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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

著名な仏教指導者が核兵器とキラーロボットの禁止を呼び掛ける(池田大作創価学会インタナショナル会長インタビュー)

Photo: Dr. Daisaku Ikeda. Credit: Seikyo Shimbun.【ベルリン/東京IDN=ラメシュ・ジャウラ】

まもなく開催される核不拡散に関する重要協議を前に、仏教哲学者、教育者で核軍縮の確固たる支持者である池田大作博士は核兵器開発を巡る対立がさらにエスカレートすることのないように、緊張緩和への道筋を探るよう呼びかけている。

池田博士は、4月29日から5月10日までニューヨークの国連本部で開催される2020年核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議第3回準備委員会の重要性を強調するなかで、締約国の声を結集し、多国間による核軍縮の履行を力強く働きかけていく必要性を訴えた。2020年は、NPTが発効して50年目の記念すべき年となる。

池田博士はまた、インターナショナル・プレス・シンジケートの基幹媒体であるIDNとの多岐にわたるインタビューの中で、2017年7月に国連で122ヶ国によって採択され核兵器禁止条約が、広島と長崎への原爆投下から75年を迎える2020年8月までに発効が実現することを強く望んだ。

池田博士は、192ヶ国・地域に1200万人以上のメンバーを擁する世界規模の仏教団体創価学会インタナショナル(本部:東京)の会長で、今世紀に入ってから国連に19の平和提言を提出している。

電子メールによるインタビューの全文は以下のとおり。

Q:まもなく開催される2020年NPT再検討会議の準備委員会に際し、池田SGI会長が今年の「SGIの日」記念提言を踏まえて最も訴えたい点は何でしょうか。

A:NPT発効50周年の意義を持つ来年の再検討会議を前にして、世界は今、深刻な核軍拡競争に再び突入することになるのか、それとも、緊張緩和への努力を通じて核軍縮の道を切り開くのか――その大きな岐路に立たされています。

特に懸念されるのは、冷戦終結の象徴ともなったINF全廃条約が失効の危機に直面していることです。アメリカとロシアが条約義務の履行停止を相次いで表明しており、このまま対立の解消ができなければ、8月に条約は破棄されることになります。

また、2021年2月に期限を迎える新STARTの延長についても、米ロ両国が合意できるのかは不透明となっており、核軍縮の枠組みが失われる恐れが高まっているのです。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、先日のジュネーブ軍縮会議での演説において、「われわれは、冷戦時代のように無制限の核競争が展開される暗い日々に戻ることはできない」との警鐘を鳴らしました。私もまったく同じ思いを感じずにはいられません。

Q:そのような事態を防ぐために、今回の準備委員会では何をなすべきだと思われますか。

A:まずは、核兵器開発を巡る対立がさらにエスカレートすることのないように、緊張緩和への道筋を探ることが急務だと思います。その上で、来年のNPT再検討会議に向けて核軍縮の機運を高めるための手立てを話し合う場にしていくことが求められます。

INF全廃条約を締結に導いたミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領は、かつて私との対談集の中で、当時抱いていた問題意識について、こう述べておられたことがありました。

「世界的な核惨事の脅威をなくした、国の安全保障モデルは可能なのだろうか? 安全を維持し、かつ人類が核による自滅の脅威から完全に解放されるためにはどうすればよいのか?」と。

Photo: U.S. President Ronald Reagan and Soviet General Secretary Mikhail Gorbachev at the first Summit in Geneva, Switzerland, in November 1985.このゴルバチョフ氏の問題意識に対し、ロナルド・レーガン大統領の“核戦争に勝者はなく、核戦争を決して起こしてはならない”との思いが合致したという背景があったからこそ、両国は核軍縮に踏み切ることができたといえるのです。

