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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|オプエド|地球の皆さん「新しい日常へようこそ」(ハリケーン「サンディ」の独白)

【アックスブリッジ(カナダ)IPS=スティーブン・リーヒ】

 

私は、私の先般の訪米がバラク・オバマ大統領の再選を手助けすることになったということを知っています。私のような巨大な嵐は、政治には関与しないものですが、あなたがたが地球温暖化問題にきちんと取り組まなかったことで、深刻な結果が生まれていることは今や明らかです。海面の上昇、私のような巨大嵐の発生は、そうした結果の一部に過ぎません。

残念ながら、石炭や石油、天然ガスを燃やすことと引き換えに支払わなければならない代償は極めて大きいものだと申し上げねばなりません。何億トンにも及ぶ二酸化炭素(CO2)を大気中に放出し続ければ、ますます多くの太陽の熱エネルギーが地球に吸収されることになります。CO2は地球にとって天然の毛布のような役割を果たしていますが、こうした数億トンに及ぶ過剰CO2は、この毛布をさらに厚いものにしており、しかも年を追ってますますその層は分厚くなっているのです。

 
私がジャマイカからカナダまでを10日間で通過する間に
、200人近くが亡くなりましたが、そのほとんどは米国通過時の犠牲者です。その米国は、引き続き圧倒的に世界最大のCO2排出国であり続けています。1860年から2009年における世界のCO2総排出量の実に約30%を、米国が一国で占めているのです。また一人当たりのCO2排出量でも、米国市民は世界最大レベルです。

みなさんの中には、CO2の危険性について長年認識してきた人々もいるでしょう。石炭、石油、天然ガスの燃焼が気候に及ぼす悪影響について話し合った最初の国際会議(大気変動に関する国際会議、G7トロントサミットの直後にカナダ政府が主催。46カ国と国連から科学者、官僚、政治家、産業界、環境NGOなど300人以上が参加:IPSJ)が開催されたのは、24年前のことでした。その際参加者らは、「変化する地球大気:地球規模の安全保障に対する密接な関係」と題されたその会議の決議声明の中で、「人類は、意図しない抑制不能の地球大の実験を行っている。その実験が招く最終的な結果の重大さを上回るものは,世界的な核戦争だけであろう。」と結論づけています。

また彼らは、二酸化炭素排出量を削減する努力をしなければ、生態系にとって極めて危険な地球温暖化が進行することになるだろう、と的確な警告を発しています。

しかし各国政府はこのことを知りながら、石油・石炭・ガス産業を世界でもっとも強力かつ利益の上がる産業に育ててきました。そして地球を住みづらい場所にしてしまっているこうした企業に対して、数十億ドルの税金を補助金として投入し続けているのです。

その結果、今日における大気中のCO2の量は増し、地球全体の気温は0.8度上昇してしまいました。また、こうしたCO2が捉える熱は、1日当たり、広島型原発40万発分のエネルギーを持っています。そのエネルギーが、破壊的で極端な天候を生むのです。そしてこの「新しい日常」でさえも、さらなるCO2の排出によって、一層悪化していくのです。

人類が、これまで地球温暖化問題にまともに取り組んでこなかったために、毎年40万人近い人々の命が犠牲となっているほか、主に気候変動に伴う極端な気象や食糧生産への被害等により、1.2兆ドルの損失が生じています。また、化石燃料の使用による大気汚染だけでも、年間少なくとも450万人の死亡原因になっています。こうした犠牲者数と損失額は、CO2の排出量が1トン増加する毎に確実に上昇していくのです。

人類にとってCO2排出量の問題は、時空を超えて遠い将来に深刻な影響を及ぼす問題です。つまり今日ある国で排出されるCO2は、ただちにどこかに影響を及ぼすものではなく、数年後或いは数十年後の子ども、孫、曾孫の時代の気候に害を及ぼすものなのです。もし人類が、将来における洪水、旱魃、破壊的な嵐、穀物の不作などの被害を最小限に抑えるとすれば、向こう数十年の間にCO2排出量を減少させ、最終的には代替エネルギー等への転換によりゼロに持っていく必要があります。

近年、米国におけるCO2排出量は減少傾向にあります。その背景には、長引く経済不況、老朽化した石炭火力発電所の相次ぐ閉鎖と天然ガスへの転換等が挙げられます。その他の国々においてもCO2排出量の削減努力が進められています。英国は、1990年比で18%の排出量削減に成功しており、さらに2020年までに34%に削減する目標をたてています。しかし、米国の場合、CO2排出量は依然として1990年レベルをはるかに上回っており、積極的にCO2削減努力を行おうとしないこれまでの姿勢に対して、「世界のリーダーとして相応しくない」という厳しい批判が国際社会から向けられています。

ある研究によると
、米国は2030年までに再生可能エネルギーを100%導入した21世紀型の先進低炭素社会を実現することが可能とのことです。また、2050年までには、地球全体を再生可能エネルギー源のみでまかなうことも可能との研究報告もあります。

しかし、国際社会はそうした道を選びとろうとはしていないようです。化石燃料産業の力はあまりにも強大で、既得権益を守るため多くの消費者に対して変化に対する恐れを醸成してきました。しかし今日人々が本当に恐れなくてはならないのは、ますます強大化して人命を容赦なく奪う嵐や、甚大な破壊をもたらす洪水、そして、次代を担う子どもたちやその子供たちに飢餓をもたらす旱魃なのです。

人類が未来をそのような事態から救うには、自ら蒔いた種は自ら刈り取るしかないのです。(原文へ

翻訳=IPS Japan