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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|世界経済フォーラム|人権無視「テロ対策」に反応様々

 

【ダボス(スイス)IPS=ラビ・カーント・デバラコンダ】

 

世界中の政財界の代表者や安全保障の専門家たちは25日、ダボスで開催された世界経済フォーラム (World Economic Forum: WEF:ジュネーブに拠点を置き世界情勢の改善に取り組んでいる独立の非営利財団:IPSJ)の第37回年次総会で、『国際テロへの包括的な対応策』の必要性を求めた。しかし、(近年多くの専門家が指摘している)基本的人権を脅しかねないテロ撲滅政策をめぐっては当然、各パネリストから様々な意見が出た。

 
英国の保守党党首デヴィッド・キャメロン氏は「我々は治安対策と人権擁護との間で適正なバランスを図る必要がある。これを怠れば(世界人権宣言で謳われている)自由や基本的人権を侵害する『権力に抑圧された行動』に走りかねない」と警告を促した。


今年のWEFでは、国際協調を必要とする23の主なリスクのうち、世界規模の安全保障と秩序を揺るがす最大の脅威として『テロ問題』が大きく取り上げられている。


特に『国際テロへの包括的な対応策』に焦点が当てられたセッションでは、テロの根源を突き止めて撲滅するため、各国政府と国際団体の間で円滑な協調が進んでいるかについて、WEFが(米国国土安全保障局長官、EUのテロ対策調整官、パキスタン首相、英国保守党党首ら)各パネリストに意見を求めた。


またWEFは、一般市民がテロ行為に巻き込まれないようにするための対策作りに国際機関が関与するべきか否かについての問題も提起した。


しかしWEFが最も懸念しているのは、西側諸国が『安全保障』を取るか『個人の自由』を取るかのどちらかの姿勢を示そうとしている点である。つまり、安全保障確保のためには人権や個人の自由を犠牲にすることはやむを得ないとしているのだ。


軍の情報機関がタリバンを支援しているとのメディア報道が流れたことで非難が高まるなか、今回の年次総会に出席したパキスタンのシャウカット・アジズ首相は「テロの根絶には貧困や地域紛争などテロを生み出す様々な根源(原因)を除去していく包括的な解決策が必要である」と強調した。


同首相はテロの『根源』はパレスチナ、レバノン、イラクが抱える多くの問題にあると言及し、パキスタン政府は国際協調主義の考えの下でテロ根絶に努力をしていると訴えた。さらにアジズ首相は、タリバン問題に対して何も対応策を講じないアフガニスタンを痛烈に批判する一方で、パキスタンはこの問題についても国際的連携を優先しているとの考えを示した。


キャメロン氏は「如何なる理由であれテロを生み出した根本的な問題に対しては、戦争も辞さない覚悟で取り組まなければならないとするアジズ首相の意見に同意する」と述べた。


「現在のテロ行為は、かつての反英武装組織IRA(Irish Republican Army:アイルランド共和軍)などが行ったものとは性質が異なる。現代のテロリストはできる限り多くの人間の命を奪うことを目的とした無差別的行為である」


さらに同氏は、米国・英国・パキスタンでは現在テロ根絶に向けて大きな転換期に入っていると論じながらも、「重要なことは我々(為政者や知識人たち)が、(治安対策と人権擁護との間で)バランスを図っていかなければならないことだ」と繰り返し述べ、「テロ対策活動が徐々に『人権侵害』の方向に向かっている」とした国連人権専門家の見解も伝えた。


「テロを撲滅するためには貧困や思想の対立など様々な問題に対処していく必要がある」と述べ、現在テロ行為やテロリストに対して強硬路線を崩さない英国政府の立場とは異なる姿勢を示す必要があると強調した。


一方、アジズ首相やキャメロン氏の意見とは対照的に、テロへの戦い(war on terror)を貫く米国は、高圧的な対応策に問題はないとする姿勢を示した。


米国国土安全保障局マイケル・チャートフ長官は「複雑な国際関係が絡み合うテロの問題には強硬な手段も必要である」と主張したが、任意拘留や自白強要のための拷問などといった人権侵害行為に関わる問題に触れることは避けた。


ヘイス・デ・フリースEUテロ対策調整官は、安全保障の確保として技術を駆使した対応と、人権侵害を抑止するための法的制裁の適用との両面から政策を検討する中立的見解を示した。


同調整官は「国際協調のもとでテロ問題を解決することが必要である」    と述べて、総会の出席者に対して国連による対テロ条約の批准の重要性を各国政府に示すよう促した。さらに、大量破壊兵器がテロリストの手に渡らないようにするため核不拡散体制強化の必要性についても触れた。


さらに指紋・静脈・筆跡など生体認証技術の重要性も強調したが、国民の個人情報を追跡記録する世界的規模あるいは国レベルのデータベース構築の有用性に関しては意見が大きく分かれた。


議論は最終的に『soft power(その国が持つ価値観や文化の魅力で相手を敬服させ自分の望む方向に動かす力:IPSJ)』と『hard power(軍事力や経済力によって他国をその意に反して動かす力:IPSJ)』といった複雑な概念の領域に入った。テロリスト側の考えや価値観に理解・共感を得ることを重視する『soft power』という概念を提唱したハーバード大学の教授は、パネリストに対して、テロ対策が及ぼす悪影響を緩和するための様々な政策が慎重に検討されているかについて意見を求めた。


しかし、(セキュリティ確保と最新の技術に全ての希望を託すのではなく)様々な政策を組み合わせてそれぞれの長所を生かした取り組みを行うとする見解に関してもパネリストの間で明確な意見の一致は見られなかった。(
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翻訳=IPS Japan浅霧勝浩



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