歴史を振り返れば、その目指すべき方向性はNPTの誕生時にも示されていたものでした。核戦争の危険を回避するためにあらゆる努力を払うとの精神が前文で謳われるとともに、核軍縮の誠実な履行の誓約が第6条に明記されていたからです。提言でも強調しましたが、混迷を続ける核問題を打開するためには、こうしたNPT制定の原点に立ち返ることが重要ではないでしょうか。

昨年の第2回準備委員会で北欧5カ国が出した声明でも、「我々は力を合わせてNPTの妥当性を維持・強化し、その弱体化につながるいかなる措置を慎まねばならない」として、“何が各国を結び付けているのか”に焦点を当てる必要があるとの主張がされていました。

私は、NPT第6条に明記された核軍縮の誠実な履行の誓約こそ、その重要な紐帯となってきたものに他ならないと考えます。

二国間の枠組みによる核軍縮の灯火が消えかけようとしている今だからこそ、NPT制定の原点に立ち返って締約国の声を結集し、多国間による核軍縮の履行を力強く働きかけていくことが急務であると思われてなりません。

その突破口を開くためには、2010年のNPT再検討会議の最終文書で共通認識として示された「核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道上の結果への深い懸念」を十分に踏まえる形で建設的な討議を行うことが大切になります。

Photo: UN Secretary-General António Guterres speaks at the University of Geneva, launching his Agenda for Disarmament, on 24 May 2018. UN Photo/Jean-Marc Ferre.グテーレス事務総長の主導で昨年発表された国連の軍縮アジェンダでは、核問題の解決に向けて「人類を救うための軍縮」という新しいビジョンが打ち出されていました。私は、来年のNPT再検討会議において各国がそのビジョンを共有しながら、NPT第6条に基づいた多国間の核軍縮交渉の開始に向けた土台づくりを目指すことを強く呼び掛けたいのです。

Q:核兵器禁止条約の早期発効に向けて、どのような取り組みが重要になるとお考えですか。

A:2017年7月に核兵器禁止条約が国連で採択されて以来、現在まで70カ国が署名し、23カ国が批准を果たしました。

長年にわたって“核兵器の禁止は不可能”と言われ続けてきましたが、世界のヒバクシャをはじめ、SGIも国際パートナーとして参加しているICANなどの市民社会の力強い後押しを得て成立した核兵器禁止条約の批准は、着実に進みつつあるといえます。

条約の発効のためには50カ国の批准が必要となっており、私は、広島と長崎への原爆投下から75年を迎える2020年8月までに発効が実現することを強く望むものです。

この条約の早期発効に加えて、締約国の大幅な拡大による条約の普遍化を図る上で重要な鍵を握るのが、核依存国の行動ではないでしょうか。核兵器を保有する国々の政策転換を促す上で、まずもって欠かせないのが核依存国の間においても「核兵器のない世界」を強く望む意思を目に見える形で表していくことではないかと思うからです。

私はこの観点に立って今年の提言の中で、「核兵器禁止条約フレンズ」という有志国によるグループの結成を提唱するとともに、唯一の戦争被爆国である日本がその活動に加わり、貢献していくことを呼び掛けました。

ICANICANの国際運営団体の一つである「ノルウェー・ピープルズエイド」によると、核兵器の開発・実験・生産・製造・取得・保有・貯蔵から、移譲と受領、使用とその威嚇、違反行為を援助することや援助を受けること、配備とその許可について、すでに155カ国が禁止状態にあるといいます。

つまり、核兵器禁止条約にまだ参加していない国も含めて世界の8割近くの国々が、条約の禁止事項に沿った安全保障政策をすでに実施しており、これらの国々に加えて、核依存国が自国の条約参加に向けた課題の克服を模索しながら、新たな行動に踏み出すことができれば、「核兵器のない世界」への潮流は揺るぎないものになっていくと考えるのです。

また、「核兵器禁止条約フレンズ」の枠組みを通して、これまで核兵器の脅威や非人道性などを巡って国際社会で積み上げられてきた議論を今後も深化させていくことができれば、核保有国と非保有国との意見の溝を埋める上で大きな意味をもってくるはずです。

