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|視点|中道派のガンツ氏は、いかにして右派のネタニヤフ首相を蘇らせることになってしまったのか(ラムジー・バロウド パレスチナ・クロニクル編集者)

Photo: Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu and Benny Gantz signing the agreement on the goverment. (Photo: File)【マウントレイクテラス、ワシントンIDN=ラムジー・バロウド】

イスラエルの「青と白」連合の指導者、ベニー・ガンツ氏によるベンヤミン・ネタニヤフ首相が率いる政府に参加するという決定は、マキャベリ主義的な動きを意図したものだったが、今後何年にも亘って、イスラエル社会の政治的枠組みを不安定化させることになりそうだ。

衝撃的な動きの中で、ガンツ氏は3月、危険な政治的妥協案を結び、これにより、彼は、与党リクードと「青と白」連合の両党を含む挙国一致内閣を組織する序章として、クセネトの議長になることとなった。しかし、この動きは最悪であることが証明された。

Map of Israelガンツ氏がネタニヤフ首相と手を組む意思を表明し、これにより信任されていない首相に救いの手を差し伸べるやいなや、彼が率いてきた「青と白」連合はあっという間に分裂することになった。

「青と白」連合は、2019年4月の総選挙を争うために結成されて以降、足元が揺らいできた。ガンツ氏(イスラエル回復党)やヤイール・ラピド氏(イェシュ・アティッド)、モーシェ・ヤアロン氏(テレム)など、連合の指導者らは、共通のイデオロギー的基盤ではなく、共通の敵ネタニヤフ首相を失脚させたいという、燃えたぎる願望によって主に結束していたようだ。

ネタニヤフ氏は在任期間が最も長い首相で、その期間は縁故主義や汚職の時代と無縁ではない。自身の政治的生き残りを確実にするために、極右政府連立パートナーに対していつでも譲歩できるネタニヤフ氏は、実現可能な政治的ビジョンで国に貢献することはほとんどなかった。

何年にもわたり、ネタニヤフ氏の政敵は首相の行き過ぎた行為に対する対抗勢力にはほとんどなってこなかった。ネタニヤフ首相がイスラエルの右派の有権者の支持獲得に成功した一方、いわゆる左派は、時には、イスラエルの選挙結果や世論調査で誤差の範囲を少し超える程度しか占められないほどにまで弱体化した。

これを物語る例が、イスラエルのチャンネル12が4月に行った世論調査だ。結果によると、調査日時点でイスラエル国民が総選挙で投票したとすると、この国の歴史ある労働党(同国建国時の政党)はクネセトで1議席も獲得しないことになる。

今から考えてみると、ガンツ氏と彼による連合には、自分たちを「中道派」とブランディングする以外の選択肢はなかった。1年前に連合を組んだ際、彼らは不満を抱いているイスラエル人の様々なグループに訴えかけることを目指していた。つまり、政治的行き詰りと、経済格差に幻滅した右派有権者たち、強い野党勢力として復活する上で、伝統的な左派の力には信頼を失ってしまった左翼、無党派層、中道派の有権者などだ。

ガンツ氏と彼の連合の計算は、イスラエルの有権者が1年足らずの間の3度の選挙に登場し、かつては不可能に思えたミッション、つまり、ネタニヤフ首相追放の動きに活気を与えたように、メリットがあることは証明された。

最近の3月の選挙では、「青と白」連合はクネセトで33議席を獲得し、単独で組閣するには足りないものの、クネセトを掌握し、最終的には組閣できる比較的安定した連立を組むには十分な地盤を獲得した。

この数年間で初めて、ネタニヤフ首相の政治キャリアは終わったように思えたし、重大な「汚職の嫌疑」をかけられている首相が、刑務所とは言わないまでも、裁判所に姿を見せる日が来るように思えた。

しかし、ガンツ氏はジレンマに直面し、これは結局、ネタニヤフ氏と挙国一致内閣を組むという一見奇矯な判断へとつながることになった。

リクード党を排除した政権を組むためには、「青と白」連合はクネセトの第3政治勢力、ジョイント・リスト(連帯候補)の元に結集したアラブ諸政党を取り込まなければならなかった。

ジョイント・リストがガンツの不安定な連合(この中には、イスラエル我が家アヴィグドール・リーベルマン氏など、イスラエルで最も悪名高い反アラブ政治家なども含まれていた)に参加することをいとわない姿勢を示したにも関わらず、ガンツ氏はその可能性を避けるために、「青と白」連合の党首としてあらゆる手を使った。

イスラエルにおける人種差別は最悪の状況にあり、アラブ諸政党に対するいかなる政治的譲歩も、多くのイスラエル人から、2018年7月に採択された愛国主義的な新法「ユダヤ人国家法」に明記された「国のユダヤアイデンティティ」に対する裏切りとしてみなされたことだろう。

Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domainガンツ氏は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)で譲歩を強いられたかのように装った形で、ネタニヤフ氏と非常事態政府を組織し、アラブ・ジョイント・リストを除外することに同意した。

3月26日、ガンツ氏はクネセトの議長に指名され、突然辞任したユーリ・エデルスタイン前議長に代わるとともに、新政権の構成に関して、ネタニヤフ氏のリクード党と交渉する場を設けた。

ガンツ氏が自身の決断がもとらす副次的影響を予期していたかどうかは重要ではない。なぜなら彼は意識的に、イスラエルのアラブ社会がこの国の意思決定プロセスに参加する道筋をつけたイスラエルのユダヤ人政治家になるよりも、むしろ悪魔と取り引きする選択をしたからである。

3回連続の選挙や、ますます右傾化するこの国の中道派の政治的論調を分断しようとする必死の試みなど、ガンツ氏が取り組んできたことの全ては、大きな音を立てて崩れた。彼の「青と白」連合のパートナー、イェシュ・アティッドやテレムはクネセト準備委員会に対して正式にガンツ氏の派閥から離脱することを申請し、認められた。

もし今イスラエルで選挙が行われれば、力を取り戻したリクード党が40議席を獲得するのと比較して、ガンツ氏の党がわずか19議席しか獲得できないというのは、驚くべきことではない。

Knesset Israel 61 years./ By צילום: איציק אדרי, CC BY 2.5最終的に自分に有利に働くパワーバランスを利用して、ネタニヤフ首相はその政治的立場を強固なものにし、裁判官の選任を強く要求し(これにより、将来訴追されても身を守れるようになる)、首相の座に就く資格をはく奪する決定を阻止する権利を要求している。

ガンツ氏とネタニヤフ首相が合意に達せなかったことを受けて、組閣作業は、今度はクネセトに移った。21日以内に組閣できなければ、イスラエルは4度目の選挙を行うことになり、与党リクード党とその連合が確実に、圧勝するだろう。

イスラエル政治の「中道派」を復活させた立役者が、最終的にこれを破壊することにもなったのは皮肉なことだ。これにより、ガンツ氏はネタニヤフ氏の政治生命を延命し、結果的にイスラエル右派による権力支配を強化してしまったのだ。(原文へ

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