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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

青少年をHIV/AIDSの脅威から救済する試み

【IPSHIV/AIDS研究事業現地取材からの抜粋】 
 
1.社会のダブルスタンダードから青少年の命を守る試み:Ms. Nakorn Santiyothin at Suan Kularb School
 
 
Nakorn氏はSuan Kularb高校の教師で、過去22年に亘ってHIV/AIDSや性に関する話題を積極的に保健の授業でとりあげている。彼女の性教育における率直で斬新なアプローチは、一部国会議員や性教育推進活動家からの支持を獲得する一方、生徒の父兄の中には反発する者もいるなど、引き続き賛否両論が続いている。


彼女の基本的な教育姿勢は、生徒達が最も知りたがっている内容を彼らに理解できる言葉で十分伝達し、各々の青少年にとって最良の選択が出来るように環境を整えることであるとしている。

 
「性産業」の存在で対外的に有名なタイであるが、性に対するタイ社会の風潮は依然としてかなり保守的であり、家庭や学校において性を話題にするのは難しい状況にある。Nakorn氏は、学校が性教育に関して情報をごまかすことで、かえって青少年が巷の性情報を頼ることになり、結果的にエイズ感染リスクを高めることに繋がると危惧しており、性の問題を心身と未分離のものとして正面から捉え、青少年に正しい知識と選択肢を与えることこそ彼らの生命と未来を守ることと考えている。


「性は、私達の存在そのもの、そして男女間の人間関係を総体的に考えたときに自然と話題となる話題であることはだれも否定できないと思う。重要なことは、私達が性といかに向き合い、自らをどのように処するかにある。性行為とは男性が女性を搾取することでも、快楽のためのみにあるものでもない。私の授業では、生徒達は将来の人生においていつどのように適切な性生活を送っていくことができるかを習得する。従って、性教育の狙いは、子供たちを性情報に晒すことで早期の性行動に走らせるという短絡的なものではなく、共に真剣に性の問題に取組みながら十分な情報と選択肢を生徒達に与え、各々にとって最も適切な選択をさせることにある」(Nakorn Santiyothin, teacher of Suan Kularb School


「仏陀の教えKharma(因果応報)は、性教育において伝えるべき最も分かりやすく意味深いメッセージを伝えている。すなわち、Kharmaは、日々我々が直面する事態はそれ以前の自らの行いの結果であるとの教えあり、不適切な性行動をするとその結果は必然的に自らに帰ってくるというメッセージを伝えることができる。私の授業では、時折僧侶を招いて生徒達に法話をしていただいている」(Nakorn Santiyothin, teacher of Suan Kularb School


Nakorn
氏は、最近校内に「Kularb Khao(白い薔薇)教室」という、学生や教師が、性教育、HIV/AIDS、麻薬問題などの青少年の関心事項のほか、青少年をとりまくその他の社会問題を共に学習できるセンターを設立した。ここで訪問者はセンター内の報告書や具体的な活動モデルに関する資料を閲覧できる。また、本センターには約30人の学生ボランティアが運営にあたっており、訪問者への対応、相談にのっている。また、電話ホットライン、手紙、ウェブサイトを通じて青少年を対象に関連分野の相談にも応じている。


2.青少年のニーズを汲んだ性教育で効果的なエイズ対策を目指す:Programme for Appropriate Technology in Health(PATH):


PATHは、HIV/AIDS感染リスクが最も高い青少年層を対象にした効果的な性教育の研究と普及を目的として設立された機関で、青少年のニーズ研究とそれに基づく性教育カリキュラムの開発、更に青少年に対して性教育を実施する立場の教員や大学生を対象とした研修プログラムを実施している。そして、これらのコース運営から得た経験を基に、タイ各地のNGOとの協議を通じて効果的な性教育プログラムの開発に取り組んでいる。


Confidently Step Forward
:(教員研修コース)


「学校の教員を対象に性教育とHIV/AIDS、10代の青少年の特性などについて訓練を実施し、ここでの経験をクラスに持ち帰って、生徒達との対話の中で活かしてもらっている。私達は、学校教育の場とは、教師が青少年に対して、性や性行為に関する善悪を指導する場とは思っていない。私達は、この研修コースを通じて、青少年達が最もふさわしい選択ができるようになるために性に関する十分な情報を必要としている現実に教師達が目を向け、積極的に取り組んでいくよう働きかけている。また私達は、この研修プログラムにおける経験を基に、学校教育の場で活用できるカリキュラムの研究も進めている。その第一歩として、バンコク市内の28の学校と提携して、ホームルーム、保健の授業、或いはユースクラブの活動の一環として、本コースに基づく性教育プログラムを展開している」


Horizon
(大学生研修コース):


Horizonは内容的にはConfidently Step Forwardとほぼ同じ構成だが、対象者を彼ら自身青少年層に属する大学生に絞り、性教育とHIV/AIDSに関する短期研修コースを実施し、プログラムによる変化を観察するためコースの前後に試験を実施している。大学生受講者はピア教育者として、年下の青少年の相談に彼らの言葉で相談にのっている」


10代の特性を踏まえた対応が必要:


「これらの研修コースを開始する前、青少年を対象とした性意識調査を実施した。その結果、第二次性徴期にある10代前半の青少年が抱いている最大の疑問は、自らの身体の変化であった。青少年達は、体の変化について様々な疑問や不安を持っているが、多くの場合、誰とも相談できない状態にあるのが現状です。一方、学校における性教育は、彼らの疑問に十分答えていない。10代の時期は人から注目されたいと願い、様々な自己表現で周囲にその気持ちを訴えようとする。そして、そのような自己表現が大人によっては、時として不適切な振る舞いと映る場合もある。しかし、大人はそのような若者の特性を単に禁止することによって抑え込むことは所詮不可能であることに気付くべきである。それとは逆に、大人は青少年に正しく且つ十分な情報を提供するべきである。私達は、青少年が性の問題に関して最善の選択ができるポテンシャルを持っていることを信じるべきと思う」
(Hathairat, associate programme officer for PATH)

知識の伝達のみでは問題は解決しない:


「青少年達を観察してきて気付いたことは、大半の若者は、たとえHIV/AIDSについて感染経路や特性について頭で理解していても、所詮自分自身の生活とは無関係のものとして、当事者意識を持たない傾向にある。すなわち、HIV/AIDS感染の問題は社会道徳に反するごく一部の人々の間の問題であると自分と切り離して問題を捉える傾向にある。


その結果、受講者の中には『確かにコンドームは売春婦のもとを訪ねる際には必要だが、自分のパートナー(配偶者、恋人)に使用することは考えられない。』と発言するものが少なくない」
(Hathairat, associate programme officer for PATH) 
 

(取材班:浅霧勝浩、マルワーン・マカン-マルカール、チャヤニット・プーンヤラット)