そのためにも日本が唯一の戦争被爆国の使命として、こうした“橋渡し役”を積極的に担っていくことが大切ではないでしょうか。

Q:核兵器禁止条約を巡る意見の溝を埋めるために、どのような観点からの議論が大切になると思われますか。また、とりわけ日本には、そのようなプロセスを加速させるうえでどのような取り組みを期待されますか。

A:日本の主導による「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の第4回会合が3月に京都で行われましたが、そこでの核保有国と核依存国と非保有国の識者が参加しての議論でも、新しい問題意識が提起されていました。

つまり、サイバー技術の進展や精密な兵器の開発などで安全保障環境が変化しており、そうした環境下では、核保有によって他国の核使用を思いとどまらせようとする「核抑止」の考え方の見直しが迫られるとの問題意識です。会議の出席者からは、こうした状況の変化への認識が、核保有国と非保有国が話し合う“共通の土俵”になり得るとの声も出ています。

私どもの創価学会平和委員会が参画する「核兵器廃絶日本NGO連絡会」でも、この賢人会議の第4回会合に寄せて、次のような市民社会からの提言が示されました。

「核兵器の非人道性に関する国際的な規範が形成され拡大されてきたこと、そして核兵器禁止条約がその流れの中に存在するということは、歴史的な事実です。賢人会議は、この事実が諸国間の対話の出発点に位置づけられなければならないということを、明確に発信すべきです」と。

こうしたNGOからの声に加えて、宗教界の間でも日本の果たす役割に注視が集まっており、今年11月にはローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が、被爆地である長崎と広島を訪問することが予定されています。

私どもSGIでは、多くのNGOをはじめ、さまざまな信仰を基盤とした団体(FBO)と協力しながら、核兵器禁止条約を支持するグローバルな民衆の連帯を広げ、広島と長崎への原爆投下から75年を迎える来年を、核兵器禁止条約の発効による“核時代決別への出発年”にしていきたいと強く決意するものです。

Q:核兵器の近代化が進む一方で、「自律型致死兵器システム(LAWS)」は、国際平和や安全保障に対して深刻な脅威をもたらそうとしています。どのような対応策が考えられるでしょうか。

A:AI兵器やロボット兵器とも呼ばれる「自律型致死兵器システム(LAWS)」は、現在のところ、いくつかの国が開発を進めている段階で実戦配備には至っていませんが、その状態に迎えてしまう前に、国際的な規制の枠組みを早急に設ける必要があると考えます。

私はかねてから、良心の呵責も逡巡も生じることなく自動的に攻撃を続けるLAWSには、人道的観点や倫理的観点から重大な問題があると訴えてきました。

Photo: Killer robot. Credit: ploughshares.caSGIとしても、LAWSの開発と使用の禁止を求める市民社会のネットワークである「ストップ・キラーロボット」の運動に加わってきましたが、国際社会ではこうした問題に加えて、安全保障や軍事的な面からも懸念が広がっています。

ひとたびLAWSを導入する国が実際に現れれば、核兵器の誕生に匹敵するような世界の安全保障環境を一変させる事態になりかねないとの懸念です。

また、国連の「軍縮アジェンダ」においても、LAWSは人工知能に操作を依存するがゆえに「予期しない行動や説明できない行動を起こす可能性」を常に抱えているとの警鐘が鳴らされていました。

このようにLAWSに対する懸念は広がりをみせているものの、国際的な規制についての各国の意見は分かれています。

2017年以来、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みの下でLAWSに関する政府専門家会合が重ねられ、今年3月にもジュネーブで第4回会合が開かれましたが、意見の溝は大きく、具体的な進展はみられませんでした。

