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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|日本|新政権、外国メディアへの規制廃止の意向を示す

 

【東京IPS=キャサリン・マキノ】

 

「新たに政権与党となった民主党は、政府関連組織のプレス発表を外国報道機関関係者にも解放する予定です。」と同党の谷岡郁子参議院議員はIPSの取材に応じて語った。

「私たちはメディア規制を廃止するつもりです。」と谷岡議員は言う。「民主党は全ての報道関係者に対する情報公開を重視しています。」


谷岡氏は参議院議員として8月末の衆議院議員総選挙では民主党女性候補の選挙活動を支援した。民主党は衆議院308議席を獲得し、半世紀余りに亘る自由民主党(自民党)政権に終止符を打った。

 
この革新的な民主党案は、長年に亘り日本独自のメディア文化であるとして、従来フリーランスジャーナリストやラジオ・ウェブレポーター、地域出版社、及び外国メディアの記者を『記者クラブ』から排除してきた障壁を取り除こうというものである。


しかしこの案は、一部のメディア界、とりわけ外国報道機関で歓迎される見込みであるが、一方で『記者クラブ』がこの動きに対してどのような反応を示すか、今後の行方を懐疑的に見ているメディア関係者もいる。


政治評論家で政府の報道官も務めた谷口智彦氏は、「民主的に選出された政治家であれば誰でも、極端にネガティブな報道に耐えられるというものでない限り、あらゆる政治的信条を背景に持ち、記者クラブの既得権益を守るために堅い団結で結ばれた新聞記者のギルドに対処することは出来ないだろう。」と語った。


「これらの記者集団は、
民主党の改革案に真っ向から抵抗するだろう。」と谷口氏は語った。


「記者クラブ体制が崩壊すれば、最も大きな損失を被る日本のメディアを支配する人々は、それを防ぐために全力で抵抗するだろう。」と
日本外国特派員協会(FCCJ)会長を連続5期務めたスティーブ・ハーマン氏は語った。

一方で、民主党の改革案が進展すれば国民から好意的に受け止められるだろうと予想する専門家もいる。


「国民は民主党の改革案を歓迎するでしょう。そして民主党にとっても、本改革案を進めることは同党が官僚を抑え込んで政治家主導の政治を真剣に実現しようとしている姿勢を国民に示すことになると思います。」と東京にあるテンプル大学教授で日本研究の専門家であるジェフリー・キングストン氏は語った。「これは、官僚と共謀して情報を管理する自民党の統治スタイルからの重要かつ象徴的な決別となるのです。」とキングストン氏は付け加えた。


FCCJ
現会長のモンズルール・ハク氏は、「記者クラブ制が廃止されれば、ジャーナリスト、特に公式な記者会見に従来アクセスが出来なかったフリーランス、外国報道機関及び中小出版社の記者にとって大いに助けとなるだろう。」と語った。


FCCJ
にはCNNCBSIPS、タイムアジア、ガーディアン、ドイツ日刊紙フランクフルターアルゲマイネツァイトゥングの特派員等が加盟している。


「日本は変わりつつあり、自民党による54年に亘る支配を経て民主主義も定着しつつあります。日本はその旧態依然とした官僚機構を変革する必要があります。事実、FCCJのメンバーの多くが、記者発表イベントから締め出されてきたのです。」とハク氏は語った。


『記者クラブ』は特定のメディア機関に所属する記者達による情報収集のための協会で、メンバーは、プレス会議やプレスリリース、企業によるプレス発表、政府や警察による任務報告ミーティング等へのアクセス権が与えられている。


また『プレスクラブ』のメンバーには国会、各省庁、地方自治体、東京証券取引所、日本経団連、警察署、首相官邸等、公的機関及び民間団体の双方からプレスルームと作業スペースが割り当てられている。


これらの記者クラブのメンバーシップ規則は限定的なもので、記者会見への参加資格は、通常、これらの記者クラブに所属する記者に限られている。諸外国にも類似の記者対応制度があるが、日本の『記者クラブ』制度はその中でも特にユニークなものと考えられている。


