|新型コロナウィルス|国連事務総長のグローバル停戦の呼びかけが支持を集める
【ニューヨークIDN=ラドワン・ジャキーム】
国連のアントニオ・グテーレス事務総長が3月23日、「世界のあらゆる地域における即時停戦」を高らかに呼びかけた。いまや人類全体を脅かしている共通の敵である新型コロナウィルスとの闘いという大きな目的のために武器を置くことを交戦当事者に求めたのである。
停戦によって、ウィルス感染拡大の危機にあって最も脆弱な立場に置かれた人々に人道支援を届かせることができる。新型コロナウィルスは2019年12月に中国・武漢で発生し、現在(4月4日現在)、207カ国以上での感染が報告されている。世界保健機関(WHO)によると、これまでのところ全世界で97万近くの症例、5万人以上の死亡が報告されている。
新型コロナウィルス拡大の中で強行された北朝鮮のミサイル実験について憶測広がる
【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
国際社会が世界的な新型コロナウィルスの感染拡大との闘いで手いっぱいになる中、北朝鮮による今年初のミサイル発射への対応が制約を受けている。国連安全保障理事会は3月5日に非公開会合を持ったが、決議案に合意できなかった。
しかし、英国・ドイツ・フランス・エストニア・ベルギーが「共同声明」を出し、「北朝鮮が3月1日に実施した弾道ミサイル実験を深く憂慮する」と述べた。
教育に関する国連会議が「戦争はもういらない」と訴える
【ニューヨークIDN=ナリン・B・スタスシス】
国連は「戦争の惨害から将来の世代を救う」決意とともに創設された。国連が今年75周年を迎える中、「国連についての教育に関する委員会」(CTAUN)が、韓国国連代表部との共催で「戦争はもういらない」という会議を2月末に開催した。
会場となった国連信託統治理事会会議場には、収容能力いっぱいの673人が集まった。そのほとんどが高校生から大学院生に到る若い学生たちや、現役・退職教員、その他、この問題に関心を持つ人々であった。
トランプ政権のイラン核合意からの離脱が裏目に出る
【ウィーンIDN=ラインハルト・ヤコブソン】
国連の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)が3月3日に発表したイランに関する四半期報告によれば、前回の報告よりも相当程度に濃縮ウランの量が増している。2019年11月の備蓄量372.3kgから、この2月には1020.9kgまで増えたと『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』誌が報じている。
648.6kgの増加は、2015年7月14日にイランと「P5+1」(中・仏・独・ロ・英・米)が署名した包括的共同行動計画(JCPOA)が設定した備蓄量制限である300kgに大きく違反するものである。この核合意は、2015年7月20日に採択された国連安保理決議2231によって追認されている。
|アフガニスタン|和平に備える市民社会
【ドーハ/カブールIDN=バーンハード・シェル】
米国とタリバンが2月29日に画期的な取り決め(=和平合意)を結ぶはるか以前から、アフガニスタンの女性や若者、地域社会の指導者や宗教指導者らは和平の実現を強く望み、真剣に備えてきた。
今回の取り決めは、18年以上に及ぶ米国の最も長い戦争の終結させる土台を設定し、ドナルド・トランプ大統領が約束通り米軍の撤退を開始できるようにするものだ。米軍と同盟国軍は2001年以来アフガニスタンに駐留している。
モーリタニアの反奴隷制活動家とイランの女性人権活動家が受賞
【ジュネーブIDN=ジャムシェッド・バルーア】
「モーリタニアのネルソン・マンデラ」と呼ばれた元奴隷の子孫であるビラム・ダー・アベイド氏と、イランの著名な女性人権活動家シャパラク・シャジャリザデー氏が、重大な人権侵害と闘ってきた勇気を表彰された。
「奴隷制廃止運動再生イニシアチブ」(IRA)の創設者であるアベイド氏は、数多くのモーリタニア国民を動員して、奴隷制と、反奴隷法の適用を政府が怠っていることに抗議している。
|視点|核不拡散条約と軍縮の将来に不確実性漂う(タリク・ラウフ元ストックホルム国際平和研究所軍縮・軍備管理・不拡散プログラム責任者)
【広島IDN=タリク・ラウフ】
今年の8月6日と8月9日、広島・長崎は原爆投下から75周年を迎える。被爆者に会ったり爆心地を訪問したり、破壊された両都市の惨状を写真で見たりしたことがある者ならば、核兵器がもたらした惨状に衝撃を受け、恐怖を抱かないわけにはいかないだろう。
幸い今日に至るまで、広島・長崎以外に核兵器が戦時に使用された事例はない。広島・長崎への原爆投下は、核兵器のさらなる使用と拡散を予防することが、そして「核兵器なき世界」につながる核軍縮が、なぜ人類とこの地球の生存にとって最も重要な意味を持つのかを、常に私たちに思い起こさせる出来事であった。それは一つの希望であったと言えよう。
子どもの現状に専門家が懸念
【ジュネーブIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
生態系の劣化や気候変動、それに、過度に加工されたファーストフードや甘い飲み物、アルコール、タバコの消費を促す搾取的なマーケティング慣行によって、世界の子どもや若者の健康と未来が差し迫った脅威に晒されていると指摘する、画期的な報告書が発表された。
世界の子どもと若者の保健専門家40人以上からなる委員会が作成したこの報告書は、「子どもたちが気候危機の崖っぷちに立たされており」、「子どもの健康や環境、未来を適切に守っている国はない」と指摘している。
米国のイラン核合意離脱に困惑する関係諸国
【イスタンブールIDN=バーンハード・シェル】
イランは、正式には「包括的共同行動計画」(JCPOA)として知られる核合意に伴うウラン濃縮について、今後は制限を順守しないと発表したことで、バッシングを受ける事態となっている。この宣言によって、イランの行動・意図や核合意の将来に対する疑念が出てきた。
「これらの問題を最もよく理解するには、イランが核活動を平和目的に限ると約束したJCPOAの構造を見る必要があります。」と指摘するのは、「核脅威イニシアチブ」(NTI)のアーネスト・J・モニツ共同議長兼CEOである。