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死刑制度、一部いまだ廃止に至らず

【パリIPS=ジュリオ・ゴドイ】

 

死刑執行をあくまで存続している一握りの国がなかったら、2月1日から3日までパリで開催された第3回世界会議に世界中から参加した死刑廃止活動家は「任務完了」と口々に唱えて帰国の途についたであろう。

この一握りの国:米国、中国、サウジラビア、イランおよび北朝鮮は、今なおあらゆる論拠と証拠を退け、この5カ国だけで5,000件以上にのぼる年間死刑執行件数の97%以上を占めている、とイタリアの団体「ハンズ・オフ・ケイン」の2006年報告書『世界の死刑(Death Penalty Worldwide)』は明らかにしている。


この他50カ国が死刑制度を存続しているが、たまのことであり、2005年における執行件数は156件余であった。


世界会議では、死刑廃止の傾向が明白であることが確認された。1981年、フランスは世界35番目の死刑廃止国となった。それから25年、死刑全面廃止および死刑執行の一時停止を含め、死刑を実施していない国は142カ国となった。


世界各国からパリに数百人の著名人や活動家が集まり3日間にわたり開かれた世界会議は、こうした統計に対する複雑な思いと、全世界における死刑執行停止(モラトリアム)の承認を国連総会に促さなければならないという切迫感で満ちた。


会議には、フランスのロベール・バダンテール元法相をはじめ欧州連合全加盟国の代表、ならびに各国の弁護士協会やアムネスティ・インターナショナル、国際人権連盟などの諸団体の代表が参加した。


死刑が今なお存続している北米や中東からも、死刑廃止団体の代表が参加した。


1970年代末にフランスの死刑廃止運動を主導し、死刑廃止を実現させたバダンテール元法相は、閉会式で次のように会議の雰囲気を総括した。「私たちの大義は正しく、世界における死刑全廃の時が到来したことを心から確信した。人の命を奪う正義はあり得ない」。


バダンテール元法相の楽観は、「地の塩」たる活動家のなすべきことがまだ山積しているという現実への認識の前に薄らいだ。この心情は、会議の最終宣言に反響している。


「私たちは、死刑が世界において減少傾向にあり、モントリオール会議(2004年)以降ギリシャ、
キルギス、リベリア、メキシコ、フィリピンおよびセネガルが死刑を廃止し、他方死刑を復活した国はない事実を歓迎する」と宣言は述べている。


しかし宣言は続けて、「私たちは、同期間中、2006年におけるバーレーンなど、一部諸国が長期にわたるモラトリアムの後死刑執行を再開し、中国、イラン、サウジアラビア、米国およびベトナムをはじめとする多数の国で・・・依然死刑が適用されていることを遺憾に思う」と述べている。


宣言は、国連総会に対し全世界における死刑執行停止を承認するよう強く求めた。これが今実現されれば、「ハンズ・オフ・ケイン」の推定では、およそ2万人の死刑囚が救われる。


この2万人の大半は中国である。パリ会議は、中国政府に対し、「2008年の北京オリンピックと2010年の上海万国博覧会を見据えて」モラトリアムを導入するよう具体的に請願した。


会議はまた、「中国における経済や薬物に関連する犯罪を含む非暴力犯罪」に対する死刑の廃止も求めた。


会議の主催者であるフランスの人権団体「皆と一緒に死刑に反対する会(Ensemble contre la peine de mort)」のエリック・ベルナール事務局長は、この数十年間にますます多くの国が死刑廃止に至ったのには数多くの要因があると、IPSの取材に応えて述べた。活動家は、彼らの運動を世界規模で展開し始めた。死刑制度の問題はもはや国内の刑法上の問題ではなく、「重要な国際人権問題」となったと、事務局長は述べた。


「死刑執行は、犯罪抑止効果が高いとはもはや考えられておらず、むしろすべての社会にとって非人間的なことであると見なされている。死刑を適用している国に誤審が数多く見られている事実も、こうした認識を広める要因となった」。


また、死刑執行を巡る恐ろしい出来事も、世論と諸国政府が死刑反対に転じる要因となっている。


最近の出来事のひとつ、昨年12月に死刑に処されたアンジェル・ニエヴェス・ディアスの例がそれに当たる。最初の薬物注射に失敗し、もう1本注射が必要となり、致死までに34分も要した。


現地の郡検視官によれば、注射によってディアスの腕に30センチもの化学火傷ができた。ディアスの弁護士ニール・デュプリー氏を含む目撃者は、死刑執行が長くかかったのでディアスは苦痛に顔を歪めたと宣誓した上で報告している。


死刑執行の失敗により、フロリダ州のジェブ・ブッシュ知事は、予定の死刑執行をすべて中止し、州内における死刑の適用に関する調査委員会を設置することを余儀なくされた。これによって、フロリダ州の死刑囚398人の死刑執行が猶予されている。


ワシントンに本拠を置く「死刑情報センター(Death Penalty Information Center)」のリチャード・ディーター所長は電話でIPSの取材に応え、「全国で死刑が問題として取り上げられている」と述べた。


ディアスの死刑は2006年中53件目の執行に当たったが、これは10年間でもっとも少ない件数である。


しかし死刑は、米国内50州のうち38州で存続されている。10州が死刑を中止しており、ニュージャージー州1州が死刑を廃止することを1月発表した。


ディーター所長は、「死刑はリスクの伴う費用のかかるものであり、取り返しのつかない誤りをもたらす可能性がある。このような誤った政策を信じようとする人は今やほとんどいない」と述べた。


死刑を恒久的に廃止する決意が高まる中、フランスがそれを象徴する行動に出た。


ロベール・バダンテール元法相が死刑反対運動をフランスで成功に導いてから25年、フランス議会は今年2月、死刑廃止の決定を憲法の条項に加えることを承認した。(
原文へ


翻訳/IPS Japan浅霧勝浩




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