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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

「安全保障上の脅威」と認識される気候変動

 Courtesy of the American Security Project

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

 先ごろ発表された報告書『気候変動に関するグローバル安全保障防衛指標―中間集計』によると、調査対象155か国のうち少なくとも110か国が、気候変動問題を安全保障上の脅威としてとらえていることが分かった。

 

報告書を作成したのは「アメリカン・セキュリティ・プロジェクト」で、先月ソウルで開催された「アジア太平洋地域気候安全保障会議」において発表された。今後、専用ウェブサイトに、気候変動と安全保障の関係に関する各国政府、とりわけ軍当局による公式文書や声明を随時アップロードし、公開していく予定だ。

これまで各国政府は、気候変動をたんに環境問題のひとつとみなし、他の重要課題、とりわけ経済成長と比べて低い優先順位に置いてきた。そのため、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制する各国間の取り組みが遅々として進まず、気候科学者や活動家らは懸念を深めていた。しかし、ここ数年の間に、気候変動を国家安全保障の問題と考える国が増えており、認識は徐々に変わりつつある。

今年2月、米国の元官僚、軍人、超党派の議員ら38人がバラク・オバマ大統領と議会に公開書簡を提出し、とりわけ貧困国を支援して温室効果ガスの排出を抑制する策を早急に取るよう求めた。書簡では、対策がとられなければ、気候変動によって大量の移住や内戦などが起き、世界情勢は予想不可能な状態に陥ると警告している。

アメリカの進歩センタースチムソン・センター気候安全保障センターが共同で出した報告書では、気候変動に伴う自然災害(洪水、旱魃、熱波)によって引き起こされた食糧不足がアラブ諸国での民衆蜂起を呼び起こし、いわゆる「アラブの春」につながった、と指摘している。

また、米太平洋軍のサミュエル・ロックリアー司令官は、気候変動によって安全保障環境は悪化すると予想されるが、それは現在考えられているどのシナリオよりも起きる可能性が高い、と述べている。また同司令官は、ボストン・グローブ紙の取材に対して、米太平洋軍が、気候変動問題対策について中国とインドを含む地域主要国の軍との協力関係にあることを明かした。

報告書の共同執筆者の一人であるザンダー・ヴァグ氏は、「政治体制、経済慣行、地理的な位置が様々な多くの国々が、気候変動が直接間接的にもたらす危険性について、もはや環境問題としての脅威にとどまらず、安全保障問題ととらえるべきとの共通認識を持っていたのは興味深い結果でした。」とIPSの取材に対して語った。

また同報告書によると、北米、欧州、東アジア諸国では、安全保障戦略への気候変動問題の組み込みが進んでいるという。

また、太平洋、インド洋、カリブ海に面した島嶼国や沿岸諸国にとっては、気候変動に国の存亡がかかっており、切実度が高い。

他方、インドやブラジルは、気候変動問題を安全保障上の脅威ととらえることに反対する勢力(32カ国)の急先鋒である。両国は先月、気候変動を国連安保理での議題にするというパキスタン・英国の共同提案に反対した。

ロシアと中国は安保理の議題にすることには反対したが、気候変動の問題が、世界的な流行病やテロ、国際犯罪ネットワークと並んで安全保障上の脅威であるとの認識自体は持っている。

また同報告書によると、地域別では、中東・北アフリカ諸国が、トルコ、イスラエル、カタール、ヨルダン、クウェートなどの例外を除いて、気候変動を安全保障上の脅威とはみなしていない傾向にある。(原文へ

IPS Japan浅霧勝浩

 

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