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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|バングラデシュ|社会の調和を訴える仏教徒たち

  

Policemen guard a Buddhist monastery in Dhaka following sectarian violence in Cox's Bazar. Credit: Farid Ahmed/IPS【ダッカIPS=ファリード・アハメド】

 

バングラデシュ南東部で、イスラム教徒の群衆が仏教寺院十数カ所と多数の仏教徒の住居を焼き討ちしてから一週間が経過したが、仏教徒らの不安は収まりそうにない。むしろ彼らは、今後暴力行為が一層エスカレートするに違いないと見ている。

バングラデシュ
政府は、宗教的マイノリティである仏教徒に対して国による保護と支援を繰り返し約束しており、国家人権委員会のミザヌール・ラーマン会長も、今回の仏教徒に対する残虐行為が発生したことを謝罪した。しかしこうした政府の公約をもってしても、数千人の仏教徒の間に広がっている「新たな暴動が起こるのではないか」との恐れを払拭するには至っていないようだ。

 
ダッカにあるダルマ・ラジカ寺院でIPSの取材に応じたプラナップ・クマール・バルヤ博士は、「私たちは今回の予期しなかった暴動に大きなショックを受けています全てのバングラデシュ人に対して、仏教は平和と非暴力を説く宗教であることを指摘しつつ、平静を保つよう訴えかけています。」と語った。

「私たちが望んでいるのは社会の調和です。(人口1億4200万人のバングラデシュで)仏教徒は僅か100万人ですので、政府と人口の大半を占める人々の支援が必要です。バングラデシュは私たちの故郷ですし、仏教が1000年以上に亘って信仰されてきた国でもあるのです。」とバルヤ博士は付け加えた。

政府に対して、今回の暴動について司法調査を始めるべきとの声が高まる中、バングラデシュの財界リーダーらからも、このような事態が繰り返されれば国のイメージの悪化につながり、投資や国際貿易にも支障がきたしかねないとの懸念の声が上がっている。

バングラデシュ商工会議所連合会は10月4日、政府に対して「このような不測の事態が(再び)起こらないよう」早急に対策を講じるよう要請した。

「仏教徒の人々は今なお恐怖に苛まれています。適切な治安環境を提供して、犯罪者に正義をもたらすのは政府の責任なのです。」と元政府高官のランジット・クマール・バルアー氏はIPSの取材に対して語った。

古い仏教遺物が破壊される

暴動はバングラデシュで最も仏教徒の人口が集中している南東部で9月29日に始まった。暴徒化したイスラム教徒数千人が、仏教寺院や仏教徒の家屋を次々と焼き討ちした。

暴徒たちは口々に仏教徒を非難するスローガンを叫びながら、観光地として名高いコックスバザール地区のラム村で、夜通し破壊行為を続けた。さらに暴動は、翌日には周辺地域へと広がった。

この事態に地方当局は、治安を維持するため、軍隊、国境警備隊、警察の出動を要請せざるを得なかった。

バルヤ博士によると、民間伝承や法話をシュロの葉に筆写した写本と共に仏教の遺物が焼かれ、数百体に及ぶ貴重な仏像が暴徒によって損傷や略奪にあった。

「精巧な彫刻で飾られた寺院や修道院の殆どはが焼き討ちされ損傷を免れなかった。多くが数百年の歴史を持つが、中には17世紀末から18世紀初頭に創建されたものもあります。」とバルヤ博士は語った。

セントラル・シマ・ビハール寺院(今回の焼き討ちで最も深刻な被害を受けた修道院の一つ)の常駐ディレクターであるプラギャナンダ・ビク氏は、IPSの取材に対して「被害は修復が不可能なほど深刻で、失われた価値を取り戻すことはできません。体の傷は癒えるかもしれませんが、心に受けた傷は深く血を流し続けていくでしょう。」と語った。

「寺院は仏教徒のものですが、同時に私たちの文化遺産であり、祖国バングラデシュの掛け替えのない宝でもあるのです。」と、ダッカ大学のネハール・アーメッド教授は語った。

警察や暴動の目撃者らの証言によると、今回の暴動は、ある仏教徒の若者が、一部が消失したコーランの写真をフェイスブックに掲載したことが発端とされている。

当初の報道によると、問題の少年は写真のタグを貼られていただけであり、自身が問題の写真をアップロードしたものではなかった。フェイスブックではその後、問題のユーザーアカウントを消去している。

アーメッド教授は、最近米国で制作された低予算映画「イノセンス・オブ・ムスリム」が預言者ムハンマドを侮辱したものであるとして暴力的な抗議運動が数カ国に広がりを見せた現象に言及して、「この比較的平和な南アジアの国(バングラデシュ)で、このような暴動が起きるとは全く受け入れられません。」と語った。

政治的膠着状態が続く

与党アワミ連盟と野党バングラデシュ民族主義党(BNP)の指導者らは、責任のなすり合いに終始しており、こうした中央政界の混迷に直面して、イスラム教徒が圧倒的な大多数(全人口の約90%)を占める同国において、人口の僅か1%に過ぎない仏教徒らはますます不安を募らせている。

暴動の直後に被害現場を訪れたモヒウディン・カーン・アランギール内務大臣は、焼け崩れた修道院や家屋から火薬や石油の痕跡が発見されたことから「暴動は事前に計画されたもの」と断定した上で、襲撃の責任は野党バングラデシュ民族主義党にあると非難した。

またアランギール内務大臣は首相と同じく、20年前に隣国ビルマの迫害を逃れてコックスバザールに移ってきたロヒンギャ族の難民が、今回の仏教徒襲撃を扇動した可能性があると示唆した。

一方、野党バングラデシュ民族主義党のカレダ・ジア党首(前首相)は6日、現政権自身が、今回の暴動の背後にあると主張した。

今週、バングラデシュ最高裁は、政府に対して仏教徒をはじめとする国内少数グループの保護に万全を期すよう命じた。

ビルマ、タイ、スリランカなど海外各国では、仏教僧らが、バングラデシュ大使館前に集まり、今回の仏教徒襲撃事件への怒りを表すとともに、襲撃事件に関する公正な捜査を行うよう要求した。

またアムネスティ・インターナショナルを含む国際人権擁護団体は、バングラデシュ政府に対して犯罪者を一刻も早く特定して裁きを受けさせるよう要請した。

バングラデシュの仏教徒の多くは、今回の捜査結果がたとえどんなものであったとしても、仏教に対するこれまでで最悪レベルの迫害で受けた恐ろしい記憶は長きにわたって忘れられないだろう、と感じている。(原文へ

翻訳=IPS Japan