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│エジプト│民衆蜂起後、太陽光プロジェクトが再始動

 

【カイロIPS=ビビ=アイシャ・ワドバラ】

 

カイロはうだるような暑さだ。日影に入っても36度はある。エアコンのファンは街中でうなりを上げ、国の電気網に負担を与えている。昨夏、この都市では停電や断水が頻繁にあった。電気使用量は、2009年から13.5%増の2600メガワットに達している。

かつて古代エジプト人は太陽神ラーを崇拝した。それから数千年の時を経て現代エジプト人もようやく太陽エネルギー源を活用する重要性に気付きつつある。年間を通じた太陽光の熱射量では世界有数のエジプトであるが、ここにきてゆっくりではあるが、太陽光の利用に向けて踏み出している。

カイロから南に100kmのクライマート(Kuraymat)で、120メガワットを発電するエジプト初のハイブリッド発電所の計画が進んでいる。太陽光で20メガワット、天然ガスで100メガワットを生産する。プラントは2010年12月に稼動予定だったが、何度か延期になり、1月25日に民衆蜂起が起こったことでさらに延期になった(下記の世界銀行製作の映像資料を参照)。

プロジェクトをすすめる国家機関の「新再生可能エネルギー機構」(NREA)によれば、技術を提供していたのはドイツのフェロシュタール( Ferrostaal )とフラグソル( Flagsol )だったが、民衆蜂起の影響でエジプトを離れてしまったという。現在プラントは最終調整段階にあり近日中の稼動開始を目指して準備中だ。

さらに、100メガワットの太陽光プラントが2017年供用開始を目指してコムオンボ(Kom Ombo)で、他にセメント工場のための200メガワットのプラントと民間部門のための1000メガワットのプラントも計画が進んでいるという。

これは、2020年までに再生可能エネルギーの割合を20%に増やすというエジプト政府の目標に沿ったものだ。太陽光はこのうち3分の1程度を産出することが目指されている。

一般庶民がこうした大規模発電プロジェクトの恩恵を、直接的に感じられることはほとんどないが、NREAとイタリア環境省がエジプト西部の砂漠地帯で共同実施したプロジェクトは、地域住民の生活を一変させている。アイン・ザハラ(Ain Zahra)村、ウム・アル・ザヒル(Umm al Saghir)村は西部砂漠地帯の奥地に位置するため未だにエジプトの電力網が到達していない地域である。しかし昨年12月にプロジェクトで太陽電池パネルが設置されたことで、村内の家庭、学校、モスク、病院に電気が通った。プロジェクトが開始されて約半年が経過するが、NREAの職員が今でも現地に村人に止まり技術指導を行っている。

こうした大規模プラントの他に、カイロ貧民街地区を対象にした太陽光電化プロジェクト(ソーラーシティ)も進行している。これは米国国際開発庁(USAIDの資金支援(25,000ドル)を得た小規模プロジェクトで、各家庭の屋根に取り付けられた太陽光パネル(プロジェクト全体で合計35パネル)で、たとえば温水なら家族10人が余裕で利用できる1日200リットルが供給できる。

貧困地区では、過熱装置を持てない家庭が多く、灯油ストーブで水を沸かす作業が女性の仕事となっている。とりわけ冬季には灯油ストーブの取り扱いが原因の事故が多く報告されている。しかし、プロジェクトに参加したアム・ハサイン氏(70歳)の家では、ソーラーパネルのお蔭で、家族は危険な湯沸し作業から解放された。

ムスタファ・フセイン氏は、この小規模電化プロジェクトを高く評価して「政府の電化計画は我々民衆からかけ離れたところで進められています。一方、このプロジェクトでは、私も含めて地域コミュニティーを知っている人間が地域と人々を直接巻き込むことができるのが素晴らしい点だと思います。」と語った。

しかしこのプロジェクトの問題はコストである。太陽光パネル1ユニットを導入するのに678ドルかかるが、導入しようとしている地域の平均年収は610ドルしかない。隣国のチュニジアでは、太陽光パネルの取得に政府による低利の融資を利用することが可能だが、エジプトにはそのような支援体制がない。エジプトでは依然として化石燃料の価格が安く、太陽光エネルギー関連の製品についても国内市場に競争が存在しないことから、再生可能エネルギーの普及を妨げる構造的な問題が存在するのである。

NREA
のカリッド・フェクリー研究開発部門長は、輸入資材にかかる高い関税が太陽光発電の高コストにつながっていると話す。「海外の投資家はぜひエジプトに直接投資してほしい。たとえ政情がまだ安定していなくとも。」とフェクリー氏は語った。

エジプトにおける太陽光発電導入の取り組みと課題について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan戸田千鶴

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