世界の死刑執行件数が増加
【国連IPS=サミュエル・オークフォード】
人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」が3月27日に発表した報告書によると、2013年の世界における(公式に記録された)死刑執行件数は、前年より14%増加し、その内、厳格な反テロ法を施行しているイラクと、厳しい麻薬取締を実施しているイランが全体の半数以上を占めていることが判明した。
アムネスティによると、2013年に22か国で少なくとも778人に対する死刑が執行されたという。しかしこの報告書には、死刑に関する公式発表を行っていない中国は含まれていない。中国は、死刑執行数では他国を圧倒する数千人規模を毎年銃殺で処刑しているとみられているが、依然として死刑についての情報は国家機密とされている。
|カンボジア|衣料産業を破壊する低賃金
【国連IPS=ミン・リ】
このところカンボジアの衣料産業は頻繁なストライキや抗議活動に見舞われている。しかし首都プノンペン郊外のカナディア工業団地で1月3日に発生した数千人規模の抗議集会では、治安部隊が集会参加者に発砲して5人が死亡、十数人の負傷者が出るなど、それまでの抗議活動からは突然様相が変わってきた。
依然として収束の兆しが見えない中、権利擁護団体は、カンボジアに進出している衣料ブランド各社に対して、現地縫製工場からの製品買い上げ慣行を見直すとともに、流血の惨事を招いた縫製工場労働者のストの原因である低賃金問題の解決に向けた行動を起こすよう強く求めている。
|旧ユーゴスラヴィア|名簿公開で蘇るチトー、スターリン時代の埋もれた歴史
【ベオグラードIPS=ベスナ・ペリッチ・ジモニッチ】
旧ユーゴスラヴィア連邦でもっとも人の目に触れることのなかった秘密が明らかになった。「裸の島」を意味する「ゴリ・オトク(Goli Otok)」島にかつて国内唯一あったグラーク(ソ連式強制労働収監所:65年前に設立)に収監されていた1万6101人の囚人名簿がインターネット上で公開されたのだ。
この名簿公開は、1991年の旧ユーゴスラヴィア解体後、相次いで独立した旧連邦構成諸国に現在生存している数少ない元囚人本人やその家族からの強い反応を引き起こした。
人権教育を推進するHRE2020
【ベルリン/ジュネーブIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
2011年12月19日に国連総会で採択された「人権教育および研修に関する国連宣言」の第1条には、「すべての人は、人権と基本的自由について知り、情報を求め、手に入れる権利を有し、また人権教育と研修へのアクセスを有するべきである」と記されている。
それから2年、同宣言の中で構想されたような既存の国際基準や公約の履行を支援し強化することによって人権教育を推進すべく、市民社会組織による世界的連合が立ち上げられた。同宣言は、「人種、性別、言語、宗教による差別なく、すべての者のために人権及び基本的自由を尊重することを促進し、奨励する」という国連憲章の目的と原則を再確認している。
|コンゴ内戦|最も貴重なものを持って逃れる
【ルワンワンジャ難民キャンプ(ウガンダ)IPS=アミ・ファロン】
もしあなたが、生き延びるために突然家から逃れなければならないとしたら、何を持っていきますか?あるいは、何を持ち出すことができるでしょうか?ジャン・クロード・ンドンジマナさん(20歳)の場合、コンゴ民主共和国東部の自宅から逃げたときに手にしていたものはミルクの売上金を入れた黒い袋と僅かな衣服のみだった。
ンドンジマナさんは、2か月前にツチ族系反政府武装組織「3月23日運動(通称:M23)」の兵士が村を襲撃し、彼を兵士に徴用しようとしたため、逃げ出した。そして彷徨の末、隣国ウガンダ南西部カムウェンゲ県のルワンワンジャ難民キャンプにたどり着いた。同難民キャンプでは、現在40,000人を超えるコンゴ難民が収容されている。
|UAE|外務省、スリランカ難民のその後について声明を出す
【アブダビWAM】
アラブ首長国連邦(UAE)のサイード・アル・シャムシ国際機構担当外務次官は、以下の声明を発表した。「2012年10月14日、貨物船『ピナクル・アビス号』が航行中に沈没しかけた船から45人のスリランカ国籍の人々(タミル人)を救出し、UAEのジャベル・アリ港に移送した。」
