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│国連│「われわれは創造的でありたい」(赤坂清隆国連広報局長インタビュー)

UNDPI

【ベルリン/ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

 

ボリウッドやハリウッドで、軍縮や気候変動、ミレニアム開発目標(MDGs)、女性の地位向上などをテーマとし、オープニングに「国際連合。それはあなたの世界」が表示される映画超大作があったらどうだろうか。

2007年4月に国連の広報局長に就任した赤坂清隆事務次官は、ばかばかしい考えだとしてそれを否定することはしない。革新と創造性こそが、赤坂氏と、彼の率いる国連広報局にとって必要とされていることなのだ。

国連広報局
の任務は、全世界の市民に192カ国が加盟する国連について知らしめることである。同局の2010年、2011年の2年間の予算は1億8700万ドルである。

 
また、国連広報局の活動は国連加盟国の決定によって権限を与えられたものだが、全く拘束されているわけではない。「現実の仕事の遂行や、与えられた任務の範囲内で何に力点を置くかに関しては、かなり柔軟にできる余地もあります。私たちはニューメディア等の様々な情報媒体を駆使して限られた予算を最大限に活用したいと思っているのです。」と、2月3日に国連本部でベルリンからのスカイプを通じた取材に応じた赤坂局長は語った。

赤坂氏は1948年(昭和23年)大阪生まれ。国連日本政府代表部大使を経て、2003年から2007年まで経済協力開発機構事務局(OECD)事務次長を務めた。今回、IDN-InDepth Newsでは、赤坂国連事務次長(広報担当)に対して、国連の広報戦略に関するインタビューを行った。

IDN
:昨年3月に実施された世論調査によると、7年連続で、「国連の仕事ぶりに満足していない」と回答した米国民が6割にのぼるそうです。他方で評価していると回答したのは、わずか26%でした。ハイチ地震後の国連の取り組みが米国民の国連に対する認識を変化させる一助となっているでしょうか?

赤坂:そう思います。この米国における世論調査と結果については私も承知しています。たしかに長年に亘り、米国民の間で(国連に対する)かなり大きな不満が燻ってきました。一方で2009年5月から6月に実施されたピュー・グローバル・アティテュード・プロジェクト等の他の調査結果についても注目しています。同世論調査では国連を好意的に捉えている米国人の比率が、2007年当時が48%であったのに対して、2009年の調査時には61%であったと報告しています。つまりここ数年で米国民の国連に対する見方は13%上昇したことになります。

私はこうした世論調査の結果は「国連が良い仕事をしているか否か?」「国連を好意的に思っているか否か?」といった質問の仕方によって影響を受けると思います。また、国連と(世論調査を実施する)構成国との関係、とりわけその時点での国連安全保障理事会における動向が、世論調査の結果に大きく影響を及ぼす傾向があると思います。

確かに、私たちは米国民の国連に対する世論動向について長年に亘って心配してきました。

従って国連としても、ラジオやテレビ、ウェブキャストなどを使いながら、米国の政府関係者やオピニオンリーダーだけではなく一般国民が国連の目的と活動をよりよく理解できるよう、広報活動の改善に努めています。

また潘基文国連事務総長が、サンフランシスコやアトランタ、シカゴ、ヒューストンといった全米各地の大都市を訪問したりもしています。そうして米国の人々とふれあい、国連の活動への理解を得ようと取り組んでいます。

IDN
:これらの努力から教訓は得られましたか?

赤坂:国連広報局としては、米国に対してもそうですが、世界中の一般大衆に対する広報活動を向上させていきたいと考えています。

IDN
:こうした過去の経験から得た知識がハイチ地震勃発後の国連広報戦略に何らかの影響を及ぼしていますか?

赤坂:私たちはハイチ地震に対する国連の対応について取り上げたメディア報道をフォローしています。国連は、地震発生後の早い段階で国連事務総長が現地入りしたのをはじめ、復興指揮に当たる国際連合ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)の専任責任者としてエドモンド・ミュレ氏を急遽任命し派遣、さらに国際社会の支持を動員して、被災者のシェルター設営、治安維持、ヘルスケア支援を含む大規模な人道支援を実施してきました。そしてこうした努力は今後も継続していきます。各種メディアは、国連によるこうした迅速な対応を評価しています。

IDN
:国連事務総長の戦略の下で、2010年にはどのようなことを特に計画されていますか?