『記者クラブ』制度の起源は、明治時代の1890年に、第一回帝国議会開催に際して記者の議場へのアクセスを禁止する当局の措置に記者が抗議したことに始まる。
時事新報(長年に亘り日本で最も影響力がある新聞社であった)の記者が帝国議会による取材禁止方針に対抗して「議会出入記者団」を結成し、メンバー記者による取材を認めるよう政府に圧力をかけた。


その後両者の妥協が成立し、政府はメディアに対して国民に知ってもらいたい情報を提供し、メディアはそれを忠実に報道した。全国の新聞社が合流し、名称を「共同新聞記者倶楽部」と改め、最初の『記者クラブ』となった。


英字日刊紙
ジャパンタイムズによると、こんにち日本全国には約1500件にのぼる『記者クラブ』がニュース報道機関と官庁、民間企業の関係を取り持っている。


「今日、記者会見は『記者クラブ』メンバー以外にも一部オブザーバーとして参加を認めている。外務省のように中央官庁の中にも、『記者クラブ』メンバーでない外国報道機関の出席と質問を認めるところも出てきている。通信社の中には、『記者クラブ』の会員ステータスに関わらず記者を財務省に配置しているところもある。この制度は報道写真家にも適用される。外国通信社は、皇居など特定の政府部門へのアクセスがある程度認められている。」と、ハーマン氏は語った。


「この制度は外国人記者に対して完全に閉ざされてきた訳ではありません。手続きが余りにも煩雑で事実上外国人記者の『記者クラブ』への加入を不可能にしている点が問題なのです。」


そうした規則の一つが、加入通信社に特定の省庁担当のフルタイム要員を割り当てさせ交代で『記者クラブ』の運営をさせるというものである。「しかしこの制度は排他的でニュースを作る側と収集する側の共生関係を恒常化するものです。」とハーマン氏は付け加えた。


多年にわたって『記者クラブ』制度は、外国通信社にとって大きな障壁となってきた。「政府機関・組織の中には『記者会見』をクラブメンバーのみに解放し、外国の報道機関は露骨な差別の対象となってきました。」とハーマン氏は語った。


「大阪近郊の学校で恐るべき殺人事件が勃発し国際的な注目を浴びた時のことをよく覚えています。警察当局は記者会見を開きましたが、現場に駆け付けた外国人特派員たちは『記者クラブ』のメンバーではないとして締め出されたのです。」とハーマン氏は語った。


評論家は『記者クラブ』の弊害として情報が同時に提供されることから、会員記者達の競争意識や独立心が阻害され、本来ある好奇心や独立調査を行おうとするものの考え方が限定されてしまうという指摘がなされている。


「不十分な知識、独立性の欠如、好奇心の消失などクラブ記者を取り巻く総合的な環境が、問題の政府機関による操作とはいわないまでも、容易にその影響下に記者を組み込む素地となっている。」と谷口氏は語った。


FCCJ
は、各省庁が、記者対応能力と建物内のセキュリティチェックの必要性からある種の登録制を採用していること自体については、西欧諸国においても通常行われていることであり、常に認める立場をとってきた。FCCJが異議を唱えているのは、彼らが単に外国人であることと『記者クラブ』メンバーでないという理由から意図的に排除されてきた点である。


欧州連合はかつて、日本の『記者クラブ』制度のために、いくつかの通信社がプレス発表情報を入手する上で不利な立場におかれているとして問題視したことがある。それを受けて欧州委員会は2003年に「日本の『記者クラブ』制度は記者会見やブリーフィングから外国人特派員を締め出す貿易障壁となっている。」との声明を発表した。


2007年9月に辛うじて一年足らずの政権運営の後に退陣した安倍信三内閣は、政権発足当時に外国報道機関に対する規制を解除しようと試みたが、実現できなかった。


「そして今、あなた達(本記者を含む外国人特派員)は、来年の参議院選挙で再び大勝すべく、今日の蜜月期を出来るだけ引き延ばしたい新顔(鳩山由紀夫総理大臣、民主党党首)の動向を見守っているというわけです。それでも、もし鳩山政権が、『記者クラブ』制度の廃止に成功、或いはそれはあまりにハードルが高いとしても、この問題を無難に乗り越えることは大変困難なことだと思います。」と谷口氏は語った。


翻訳=IPS Japan浅霧勝浩



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