しかし、各国や市民社会から提起された主張の中には重要な観点も多く、今後さらに議論を深めていく上で土台になるものだと思います。例えば、ICRC(赤十字国際委員会)は、“兵器の使用だけでなく、兵器の設計や開発の段階においても国際人道法による評価が必要”との観点を強調したほか、人権NGOのヒューマンライツ・ウォッチは“国際人道法は人間の生死が機械に委ねられるような状況を扱うように設計されていない”との指摘をしました。

また、規制についての立場が異なる場合でも、「武器使用における人間の制御は決定的に重要である」との認識については大多数の国々が共有していることに加えて、LAWSの開発を行う意思はないことを表明してきた日本が、考慮すべき要素の一つとして“市民社会からの懸念”に言及していたことにも留意すべきです。

その一方で、規制に関して慎重な立場の国々からは、LAWSの攻撃の精度を上げることで市民を巻き込む被害を削減することができるとの主張もされました。しかし、こうした主張は、核兵器に関して「クリーンな核兵器」や「スマート核兵器」の開発を志向するのと同じような思考を感じる面があります。

そうではなく、LAWSに“良いLAWS”と“悪いLAWS”との区別があるかのような考え方は、国際人道法の精神に照らして禍根を残すものとなるとの大前提に立つことが重要ではないでしょうか。

この点、私どもSGIもメンバーとして連なっている「ストップ・キラーロボット」のキャンペーンが、第4回の政府専門家会合に寄せて発表した声明でも、国際人道法と国際人権法の観点に加え、道徳的・倫理的な観点からLAWSの法的規制を強く求め、手遅れになる前にLAWSの開発を中止させて軍拡競争を招かないようにするよう、強く呼び掛けています。

Q:具体的には、LAWSのどんな点が特に問題だと思われますか。

A:私が1月に発表した提言でも指摘したように、LAWSは、ドローン兵器の場合にみられるような、攻撃をする側と攻撃をされる側の人間が同じ空間にいないという“物理的な断絶性”を生じさせる傾向が強いことに加えて、実際の戦闘行為が攻撃を意図した人間と完全に切り離されるという“倫理的な断絶性”を招くものです。

これは、20世紀の二度にわたる世界大戦をはじめとする多くの惨劇を経て、国際社会の中で重視すべきものとして確立されてきた「人間の尊厳」や「生命への権利」などの原理に真っ向から反するものであり、私はこうした〝倫理的な断絶性〟に目を向けることを忘れてはならないと強調したい。

今後、LAWSが実際に使用されるような事態が起きた場合に、これまで戦闘行為に関わった人々の多くが感じてきたであろう、自身の行為に対する“深い悔恨”と、戦争に対する“やりきれない思い”、そして、次の世代のために平和な関係を築き直したいと切実に願う“一人の人間としての決意”が入る余地は、そこにあるでしょうか。

また、AIが制御する兵器において、敵味方に分かれた相手に対する複雑な思いや、人間性の重みを感じて、一時的であれ、戦闘行為を踏みとどまることはあり得るのでしょうか。

UN Headquarters in NY/ Photo by Katsuhiro Asagiriその結果、軍事的な攻撃の垣根が低くなり、甚大な被害が広がるだけでなく、紛争の終結後も、敵味方に分かれた双方の国の人々が和解する余地は、きわめて狭められたものになりかねません。このように核兵器とは別の意味で、攻撃される側の国にとっても、攻撃をする側の国にとっても取り返しのつかない結果を招くのが、LAWSに他ならないのです。

そうした面からも、私は、LAWSを全面的に禁止する条約づくりを目指すことが必要だと考えます。

開発段階にあるだけで実戦配備されていない兵器を禁止する枠組みを設けることは容易ではないとの声もありますが、人間を失明させるレーザー兵器に関して、実戦配備される前の段階でCCWの議定書によって禁止された先例もあります。

SGIとしても、LAWSという兵器にひそむ本質を見据えつつ、開発と使用の禁止を求める国際世論を粘り強く喚起していきたいと思います。英語版)(スペイン語版

INPS Japan

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