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米議会は核の第三次世界大戦を法律上抑えられるか?

Photo courtesy of National Nuclear Security Administration / Nevada Site Office【国連IDN=シャンタ・ロイ】

ドナルド・トランプ米大統領は、核兵器に関する一貫性のない言動を繰り返し、北朝鮮を「完全に破壊する」と公に威嚇したことから、反核・反戦活動家の間に激しい政治的反発を招いている。

「中心的な問題は、ドナルド・トランプが、核兵器がいったいどんなものであるのか、たとえ一発でも、北朝鮮、あるいはいかなる場所に発射した場合に引き起こされる人道上の大惨事について、彼が無知であるように見えることだ。」と語るのは、「アクロニム軍縮外交研究所」のレベッカ・ジョンソン博士である。彼女は、2017年のノーベル平和賞受賞団体である「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)創設時の共同代表でもある。

緊張が高まる中、エドワード・マーキー上院議員(マサチューセッツ州選出)と、テッド・リュー下院議員(カリフォルニア州)―いずれも民主党―は、米議会に対して、議会による宣戦布告なしに核兵器の先行使用を一方的に命令する大統領の権限を制限する法案を提出している。

今年1月下旬に提出されたこの法案は、9月の国連総会での演説など、トランプ大統領による最近の激しい発言を受けて、注目を集めるようになってきている。国連でトランプ大統領は、「米国は大きな力と忍耐を備えているが、自国や同盟国の防衛を迫られれば、北朝鮮を完全に破壊せざるをえない。」と表明した。

この数カ月間トランプ大統領は、もし北朝鮮が米国を威嚇するなら、「世界が見たこともないような炎と怒りに直面するだろう。」と述べている。また、米国の核戦力は「過去のいかなる時期よりもはるかに強く、強力だ。」とツイートしている。

Bob Corker official Senate photo共和党所属で、強い権限を持つ上院外交関係委員会の委員長であるボブ・コーカー上院議員(テネシー州選出)は10月8日、トランプ大統領の無謀な言動は、米国を「第三次世界大戦への道」に引きずり込みかねない、と発言した。ここで語られていないことは、「もしそんな戦争が起きれば、それは核戦争かもしれない」ということだ。

他方、トランプ大統領は、7月の国家安全保障評議会の会合で米国の核戦力を10倍に増強することを自身が求めたとの米テレビネットワークの報道を強く否定した。

米国防総省によると、米国が保有する核弾頭数は、1960年代のピーク時は約3万発にのぼったが、現在は約4000発にまで減少している。

Official Portrait of President Donald Trumpニューヨーク・タイムズが10月12日の社説で指摘したように、トランプ氏は大統領予備選中に、「もし核兵器を使わないのなら、持つ意味は何なのか」と疑問を呈したと言われる。

ジョンソン博士はIDNの取材に対して、「トランプ(大統領)も北朝鮮の金正恩(委員長)も、あたかも崖に向かって高速車を飛ばして度胸を競い合う『チキンレース』を演じて気勢を張っている酔っぱらいの若者のようだ。」と語った。

提案されている法案に関してジョンソン博士は「この状況において、もし法案が超党派による多数の支持を得て、議会が大統領から核の発射権限を取り上げることができれば、もちろん有益です。」と語った。

共和党が多数を占めるの議会でこの法案が支持を得るのは困難が予想されるが、多くの共和党議員が一部の法律に関してトランプ大統領を公然と批判する兆候が出てきている。例えば、対ロシア制裁の一方的解除を大統領に認めない、といったことが挙げられる。

ジョンソン博士は、「こうした政治的な制約がたとえどんなに有益であったとしても、米国が依然として数千発の核弾頭を警戒態勢に置いている状況の下では、あくまで脆弱で一時的な安全策に過ぎません。」と語った。

ジョンソン博士はまた、「トランプ大統領は、核兵器を除去し、その取得や使用を防ごうとする国際的な核軍縮・安全保障の取り決めを損なおうとしています。」と指摘した。

ジョンソン博士はさらに、「第一に、米国は7月7日に122カ国の賛成で採択された核兵器禁止条約を否定しました。そしてトランプ大統領は現在、イランとの信頼を築いてきた核合意を破壊しようと全力を挙げています。しかしこのような動きは、北朝鮮のように核開発を推進したいと考えているイランの強硬派の思う壺になっているのです。」と語った。

