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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|輸送と環境|持続可能な交通政策を目指すアジア

IPS Japan

【バンコクIDN=浅霧勝浩】

 

アジア太平洋地域の都市人口は今後20年で毎日15万人ずつ拡大し、現在の16億人が2030年には27億人にまで拡大するであろう。これは、人口移動のパターンや自家用車の利用にも影響を与える。

アジア太平洋地域は、他の地域と比べて、世界で自動車がもっとも多いところである。結果として、交通部門は地球温室効果ガスの発生源としてはもっとも高い成長をみせている。世界全体の温室効果ガスの13%、エネルギー関連CO2排出の23%をこの部門が占めている。

名古屋にある国連地域開発センター(UNCRDによれば、これによって、人間の健康や都市環境の質、経済生産性、社会的公正、その他の持続可能性に関するあらゆる側面が悪影響を受けるという。

 
このことを前提として、「環境面から持続可能な交通(EST)アジアイニシアチブ」がUNCRDと日本の環境省の合同で始められた。ESTの本質的な要素に対する共通の理解をつくること、温室効果ガスの削減など、複数部門にわたる環境・交通問題に地域・国家両レベルで対処するため統合的なアプローチが必要との理解を広めることを目的としている。

現在の参加国は、ASEAN加盟国、アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、中国、インド、日本、モルジブ、モンゴル、ネパール、パキスタン、韓国、スリランカである。

このイニシアチブの下で、2005年に愛知県で「第1回地域ESTフォーラム」が開かれた。この会議で出された「愛知声明」は、12のテーマ領域を基礎として、持続可能な交通に関する目標の包括的リストを提示している。

声明は、目標達成に向けた進展を参加国が定期的に報告する基礎を築いた。その後、アジアの44都市が「環境面から持続可能な交通の促進に関する京都宣言」に署名し、愛知声明で打ち出された目標を承認している。

2009年、ESTアジアイニシアチブは、「環境面から持続可能な交通を低炭素社会とアジアでの緑の成長のために促進するソウル声明」を作成した。この声明はとくに、持続可能な環境と気候変動に対処するために共通の利益をもたらすウィン-ウィン解決に向けた、地域の努力の必要に焦点をあてている。

「持続可能な環境の新しい10年」をテーマとして8月23日から25日まで開かれた「第5回地域ESTフォーラム」では、交通部門に関するさまざまな問題を討議し、とりわけ途上国と移行期経済にある国家を念頭において、さまざまな持続可能な政策オプションに関する参加国間の共通理解を醸成していく戦略的な基盤を構築することを目指した。

タイ
のバンコクで開かれたこのフォーラムは、タイの天然資源環境省との協力でUNCRDが主催した。日本の環境省や国連アジア太平洋経済社会委員会など多くの国際組織、ドナー組織からの支援も得ている。

フォーラムは幅広い関連問題を取り上げ、アジアからの参加者は、パートナーシップの構築や資金調達メカニズム、都市・地方部の鉄道設置、バス高速輸送、省エネ、持続可能な貨物輸送など、「持続可能な交通」という枠組みの下で多くの経験交流を行った。

交通と持続可能な開発の問題が2011年の「持続可能開発委員会」第19回会議(CSD19)で検討されることもあり、「第5回地域ESTフォーラム」はCSD19に対する地域からのインプットを行う役割を期待された。

その主要成果は、法的には拘束力のない「2020バンコク宣言:2010-20年の持続可能な交通に向けた目標」である。2020年に向けて、持続可能な交通に関する数値目標を打ち出している。バンコク宣言で出された自発的目標は、CSD19への貢献として提示される。

エネルギー
 
 
交通部門はアジアのめざましい経済成長に貢献する重要ファクターであるが、アジアにおける第3位のエネルギー消費部門でもある。そのエネルギー消費は、他の経済部門、他の地域よりも伸びが高く、モータリゼーションの急速な進展と、経済開発による旺盛な交通需要がそれを加速している。

UNCRD
によれば、これはアジア太平洋地域におけるエネルギー安全保障に悪影響を与えるだけではなく、大気汚染、世界的な温室効果ガスの排出、交通渋滞、交通事故による死傷、貨物輸送の非効率化、都市への急激な人口移動、経済生産性の喪失などの点でもよくない影響がある。

持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD、2002年)で採択された「ヨハネスブルク実施計画」は、各国政府や関連主体に対して、持続可能な開発に向けた交通政策の実施を呼びかけた。

この戦略は、交通の安価性・効率性・利便性だけではなく、都市の大気の質と健康を改善することを目指し、環境面から見てより健全で安価、社会的に受け入れ可能な車両技術を発展させるなど、温暖効果ガスの削減を図ることを目標としている。

のみならず、持続可能でエネルギー効率がよいマルチモード型交通システム(大量公共輸送システムなど)の開発への投資を促進し、パートナーシップを育てることも目指している。

ヨハネスブルク実施計画でなされた約束に沿って、適切な政策的枠組み、組織・政府上の構造、パートナーシップと資金調達メカニズムを作ることが、効率的で安全、CO2をあまり排出しない交通システム・サービスを作るために肝要だとUNCRDは考えている。

「統合的な交通政策を広範に作っていく必要がある。でないと、アジアの交通を積極的に変えていく機会はしばらく失われることになるかもしれない」とUNCRDは警告する。

統合的な交通戦略とは、持続可能なモードへのインセンティブを高めること、自家用車の保有を抑えていくことなどを含む。

持続可能な交通のすべての側面は、互いに補完しあうような形で作られねばならない。都市・農村の両方で自動車に依存しない公共交通システムを作ること、複数モードの貨物輸送インフラ、資金面からみて実行可能な運用・維持に関するビジネスモデル、住民の行動パターンに影響を与える広報と宣伝、省エネと温暖効果ガス抑制を達成するためのクリーン技術といったものが、その要素になるだろう。(原文へ

翻訳=IPS Japan戸田千鶴


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