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最新の報告書が地球を脅かす「ホットハウス(温室化)」現象について警告

Photo: A dried cornfield is pictured on August 6, 2018 in Mitschdorf, eastern France, as a heatwave sweeps across Europe. Credit: phys.org【ベルリンIDN=リタ・ジョシ】

地球は、転換点となるしきい値を超え、危険な温室状態が永続する「ホットハウス」状態に突入する地点に向かって少しずつ進んでいる。その地点を超えると、各河川は氾濫し、海岸線が消滅。沿岸地域は暴風雨に晒され、サンゴ礁は消滅、多くの人々が食糧不足や逃れられない致命的な猛暑で命を落としていくことになる。

たとえ気候変動を食い止める国際条約(パリ協定)のもとで温室効果ガスの削減目標が達成された場合でも、こうした状況が今世紀末或いはもっと早い時期に現実のものになる可能性があると、独ポツダム気候影響研究所コペンハーゲン大学、ストックホルム・レジリエンス・センター、オーストラリア国立大学の科学者らが警告した。

SDGs Goal No. 13科学者らが米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した研究報告書によると、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5度~2度に抑えることは以前考えられていたよりも困難な可能性があるという。「ホットハウス・アース(温室化した地球)」状態に突入した気候の下では、世界の平均気温は、やがて産業革命以前に比べて4度~5度上昇したところで安定化し、海面は現在よりも10~60メートル上昇する、と報告書は指摘している。

報告書の執筆者らは、結論として環境保護と経済成長を両立させるグリーン経済への転換を地球規模で早急に実現する必要があると訴えている。

「人間が経済活動の中で排出する温室効果ガスのみが、地球温暖化を決定づけている唯一の要因ではありません。私たちの研究から分かったことは、地球温暖化が産業革命以前に比べて2度上昇すると、しばしば『フィードバックス』と呼ばれる地球上の重要な転換要素が活性化され、その時点でたとえ人類が温室効果ガスの排出を停止できたとしても、地球全体がさらに高温になっていく可能性があるのです。」と、報告書の主執筆者でオーストラリア国立大学のウィル・ステフェン教授は語った。

「このシナリオを回避するには、人間の行動を、地球の生態系を搾取する存在から適切に管理する存在へと生活スタイルを転換していかなければなりません。」とステフェン教授は付け加えた。

現在、世界の平均気温は産業革命以前に比べて既に1度上昇しており、10年間で0.17度ずつ上昇し続けている。

報告書の執筆者らは、突然の変化につながるいくつかの「転換要素」を含む10種類の自然システム永久凍土の融解、海底からのメタン水和物の減少、陸上や海中での二酸化炭素吸収量の減少、海中におけるバクテリアの増殖、アマゾン熱帯雨林や北方林の立枯れ、北半球の積雪の減少、北極圏・南極圏の海氷や極域氷床の減少を「フィードバック・プロセス」と名付けて検討している。そして、これらの自然システムは、温暖化が一段と進んだ世界では、今のように二酸化炭素を吸収する「人類の友」である存在から、一転して無制限に二酸化炭素を排出する「人類の敵」になる可能性があると指摘した。

Trajectories of the Earth System in the Anthropocene/ PNAS「平均気温が2度上昇すると、こうした重要な転換要素が活性化され、気温がさらに上昇します。そうなると、他の転換要素がドミノのように次々と活性化されていき、地球全体がさらに高温になっていきます。こうしたドミノ現象は、一度始まってしまうと、止めることはほとんど不可能でしょう。『ホットハウス・アース(温室化した地球)』が現実のものになれば、地球は人が住める場所ではなくなってしまいます。」と、報告書の共同執筆者であるストックホルム・レジリエンス・センター所長で次期独ポツダム気候影響研究所共同所長のヨハン・ロックストローム氏は語った。

次々と起こる出来事が地球の生態系そのものを揺るがしかねない

Portrait Prof John Schellnhuber/ Foto Hollin「私たちは、産業化時代の温室効果ガスの排出が、いかにして気候変動を引き起こし、究極的には地球の生態系そのもののバランスを崩しているかを示しました。とりわけ、地球の自然システムに内包されている諸要素の中で、ある一定のストレスがかかれば、次から次へと、急速かつ恐らく不可逆的に変質する転換要素について研究に取り組みました。こうした連鎖が起きるようになれば、地球というシステムの全体が新たなモードに入ることになりそうです。」と、報告書の共同執筆者でポツダム気候影響研究所の所長を務めるハンス・ヨアヒム・シェルンフーバー氏は語った。

シェルンフーバー氏はまた、「私たちにもまだ分かっていないのは、パリ協定が思い描いたように、はたして地球の気候が産業革命前から2度上昇のぎりぎり手前で安全に『留まっていられるか』という点です。たとえ留まることができても、ある転換要因が限界値を超えて活性化してしまえば、容易に『ホットハウス・アース(温室化した地球)』状態に転落していく危険性があります。私たち科学者は、この点のリスクを早急に評価しなければなりません。」と付け加えた。

温室効果ガスの削減のみでは不十分

 『ホットハウス・アース(温室化した地球)』状態に陥るリスクを最大限に回避するには、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出を削減するだけではなく、新たな生物学的炭素貯蔵の場を拡充する、例えば、森林の再生を図ったり、農業や土壌管理を拡充したり、大気中から炭素を取り除き地中に蓄える技術を開発するといったことにも労力を割いていかなければならない、と報告書は述べている。

さらに報告書は、これらの施策は、地球の平均気温を産業革命前の2度以下に保った「安定化させた地球」を維持するために必要な、根本的な社会変化に裏打ちされたものでなければならない、と強調している。

 A stability landscape, the current position of the Earth System is represented by the globe at the end of the solid arrow in the deepening Anthropocene basin of attraction./ PNAS「気候変動など地球規模の変化は、人類が地球規模で地球のシステムに影響を及ぼしていることを示しています。つまり、国際コミュニティーが地球との関係を管理し、未来の惑星の状態に影響を与えられることを意味していいます。この研究では、そのために利用できるいくつかの手段を特定しました。」と、報告書の共同執筆者でコペンハーゲン大学に所属するキャサリン・リチャードソン教授は結論付けた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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