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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

アフガニスタンで死刑制度議論が再燃

 

【カブールIPS=タヒル・カディリ】

 

生存死刑囚、およそ100人。これまで秘密のベールに包まれていた死刑囚の人数をアフガニスタン政府が明らかにしたことで、同国の審理手続に重大な疑念を残す結果となった。

アフガニスタン最高裁判所は16日、誘拐・強盗・殺人・強姦など重大犯罪を犯した約100人の刑事被告人に対して死刑判決を出したことを発表した。これは昨年10月、カブール郊外の刑務所で1日のうちに15人が(事前の予告なしに)銃殺刑に処せられた出来事を思い出させるものだ。


「100人というのはアフガニスタンにおける全死刑囚のあくまで『推定の』数だ。最高裁は死刑囚の氏名および収監場所については未だ公表していない」と、国際人権団体
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のエレイン・ピアソン氏はIPSとの取材で答えた。

 
北アフガニスタンの独立系の人権委員会も詳細については把握していないとした。同委員会のQazi Sayed Mohammed Sami氏はIPSの取材に対して「名前が判明すればメディアに公表するつもりだ。そうすれば、全ての裁判で国際的に公正な審理が行われているかどうかを判断できるようになるだろう」と述べた。


一部の専門家は100人の死刑囚が公正な審理を受けてこなかったとして、最高裁が死刑判決を破棄するよう強く求めている。


カブール大学の国際法の専門家、Wadi Safi教授はHRWに対して「全ての裁判は、立会人なしで(殆どが法定代理人もいない)非公開で行われたものである」


「しかも、地方裁判所では被告人が(自分に有利な)証言を述べさせてもらえないのが普通だ」と話した。


HRW
も同教授の意見を支持した。ピアソン氏は「死刑裁判だけでなく多くの刑事裁判で正当な法の手続きが行われていない」と語った。


一方、これらの批判に対して最高裁の関係者らは「死刑裁判では専門の判事が『透明性の確保された』裁判で審理を行っている」と主張。Abdul Rashid Rashed判事はアフガニスタン裁判所の見直し手続きを求める訴えを撥ね退けた。


「我々は法律のプロ集団であり、確固たる公正な採決を行っただけである。全ての判決はイスラム法に従って下されるのだ」。


昨年1月若いアフガニスタン人ジャーナリスト、サイード・パルウィッツ・カムバクシ氏が死刑判決を受けたことを期に近年、アフガニスタンの法制度は非難の的になっている。カムバクシ氏は女性の権利に関するコーランの論議を呼ぶ部分を指摘したインターネットの記事を印刷・配布したことで告発された。もちろん、裁判の内容は明らかにされなかった。


ピアソン氏は同裁判の違法性を指摘した。「特殊な裁判にも拘らず、カムバクシ氏には弁護士が付けられなかった。彼の家族は、拘留中に彼が肉体的暴行や心理的脅迫を受けた可能性があると訴えている」。
 

 
(アフガニスタン北部バルク州の裁判所で最初に死刑判決を受けた)カムバクシ氏は現在、カブールに移送されたと報じられている。ハミド・カルザイ政権の関係者は「同氏は間もなく釈放される」と語った。


HRW
をはじめ西側諸国の人権擁護団体が取り上げたカムバクシ氏の裁判は、アフガニスタンの裁判官が過激で超保守的な信仰に基づき判決を下した例として、世界的にも広く報道された(特に、情報発信の手段としてインターネットが大きな役割を果たした)。


最高裁が示した死刑判決確定の突然の発表は、再び、アフガニスタンの法制度をめぐり国際世論を喚起する結果となった。


2006年、カルザイ大統領は最高裁に数名の若い新人判事を指名した。彼らは明らかに高齢で保守的なイスラム教徒とは無関係のようであった。また、カルザイ大統領は(保守派のFaisal Ahmad Shinwari氏に代わって)Abdul Salam Azimi氏を最高裁裁判長に任命した。


最高裁の判事は裁判官の選定および下級裁判所への指令公布など重要な役割を担っている。新たな裁判長の任命は、タリバン崩壊以降、大きな変化を求め続けた政府の期待がAsimi氏の肩にかかっていることを示すものになった。


「2001年のタリバン政権崩壊以降、莫大な資金が司法制度改革のためにつぎ込まれている。アフガニスタン政府は現在、司法関連の費用として3億6,000万ドルの追加資金を求めている」と、カルザイ大統領は昨年11月の米国訪問の際、USINFOの記者に語った。


アフガニスタン最高裁による100人の刑事被告人への死刑判決は、同国の死刑制度について様々な議論を巻き起こしている。


カルザイ大統領は最高裁の発表後の翌日の記者会見で、自分は死刑制度に反対の立場であると述べた。しかし、同政権は死刑執行を現在も実際に行っていることに変わりはない。アフガニスタン憲法では、死刑執行までに大統領の執行命令への署名が必要であると定められている。


カルザイ大統領は16日の会見で今回の問題に触れた。「タリバンが囚人らの処刑に反対し、国際社会に囚人らの助命を嘆願していると聞いた。彼らにも慈悲があるのだなと感じた」。


しかし、皮肉にも、27日のカブールで行われた軍事式典ではカルザイ大統領を狙った暗殺未遂事件が起こった。


一方、HRWはカルザイ大統領に対してこれ以上の死刑執行命令に署名することのないよう強く求めている。


HRW
のピアソン氏は次のように述べた。「カルザイ大統領は即刻、死刑制度を撤廃するべきだ。アフガニスタン、米国、いかなる国であっても我々は断固として死刑制度に反対する」。


「差し迫った死刑執行などない。もし大統領が『ある権力者』からの圧力に屈すれば、今年15名の囚人が処刑されることになると、アフガニスタンの多くの有識者からHRWに情報が寄せられた」。


カルザイ大統領の記者会見後、IPSは100人の死刑囚に刑の執行延期が認められるか否かについて検討した。


マザリシャリフ市のMohammad Usaman検事はIPSとの取材で「アフガニスタンは他国に依存しない独立した国であるため、裁判所の決定は絶対的である。アフガン最高裁は今回の裁判について適切な判決を下したと思う」と答えた。


また、バルク大学のUstad Norollah教授は「私はこの判決に賛成である。アフガニスタンには同じような罪で罰せられるべき犯罪者が他にもたくさんいる」と述べた。


一方、(少数派の意見として)ジャーナリズムを専攻する学生Arzoo Gesoは「私は死刑が怖い。かつてテレビで見たが、数日間は眠れなかった。死刑の代替刑として終身刑を導入するべきだ」とIPSとの取材に応じて語った。(
原文へ


翻訳=IPS Japan浅霧勝浩


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