っ子政策の適用の在り方は徐々に変化し、多くの場合、暗黙のうちに、より緩やかな法律が適用されるようになった。

広州や上海、そして最近では北京のような大都市においては、「ダブル・シングル」のカップル(双方とも一人っ子の夫婦)に対して、子どもを2人作ることを容認する政策が始まっている。その背景には、上海のような富裕層が多い大都市において子どもの出生率が全国平均の1.8をはるかに下回っている(上海の場合0.8)ことに対する当局の危機感があり、政策の変化を導いている。

昨年、中国で最も裕福な広東省では、「2人の子供を持つ」資格のある夫婦が2番目の子供を儲けるまで4年待つ規則が静かに廃止された。北京も今年この前例に続く予定である。

「私は政府の方針が変わるのを待てませんでした。」と北京のホテルでスポーツクラブを経営するFan Xirongは言う。彼は30万人民幣(RMB=44,000ドル)罰金と手数料を支払い第二子(娘)を登録した。これにより子供は国から教育と医療の恩恵を受けることができる。

「私達夫婦はお金を払うことで第2子の登録ができました。最初の子供は男の子だったのですが、年を重ねるにつれて女の子がほしくなったのです。」とFan夫人は語った。「私たちは老後のお金については心配していません。それよりも年をとって頼れる息子と娘がほしいのです。」

30年に亘る一人っ子政策を通じて、家族計画の担当官達は、「子沢山が幸福をもたらす」という中国人民の間に根付いていた伝統的な観念を変えることに成功したかもしれない。しかし経済成長で裕福となり老後の孤独を不安が高まるのかでこの伝統的な観念が再び復活しつつある。

超高齢化社会に対する一般人民の不安は、「4-2-1」と言われる中国の人口構造に端的に表れている。2人の大人が4人の老人の面倒をみて、1人の子どもを育てる、という意味である。こうした状況の下で、中国の60歳を超える人口は2030年には3億5500万人に達するとする、家族計画当局による予測もある。

「この30年間、中国経済は人口抑制政策の『恩恵(=ボーナス)』を受けてきた。しかし一人っ子政策を今見直さなければ、急速に進む高齢化がやがてこの『ボーナス』を『負債』に変えていくだろう。」と、田雪源氏は3月に南方周末(Southern Weekend)紙の取材に応えて語った。

経済学者の胡鞍鋼氏は12月下旬に「経済観察(Economic Observer)」紙の中で、1980年の中国共産党文書を引用し、「いづれにしても一人っ子政策は30年の期間限定の政策だったのですから。」と述べている。(原文へ
 
翻訳=IPS Japan戸田千鶴


関連記事:
出生率の抑制がなされなければ人口は2050年に90億人に