M.V. Ramana審議中の法案について、ブリティッシュ・コロンビア大学公共政策・グローバル問題大学院教授であるM・V・ラマナ博士はIDNの取材に対して、「この法案は、通過する可能性が高いからではなく、壊滅的な影響をもたらす核兵器の使用権限を、ドナルド・トランプ氏に限らずいかなる米大統領に対しても制限しようとする議論に道を開くものとして、重要な取り組みであると思います。」と語った。

「この極度の破壊力を統制する能力は決して個人に委ねられるべきではありません。これこそが、核兵器の非民主性を示す主な意味合いと言えるでしょう。」と『約束された力:インドの核エネルギーを検証する』の著者でもあるラマナ氏は語った。

提案されている法案H.R.669S.200には、「2017年核兵器先制使用制限法案」という名称が付けられている。

Official photo of U.S. Congressman Ted W. Lieuリュー下院議員は「核戦力の三本柱(=陸・海・空軍戦力であるICBM・SLBM・戦略爆撃機)に対する無知をさらけ出した人物が米国の最高司令官であり、その人物が核兵器に関する『予測不能性』への願望を口にし、大統領候補だった時期に米国の核政策に関して大雑把な内容をツイートしていたということは、恐るべき現実です。議会は、米国が核兵器を使用する最初の国になる状況を制限することで、世界の安定維持のために行動を起こすべきです。」「我が国の創立者たちは、抑制と均衡のシステムを作り出しました。この基準を、核戦争という、文明を終焉させかねない脅威に適用することが肝要です。我が国の核兵器発射政策を米国憲法の理念に一致させ、より安全な世界に向けて邁進すべく、マーキー上院議員とともに2017年核兵器先制使用制限法案を提出できることを誇りに思います。」と述べたと伝えられている。

マーキー上院議員は、「核戦争は人類の生存に対する最大級のリスクです。しかし、トランプ大統領はテロリストに対して核攻撃を検討すると示唆しています。残念なことに、紛争において核兵器の先制使用オプションを維持することによって、米国の政策はトランプ大統領にその権限を与えてしまっているのです。他の核武装国との危機においては、この政策は意図しない核のエスカレーションを引き起こすリスクを大幅に増すことになるのです。」と語った。

Official portrait of U.S. Senator Ed Markeyマーキー上院議員はまた、「トランプ大統領であれ、また他のいかなる大統領であれ、核攻撃に対する反撃以外の局面で核兵器の使用を容認されるべきではありません。核兵器の先制使用を制限することで、この法案はこの単純な原則を法制化するものです。」と語った。

8月14日にボストンで行った記者会見でマーキー上院議員は「どの大統領も、議会の承認なしに核の第一撃を発射する権限を与えられるべきではありません。こうした攻撃は、道徳に反し、均衡を欠き、米国民と人類文明の生存を危機に晒しかねない壊滅的な核の報復という脅威を米国にもたらすものとなるでしょう。」と語った。

ジョンソン博士は、「トランプ氏は無知にも、核兵器は米国の力を行使し彼の個人的な男らしさをひけらかすための素晴らしく巨大な兵器であり、自身を最強で無敵なものにする『抑止』と呼ばれる魔法の手段を手に入れたぐらいに考えているようだ。」と語った。

「核兵器使用の威嚇を行うことが『抑止』だとみなされていますが、抑止は魔法ではありません。」「それは、明確な意思疎通があり、計算違いや誤解、あるいは政治的・技術的ミスのリスクが存在しないときにのみ機能する防衛の一形態です。」とジョンソン博士は語った。

Rebecca Johnson 「しかし、依然として1万5000発の核兵器を保有している9カ国を正当化するために使われている、核抑止に関する幻想は、トランプ氏だけが抱いているものではありません。そのため、ICANこの10年にわたって、核抑止政策に伴う危険性と、この恐るべき大量破壊兵器の使用が人類と地球に及ぼす恐るべき影響を示することで、核兵器禁止条約の実現に向けて諸政府と市民社会を動員してきたのです。」「この根本的なメッセージは、この危険な大量殺戮兵器に関して『安全に管理できる主体(=Safe hands)』など存在しないということです。」とジョンソン博士は指摘した。今や核兵器は条約によって禁止されているのだ。

「核兵器を配備し、その使用の威嚇を行うことは、事実上戦争犯罪と人道に対する罪を犯す準備に等しい行為であり、違法とみなされるべきです。核兵器禁止条約は、核兵器の地位や価値に対するいかなる幻想も剥ぎとるものです。従って、米国も北朝鮮もロシアも、その他すべての核武装国も参加して、その核戦力を廃棄し、我々すべてが直面している安全保障上の難題を解決するためにより効果的な意思疎通を図り始める必要があります。」とジョンソン博士は語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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