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|米国メディア|2011年の海外ニュース「アラブの春」が首位を占める

 

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

 

権威あるティンドール・レポートが発表した最新の報道年次報告によると、「アラブの春」関連の報道時間が2011年にテレビ放映されたイブニングニュースの首位を記録していることが明らかになった。この値は、同年に米3大ネットワーク(ABC, CBS, NBC)が報じた全てのニュース報道の約10%を占めている。

国内・海外ニュースを問わず昨年最も報道された2大ニュースは、北大西洋条約機構(NATOが支援したリビアの民衆蜂起とムアンマール・カダフィ大佐の殺害、そして、エジプトのホスニ・ムバラク大統領の追放とその後の余波についてであった。

 
リビア関連の報道時間は約700分で、これは米3大ネットワークがイブニングニュースで報じたニュース報道時間の総計の5%にあたる。一方、エジプト関連の報道は約500分であった。

しかし、同じ「アラブの春」関連の報道でも、シリア(143分)、バーレーン(34分)、イエメン(29分)における民衆蜂起や、昨年の冬以来北アフリカと中東を席巻している「アラブの目覚め」に関する概要(42分)関連の報道については、報道時間はずっと短いものであった。

「通常、3大ネットワークは、米軍が海外で軍事活動に関与している場合のみ当該国に関する報道を強化するのが通例です。しかし2011年は、米軍が地上に展開していない国々について1991年以来、最も多くの時間を割いて報道した年となりました。」とティンドール・レポートの創設者で発行人のアンドリュー・ティンドール氏は語った。

カダフィ大佐の政権を瓦解させたNATOの軍事作戦では、米空軍が一翼を担ったが、米国の地上軍が投入されることはなかった。

「簡単に言えば、外交政策で視聴者の関心を最も惹きつけるのは戦争、すなわち軍事力を行使する場面です。一方、外交的な駆け引きに関するテーマは、世界の紛争地帯に関する取材をするうえで、より国際的な見方が介入する余地があるため、戦争報道と比較してニュースになりにくいのです。」とティンドール氏は語った。

また米3大ネットワークは、2011年に米国が地上軍を展開していた2つの戦争-アフガニスタンとイラクについては、リビアやエジプトほど報道しなかった。アフガニスタン関連の報道時間は全体8位の224分で、これはエジプト関連の報道時間の半分にも満たない。一方先月駐留米軍の撤退を完了したイラクに至っては、僅か71分しか報道されていなかった。

昨年5月のパキスタンにおける米海軍特殊部隊によるオサマ・ビンラディン氏殺害に関する報道時間は179分で、アフガニスタン報道に続く全体第9位であった。

ピュー・リサーチ・センター
が発表したピープル&ザ・プレスのための最新調査では、2011年には国民全体の約3分の2がテレビを国内/国際ニュースの主要情報源にしていたという。この人数は新聞を主要情報源としている人々の2倍以上であり、近年伸びてきているインターネットを主要情報源としている人々の数(43%)と比較しても約50%上回るものである。

フォックス・ニュース、CNNMSNBCといったケーブルニューステレビは主要な情報源として広く視聴されるようになったが、それでも米3大ネットワークによる30分間のイブニングニュース番組の視聴者は、依然としてケーブルテレビの視聴者の7倍に上る。つまり多くの米国民にとって、3大ネットワークのイブニングニュースは、海外情報について知る事実上唯一の手段なのである。

米3大ネットワークのイブニングニュースの放送時間は、平均22分である。ティンドール・レポートは、過去20年以上に亘って一貫した方法でこうしたニュース内容の収集・分析をおこなっている。具体的には、年間を通じて平日放送されるこうした3大ネットワークのイブニングニュース番組を録画し、放送された数百に及ぶトピック毎に放送時間を集計している。3大ネットワークは、国内/国際ニュースに年間合計約15,000分を費やしている。

3大ネットワークが2011年を通じて国際ニュース(ワシントン発の米政府による外交政策に関する報道は含まない)に費やした報道時間は3105分で、全体の20%強であった。これは1988年から2010年の間の平均実績を約250分も上回るものである。