赤坂:今年は、5月の核不拡散条約(NPT)運用検討会議のような軍縮関係で重要なイベントがあります。国連事務総長は軍縮問題を最重要課題の一つに位置付けています。それから、2015年の達成が求められているミレニアム開発目標(MDGsの問題もあります。事務総長は今年9月にMDGsに関するサミットを開催することを提案し、国連総会もこれに同意しています。ですから、これも国連にとっての今年の優先課題となります。

また国連の機構改革に関連して女性のエンパワーメントの問題が国連の重要事項となってきています。まもなく女性のエンパワーメント及び男女平等の問題に取り組む全ての国連活動を統括する部局を代表する事務次官レベルの人事がなされる予定です。また事務総長は、女性に対する暴力撲滅活動に従事するハイレベルの特別代表を任命しました。従って、女性の地位向上に関する問題は今後の国連活動における優先分野の一つとなります。

気候変動の問題は、もちろん今年も引き続き最優先事項であり続けます。メキシコシティーで開催されるCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議)は、昨年のコペンハーゲン会議に続く重要な会議となるでしょう。

それから人権問題と国連の内部改革も優先課題であり続けます。これらを含めて、国連事務総長は1月10日、2010年に国連が取り組むべき7つの優先課題MDGs、気候変動、女性のエンパワーメント、核のない世界を目指す、世界の紛争防止と解決、人権、国連改革)を発表しました。

IDN:
これに関連して国連広報局の計画は?

赤坂:私たちは、広報センター、ラジオ、テレビ、ウェブキャストを含む全ての広報手段を動員して取り組みたいと考えています。また、MDGsや気候変動、女性のエンパワーメントといった事務総長の提示した優先課題に取り組むうえで、非政府組織、市民社会、学生、とりわけ若者世代の支援を獲得したいと考えています。そしてこれは国連広報局の広報戦略の最優先事項ですが、様々な国連のパートナーへの働きかけを積極的に行っていきたいと考えています。

国連広報センター

IDN:国連広報局は、主に予算上の理由から、世界各地で広報センターを削減することを余儀なくされています。閉鎖した広報センターの数と現在稼働中の数はどうなっているのですか?

赤坂:現在、世界で合計63の国連広報センターがあります。2003年には、パリやロンドン、ローマなどに開設していた9つの個別のセンターを廃して、翌年ブリュッセルに西ヨーロッパ全域をカバーする地域広報センターを開設しました。

欧州連合の統合が進む中、ブリュッセルの地域広報センターは、MDGs、気候変動、女性等の課題について欧州委員会と密接に連携を取り合っています。こうして地域広報センターは、国連広報局の優先課題と活動を欧州連合の優先課題に照らし合わせて調整する役割を果たせる立場にあるのだと確信しています。このことは私たちの取り組みを進めていく上で欧州連合の人的・財政的資源を頼れることから良いことだと思います。

IDN
:広報局の予算は?このところ増加していますか、それとも減少していますか?

赤坂:実額ではほとんど変わりませんが、過去20年で職員の人数は減りました。

IDN
:実際いくらになりますか?

赤坂:2010年から11年の2年間で1億8700万ドルです。

IDN:
広報センター数の削減措置が及ぼした影響はどうでしょうか?

赤坂:運営費の問題がありましたしかし、私が2007年に国連広報局に赴任してからは、これ以上国連広報センター数は削減しない旨を明言してきました。それどころか新たにアンゴラに新たな広報センターを開設する同意を国連総会に取り付けることができたのです。現在ではその新広報センターを通じてアフリカのポルトガル語圏に対する広報活動を展開できるようになりました。

インパクト

IDN:国連広報センターの縮小・整理措置は、世界各地の人々の国連に対する認識にどのような影響を及ぼしたでしょうか?これらの広報センターの及ぼす影響は先進国と途上国では違いがあるでしょうか?

赤坂:先進国と途上国の間というよりは、広報センターの規模と機能によって確かに違いはあると思います。例えば、ブリュッセルの地域広報センターではスタッフの数は比較的多くなります。また、大きな国連施設内に位置するジュネーブウィーンの広報センターでは広報局の様々なスタッフが勤務しています。これらの広報センターでは確かに比較的多くのスタッフで広報活動を展開しています。

カイロ、プレトリア、メキシコシティーの広報センターについては、地域のハブ機能を持たせる目的でスタッフの増員を行いました。その結果、カイロ事務所が中東地域の広報センターのウェブサイトを管理できるようになりましたし、同様にプレトリア事務所がアフリカ地域の、そしてメキシコシティー事務所がラテンアメリカ地域の広報センターをそれぞれフォローできるようになりました。

