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|ドミニカ共和国|子供はいなくなっても、送金が流入

【ビセンテノブレ、ドミニカ共和国IPS=ディオゲネス・ピナ】

70歳の女性アキリナ・デ・ラ・パス・レイエスは自分を幸運だと感じている。子供の頃は貧しかったことを考えると本当にそう思う。デ・ラ・パス・レイエスはドミニカ共和国で5人の子供を生み、その5人の子供は皆スペインに移住した。今足りないものは何もないという。毎月生活費をすべて賄うだけの金が送られてくるからだ。

「昔は畑で働いた。子供を育てるのにトマトの収穫を手伝った」とデ・ラ・パス・レイエスはいう。「今は子供たちが私に生活費をくれる。子供たちは大変な日々に預けておいた貯金だ」

デ・ラ・パス・レイエスは、ドミニカ共和国の首都サントドミンゴから南西200kmほどの田舎町、ビセンテノブレに住んでいる。この町では、住民はもともとバナナ、トマトなどの作物の栽培で何とか生計を立ててきた。けれどもこの10年間で、海外からの送金がこの町の主要な収入源となった。

 
1990年以降、1万3,000人の住民がこの町からスペインへ移住した。国連の国際婦人調査訓練研修所(INSTRAWが9月6日に発表した「ジェンダー、送金、開発:ドミニカ共和国ビセンテノブレからの女性移民の事例」と題された調査によると、その6割は女性である。INSTRAWの本部はこのカリブ海の島国、ドミニカ共和国にある。

「移住した女性からの送金は、この町の外観と商業活動を変えた」と社会開発プロモーターのマリア・アルタグラシア・スエラはIPSの取材に応じて語った。ビセンテノブレの通りを車で行くと、道路の両側には国外に居住するものからの送金で建てられたコンクリートの家が並んでいる。

 送金が町を変貌させる前は、ほとんどの家々の屋根はシュロの葉で葺かれ、あるいはこけら板、木材、鉄製波板が使われていた。

「この町に届く金のほとんどは海外からの送金だと思う」とスエラはいう。INSTRAWの調査によると、2005年のドミニカ共和国への送金は27億ドルに及び、59%が米国、30%がスペイン、9%がプエルトリコ自由連合(米)州からとなっている。

デ・ラ・パス・レイエスは、「子供たちが金を送ってくれなかったら私の人生はとても辛いものだっただろう」という。

長女のアノリスが最初にスペインに渡った。その後2人の妹と2人の弟の渡航もアノリスが手配し、今は5人全員がスペインに住んでいる。

デ・ラ・パス・レイエスは数年間、6人の孫を1人で育てなければならなかった。はるか遠い国に住む子供たちが、生活を安定させて自分たちの息子と娘を引き取って家族再会を果たすまでのことだった。

「子供たちが出て行くのを助けることしか私にはできなかった」とデ・ラ・パス・レイエスはいう。

 INSTRAWの調査は、ドミニカ南西部からのスペインへの移住には「ドミニカの移住者全体と比較して際立った特徴がある」とする。

「女性の割合が多く、農村で育った土着の人々」という点がその他の地域と異なっている。1990年代の初めにスペインに移住した人々のおよそ85%は女性で、その多くが移住先で家事労働に従事した。

国連人口基金(UNFPA)が作成した「世界人口の現状2006年」という報告書によると、中南米諸国からの移住者の60%もの人々が、家事労働に従事している。特にスペインでは移住者の女性の70%が家事労働を行なっている。

送金はドミニカ共和国の国内総生産(GDP)の10%近くに寄与しており、2005年には293億ドルに上った。これは産業特区からの輸出の47%、観光収入の62%に相当している。

2002年のもっとも新しい人口と住居についての国勢調査によると、ドミニカの家庭の10.2%が送金を受け取っていた。また別の調査によると、人口の38%が海外から送られてくる金を受け取っている。ドミニカ共和国の人口は850万で、そのうち150万人が海外で生活している。

地方新聞のクラベ紙が公表した調査によると、回答者の87%に別の国に住んでいる親戚がいた。同紙は、月々の送金をもっともひんぱんに受け取っている人口集団は高齢者(53%)と若年者(52%)だったと述べている。

ドミニカ送金業協会(ADEREDI)による調査からは、欧州からの送金が過去3年で海外からの全送金額の16%から29%に増えたことが明らかになった。傾向として現在は米国より欧州に移住する人の流れが増大している。

「外貨による送金が、特に過去10年にわたってドミニカ経済に欠くことのできない貢献を果たしてきた」とINSTRAWの調査は指摘する。
 
 
 レオネル・フェルナンデス大統領は、送金がなくなれば国の経済が破たんすると考えている。「送金に代わるものはない」と、大統領は800人以上のドミニカ人が学ぶニューヨークで行われた大学会議で学生たちに語った。

「移住は国民の発展に貢献している」と大統領はいう。「出身国にも居住している移住先の国にも富をもたらすからだ」。

過去10年間、送金は年平均12%増えていて、ほぼ4倍になった。米州開発銀行のデータによると、今年もこの傾向は続き、送金額は2005年よりさらに増大する見込みである。

中南米カリブ地域出身の人々が今年それぞれの故国に送るものと予測される金額は、600億ドルに上り、そのほとんどが米国と欧州からである。

多くのドミニカ移民が、100万人近い人数だが、米国に住んでいる一方で、スペインには5万7,000人以上が住んでいる。当初、移民は合法的にスペインに渡っていたが、最近では変化が起きていて、不法入国という手段を利用するものも多くなってきた。

「行方不明になった女性もいる。そのまま消息不明になってしまった」とスエラは話す。

スペインに到着するため、多くの女性はまずポルトガルあるいはアルゼンチンに行ってから飛行機でモロッコに渡り、それからスペインへ入国する。

「ドミニカからスペインへの移住者の流入は、稼ぎ手として個々に渡航した女性によって始まった」とINSTRAWの調査は述べる。

デ・ラ・パス・レイエスはゆっくりとロッキングチェアを揺らした。朝日の中で身体の位置をより楽な姿勢に変えて、はるかかなたに視線の先を向けた。

「子供たちが離れていってしまうとどれだけ寂しいかが分かるのは母親だけ」とデ・ラ・パス・レイエスはいう。「でもこの町では働き口はないから出て行くのは仕方ない」。デ・ラ・パス・レイエスの子供たちは、海外で生活する150万人以上のドミニカ人の中に含まれ、ホームシックの証拠に母親に金を送っている。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

IPS
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