3大ネットワークの2011年報道トップ20では、8つの海外報道がランクインした。リビア(第1位)、エジプト(第2位)、アフガニスタン(第8位)、ビンラディン氏殺害(第9位)以外では、日本の東日本大震災・津波・福島原発事故が389分で第4位、英国のロイヤルウエディングが11位、そしてシリア関連報道が14位、そして、英国タブロイド紙の盗聴スキャンダルが20位にランクされた。

一方、連邦政府の赤字と赤字上限額を巡る民主党と共和党の論争に関する報道時間は全体3位の477分、長引く失業問題は7位(263分)、さらに、「ウォール街を占拠せよ」抗議運動関連報道は18位(111分)であった。これら経済関連報道を合計すると、トップのリビア報道を上回った。

報道トップ20にランクインしたその他のトピックとしては、下院議員が負傷したアリゾナ乱射事件(368分で5位)、株式市場の変動(153分で13位)、ペンシルベニア大学フットボール部レイプスキャンダル(143分で15位)、そして、故マイケル・ジャクソン氏の専属医師の裁判(106分で19位)がある。

また2011年には、トルネード被害(358分で6位)、ハリケーンアイリーンが北東部にもたらした被害(178分で10位)、全米を襲った厳しい寒波(165分、12位)、昨春のミシシッピ川洪水被害(129分で16位)の4つの天災関連のニュースが報道トップ20にランクインした。こうした天候関連報道を合計すると830分となり、全報道時間の約7%を占めた。

ティンドール氏によると、メディアが報じているような極端な気候は地球温暖化の兆候ではないかと主張する気候学者が近年増加してきている一方で、米3大ネットワークの報道番組はその点を指摘する努力をほとんど、或いは全くしていないとのことである。

「3大ネットワークの報道は、米国の地球温暖化否定主義に足並みを揃えており、温暖化について報道するどころか、かえって問題を悪化させているといって間違いない。」とティンドール氏は語った。

またティンドール氏は、地球温暖化問題以外に米3大ネットワークが軽視してきた主な国際ニュースとして、迫りくるユーロ崩壊の危機と第二次世界金融危機の可能性に関する報道、及び、引き続き好調な経済成長を背景にとりわけ領海問題について自己主張を強める中国に関する報道を挙げた。

2012年には、イランの核開発疑惑を巡って高まる緊張関係に関する報道が大きくクローズアップされそうであるが、米3大ネットワークが2011年にこの問題に費やした時間は20分以下に過ぎなかった。

「アラブの目覚め」、日本の災害、アフガニスタン情勢、ビンラディン殺害、英国のロイヤルウェディングの他、2011年に米3大ネットワークが報じた主な国際ニュースとして、アフリカの角地域における飢饉(87分)、イラクとドミニク・ストラスカーン国際通貨基金前専務理事の性的暴行スキャンダル疑惑(双方とも71分)、進行中のアルカイダ指導者達を追い詰める努力(46分)が挙げられる。

その他、国際ニュースとして、米国-パキスタン関係とギリシャ危機(双方とも39分)、ノルウェー連続テロ事件とバーレーン情勢(双方とも34分)、北朝鮮の指導者金正日氏の逝去(34分)、イタリアにおける米国人留学生殺人公判(30分)、イエメン情勢(29分)、ロンドン暴動(26分)、イスラエル-パレスチナ紛争(25分)、シルヴィオ・ベルルスコーニ首相の退任・交代騒動(24分)、国連におけるパレスチナの国家認証を求める動き(23分)が報道された。

ティンドール氏は、「NBCCBSは今回20年来の海外報道記録を更新しました。一方、ABCは英国のロイヤルウエディング関連の報道を除いて、全ての海外報道トピックについて、海外報道の扱いが他の2局に比べて大幅に少ないという結果が明らかになりました。」と語った。

CBS
NBCの両ネットワークは、ここ数年、携帯電話やツイッター、スカイプといった安価で機動性があり、ノンプロフェッショナルなニュース収集戦術に対する抵抗感を徐々に見せなくなってきている。

「このことは、国際ニュースを全米ネットワークのイブニングニュースで取り上げるうえで、従来障害となってきた大きな要素-比較的高価なロジスティクス関連の経費-が取り除かれたことを意味します。」とティンドール氏は強調した。(原文へ

翻訳=IPS Japan