このように私たちは特定の広報センターの活動に焦点を当ててきました。しかしその他の情報センターでは(私自身、例えばガーナナイジェリアナイジェリア等、いくつかの広報センターを訪ねたことがありますが)、限られた人数のスタッフが同じく限られた運営費の中で懸命に業務に従事しています。私はこうした小さな広報センターのスタッフがより良い業務展開ができるように施設や機材を拡充したいと思っています。

インドではューデリーに効率的で大規模な広報センターが活動を展開しており、私たちは同センターの現状に満足しています。

ニューメディアの活用

IDN: 国連広報局は、主流大手メディア及び非主流メディアに働きかける戦略をお持ちでしょうか?」

赤坂:私たちはメディアについてそのような区別はしていません。しかし私たちの取り組みを出来るだけ多くのメディアに取り上げてもらうことは重要な点です。例えば、私たちはテレビ用広報ビデオを制作していますが、CNNBBCといった多くの視聴者を有する有力チャンネルがしばしば番組で取り上げています。

現在メディア産業は、ニューメディアの登場を受けて一大変革期を迎えており、私たちもこの認識から、いち早く Facebook , twitter, My Space, flickr といったニューメディアを活動に取り入れるなど、先取の気概に富んだ取り組みを心がけてきました。国連のウェブサイトでは、映像プログラムや記者会見の配信に益々ユーチューブを活用するようになっていますし、国連広報の視聴者を最大限に拡大するためにウェブキャストの利用を積極的に推進しています。

IDN:
それでは近い将来印刷物はなくなるのでしょうか?

赤坂:いいえ。引き続き各種報告者やプレスリリースは紙媒体を活用していきます。印刷物には引き続き重要な役割があると考えています。しかし一方で、携帯電話の普及度に関しては、途上国も含めて多くの国において情報格差(Digital Devide)は問題ではなくなってきています。昨年初めには世界人口68億人の内、携帯電話を所有している人口は40億人に上ります。多くの途上国においても携帯電話は幅広く普及しているのです。つまり、従来のラジオ、テレビの視聴者に加えて、ウェブキャストを通じて携帯電話を持っている人々のもとに国連情報を提供する試みがなされても良いのではないかと思うのです。私たちは携帯電話所有者を対象とした広報アプローチを実施したいと考えています。

また、伝統的なメディアツールとしてラジオ、テレビ、印刷物を引き続き活用して一方いくで、同時にニューメディアの活用を重点的に推進することで、特に若い層の人々が国連の広報活動にアクセスできる環境を創出していきたいと考えています。

IDN
:国連というものは、国連加盟国の意向によって変わるものだという言い方があります。広報局の戦略に対して何らかの影響はありますか?

赤坂:そうですね。我々のほとんどの任務は、国連加盟国の決定によって権限を与えられたものです。予算配分もしかりで、その意味では確かに制約や制限はあります。しかし、現実の仕事の遂行や、与えられた任務の範囲内で何に力点を置くかに関しては、かなり柔軟にできる余地もあります。私たちはニューメディア等の様々な情報媒体を駆使して限られた予算を最大限に活用したいと思っているのです。

国連加盟国が私たちのアイデアを評価できるよう、私たちは創造的でありたいと思っています。一例を挙げると、私たちは現在テレビシリーズ『24』を制作しているテレビ会社と提携した活動を展開しています。

米国には人気のあるテレビ番組がいくつもありますが、我々は、その製作関係者を国連に招いて、児童人身取引や少年兵、麻薬問題などが彼らの番組内に反映されて、国連の大義がよりよく理解されるように努力しています。

この種のことは加盟国によって特に命ぜられているわけではありませんが、加盟国は、広報局がこうすることによって国連の目的と活動を効果的に伝えることができるということで、私たちのこうした活動を高く評価しています。

従って、私個人としては活動に関してあまり制約を受けているという印象は持っていません。むしろ私たちは加盟国と密接に連携していく必要があると思っています。私たちは、加盟国との連携と支援を獲得することで、加盟国と共に目指す使命実現に向けた予算のさらなる有効活用が可能になるのだと思います。

IDN:
活動に対する拘束はないということでしょうか。

赤坂: 私の活動に対して拘束がかけられているとは感じていません。私たちには任務遂行に際してある程度柔軟に工夫できる余地が与えられておりますし、広報委員会(112カ国)の委員とは大変良好な業務上の関係にあります。広報委員会は国連広報局と綿密な連絡をとっておりますし私たちも同委員会の指導や助言を頼りにしています。(原文へ

翻訳=IPS Japan



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