「UAE政府が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による接見をアレンジしたところ避難民全員が政治亡命を願い出た。審査の結果38人には亡命が認められたが、拒否された7名はその後自らの意志でUNHCRと国際移住機関(IOM)を通じて本国に帰還した。
|中東|アラブ議会、アブハムディヤ受刑者の死亡はイスラエルの責任と主張
【カイロWAM】
アラブ議会のアーメド・アルジャルワン議長は、4月4日、マイサラ・アブハムディヤ受刑者(63歳)の死について哀悼の意を表するとともに、同氏の死とそれに抗議して3日からハンガーストライキ中のパレスチナ受刑者らの安全については、イスラエル占領当局に全ての責任がある、との声明を発した。
アブハムディヤ氏は、2002年にエルサレムで発生した爆破未遂事件に関与したとして殺人未遂の罪に問われ、終身刑判決をうけて同年から服役していたが4月2日、咽喉がんのため病院で死亡した。同氏の死が報じられた2日以降、イスラエル各地で同氏の死を悼む抗議デモが発生し、北部アナブタでは、イスラエル軍の発砲で10代のパレスチナ人青年2名が死亡した。
CIA秘密収容所の調査で曲がり角に立つポーランド
【ワルシャワIPS=クラウディア・シオバヌ】
当局筋によると、ポーランド領内に設置されたとされる米中央情報局(CIA)秘密収容所の存在に関するポーランド当局の調査が、真相解明を求める声が高まっているにもかかわらず、停滞している。
2007年の欧州会議(ディック・マーティー「法と人権に関する調査委員会」委員長)報告や「オープン・ソサエティ」が最近発表した正義イニシアティブ報告書「グローバル化する拷問」など、様々な情報筋が、ポーランドが、2002年末からCIAのによる「テロ容疑者」強制移送プログラムに協力してCIAが運営する秘密収容所を国内にホストしていたと指摘している。
これは、米国の公的記録からもうかがわれることだ。2004年の CIA監察官報告は、2001~03年にかけてアルカイダと関係があったとみられる容疑者のCIAによる取り扱いについて記述している。その容疑者の一人が、2000年10月にイエメンのアデン港で米艦船「コール」号の乗員17人を殺害したテロ事件の首謀者と疑われたサウジアラビア国籍のアブド・アルラヒム・アルナシリ氏である。
非人道性の最たる兵器(池田大作創価学会インタナショナル会長)
【IPSコラム=池田大作】
「核兵器は非人道的である」との考えに、世界のほとんどの人々が賛成するのではないでしょうか。今、核兵器を非人道性に基づいて禁止しようとする動きが芽生えつつあります。
核不拡散条約(NPT)運用検討会議では、これが明確になりました。「核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらすことに深い懸念を表明し、すべての加盟国がいかなる時も、国際人道法を含め、適用可能な国際法を遵守する必要性を再確認する」との一文が最終文書に盛り込まれたのです。
本年3月4日—5日にかけて、ノルウェーのオスロで「核兵器使用の人道的影響」をテーマにした政府レベルの国際会議が開かれます。それに先立ち、3月2日—3日には、核兵器を禁止する条約の実現は可能であり喫緊の課題であることを示すために、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)による市民社会フォーラムもオスロで開催されます。
|スリランカ|出稼ぎ問題|体に打ち込まれた釘は「幸運にも」24本で済んだ
【コロンボIPS=アマンタ・ペレラ】
スリランカ南部マタラ出身のラハンダプレゲ・アリヤワティさん(52)は、サウジアラビアにおける自分の体験は比較的軽く済んでよかった、と思っている。体に打ち込まれた釘が幸運にもわずか24本だけで済んだからだ。
彼女は、2011年初めに故郷に家を建てるのを夢見てサウジアラビアに渡航し、家政婦として働いた。しかし5ヵ月後、体のあちこちに生々しい傷を負って帰国することになった。彼女は雇い主から懲罰として熱した鉄釘を皮膚に打ち込まれていたのだ。
故郷の自宅前で取材に応じたアリヤワティさんは、「あの程度で済んだのは幸運だと思うわ。もっとひどい目にあっていた可能性は十分あるのだから。」と語った。