│人権│売りに出される現代の奴隷たち
【IDN人権デスク=バブカール・カシュカ】
「兵器と麻薬の次に、人身取引が世界で3番目に儲かる犯罪産業になっている」―これは、ブルガリアのフォトジャーナリスト、ミミ・チャカロワによるウェブサイト「性の代金」に掲げられている文章だ。
国際労働機関(ILO)によると、強制労働、債務奴隷労働、性奴隷労働などに従事する者が世界で少なくとも1230万人はいるという。そのうち56%が女性だ。また、性奴隷状態にある者が少なくとも139万人いると推定されている。
|ブラジル|男性服役者に輪姦された少女の事件は氷山の一角
【リオデジャネイロINPS=ファビアナ・フレシネット】
パラ州の刑務所内で、15歳の少女が1カ月にわたり、20人の男性服役者に強姦され続けた。少女は窃盗の疑いで連行されたまま、法的な手続きなしに、拘留されていた。
パラ州のカレパ知事は、同州の刑務所の状況が憂慮すべきものであることを認めた。同事件について十分調査すると述べた上で、同州の市営刑務所132カ所のうち男女別に収監できるのは、6カ所だけであると報道陣に伝えた。
|ウガンダ|ミッションは犯罪者に法の裁きを下すこと
【カンパラIPS=ワンビ・マイケル】
国際刑事裁判所(ICC)主任検察官ルイス・モレノ・オカンポ氏は、ウガンダを訪問した際、地域各国の政府が協力してウガンダの反政府組織「神の抵抗軍(LRA)」の指導者を逮捕するよう改めて呼びかけた。
オカンポ検察官は、「アフリカ大湖地域におけるICC加盟国は、LRA指導者で2008年4月の和平交渉決裂後コンゴ民主共和国(DRC)及び中央アフリカ共和国で活動しているジョセフ・コニーを逮捕する義務がある」と語った。ウガンダ、DRC、中央アフリカ共和国はいずれもICC加盟国である。
|人権|カンボジア|数十年の時を経てS-21刑務所の生存者が語る真実
【プノンペンINPS=ロバート・カーマイケル】
「私は手錠をかけられ床にうつ伏せになって横たわるよう命じられた。」と老人は裁判官に向かって証言した。
「看守たちは棒の束を持ってきて床に放り投げました。棒の束は床に落ると大きな音が響きました。そして好きな棒を選ぶように言ったのです。私は彼らに、『兄弟、たとえどれを選んでもその棒で私を殴るのだろう。それならどれにするかは君次第だよ。』と応えました。」
|カンボジア|白日の下に曝されるクメール・ルージュの残虐行為
【プノンペンIPS=マルワーン・マカン・マルカール】
クメール・ルージュ元指導者の残虐行為を裁くカンボジア特別法廷(ECCC)による裁判が5月30日から始まる。
4人の被告のうち最初に裁かれるのは、クメール・ルージュ時代(1975年4月から1979年1月まで)最大のトゥールスレン刑務所(S-21)の所長カン・ケ・イウである。同刑務所では女性、子どもを含む少なくとも12,380人が拷問、強制労働などで死亡している。
ヒューマン・ライツ・ウォッチのカンボジア人調査員サラ・コルム氏は、「トゥールスレン刑務所がカン・ケ・イウ(俗称ドッチ)裁判の中心となる。我々は、同刑務所がどの様に機能していたか、そこでどの様な犯罪が行われていたかを知ることになろう」と語る。
|ニカラグア|カリブ海沿岸地域住民への差別
【マナグアIPS=ホセ・アダン・シルヴァ】
中央アメリカ議会(PARLACEN)のブリジット・ブディエ・ブリアン議員の異議申し立てによりニカラグアで初めて行われた人種差別裁判で、同国沿岸地域に住む先住民族およびアフリカ系住民、特に女性に対する差別的扱いが明らかになった。
ブリアン議員のティーンエージャーの娘が白人の友達数人とディスコへ行き、一人だけ入場を拒否されたことが事件の発端となった。議員は調査を開始。首都マナグアのナイトクラブでも先住民族あるいはアフリカ系住民、特に女性が入場を拒否されている事実が明らかになったのだ。
ニカラグアカリビアン沿岸自治区大学(URACCAN)のアルタ・フーカー学長は、これは単にナイトクラブの問題ではないと言う。
|ビルマ|政治囚釈放を求める大規模キャンペーン始まる
【バンコクIPS=マルワーン・マカン・マルカール】
「政治囚の解放なしにビルマの平和と発展は有り得ない」。Su Mon Aye氏は2000年、民主化活動に学生として参加していた19歳の時、最年少政治犯として逮捕された。今月始まる『Free Burma’s Political Prisoners Now!(ビルマの政治犯を今すぐ釈放せよ:FBPPN)』と題された世界的規模のキャンペーンを前に、彼女は「我々が自由を手に入れるためには軍事政権を打倒する必要がある」と、訴えた。
同キャンペーンではビルマの全ての政治囚釈放を求め国内150の人権団体が世界各地で署名活動を行い100万人の署名を目指す。FBPPN広報のSoe Aung氏は「政治囚釈放が実現するかどうかは、同国の民主化の進度を見る判断基準となるだろう」と、IPSとの取材に応じ語った。
|オーストラリア|危機にひんする先住民族の言語
【メルボルンIPS=スティーブン・デ・タルチンスキ】
オーストラリアの言語は主に英語で、その他にイタリア語、ギリシア語、広東語、アラビア語などが使用されている。さらに100を超える先住民族の言語が話されているが、その今後が危ぶまれている。
2005年の全国先住民族言語調査報告書によると、250の先住民族言語のうち全年齢層で話されているのは18言語で、110言語は高齢者だけしか使っていない。その他は消失した。アボリジニ・トレス海峡島しょ民言語連盟(FATSIL)のP.ハーバート氏は「先の見通しは暗い」という。
│バルカン│いまだに苦しんでいる元セルビア兵士たち
【ベオグラードIPS=ヴェスナ・ペリッチ・ジモニッチ】
セルビアの軍事医療アカデミーが『セルビア退役軍人の健康状態と保健ニーズ』と題する報告書を発表した。セルビアの元兵士たちが、バルカン半島での軍事紛争終結から10年近くたった今もなお、苦しみ続けていることが明らかにされている。
1991年から95年にかけてのクロアチア、ボスニアでの戦争、1998年から99年にかけてのコソボでの戦争に参加したセルビア人は約40万人と推計されている。セルビアの人口は750万人。
調査対象は2399人の元兵士で、平均年齢は45.7才。そのうち、実に84%の元兵士が、主に心臓や血管などの慢性的な健康問題に悩まされている。また、54.1%が精神上の健康問題を抱え、3分の1が鬱やアルコール中毒を患っている。
│ビルマ│人権│少数民族ロヒンギャの問題に「バリ・プロセス」を活用か
【チャアム(タイ)IPS=マルワーン・マカン-マルカール】
東南アジア諸国連合(ASEAN)が「バリ・プロセス」と呼ばれる地域メカニズムをビルマの少数民族ロヒンギャに対する人権侵害の問題で利用する可能性が出てきた。
同メカニズムは、アジア太平洋地域における人身取引の問題解決のために2002年2月に創設され、現在50ヶ国が参加している。ロヒンギャ問題の大元であるビルマはこのプロセスに参加していないが、4月14日から15日にかけて、この問題に関する会合がバリで開かれる予定だ。