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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

女性と女子の力を解放する

 

【ワシントンIPS=カンヤ・ダルメイダ】

 

ケニアのエヌーサエン村に生まれたカケンヤ・ヌタイヤは、もし母親が、地元の学校に娘をやると強く主張してくれなかったら、5才で婚約し、13才までに結婚することになっていただろう。

カケンヤ
は成長すると、父親に「もし高校卒業まで就学を許してくれたら、割礼を受ける」と説き伏せ進学の許可を得た。さらに村の長老たちと交渉して、大学入学のために米国に渡ることを認めさせた。

「私は米国の大学に入って初めて、性器の切除が違法であること、私には権利があること、そして私たちの生まれながらの権利を守る用意のある人々がいることを知ったのです。」とカケンヤは9月12日にワシントンDCで開催された会議で、人権活動家たちを前に語った。

 
その後博士課程で学んでいたヌタイヤは、故郷の恵まれないマサイ族の少女達のために、小学校「カケンヤ・センター・フォー・エクセレンス」を設立した。ささやかなスタートだったが、2010年までには100人近い生徒が通う規模へと成長した。

カケンヤは、「来月には世界の人口が70億人を超える」事実について広く啓蒙することを目的に開催された会議(場所:ナショナル・ジオグラフィック本社)に参加した、青年リーダーや人権活動家の一人である。

「世界人口が70億人を超えた今こそ、コフィ・アナン前国連事務総長が『パスポートなどいらない』と訴えた諸問題について話し合う良い機会です。また、こうした国境のない諸問題の中でも、最も差し迫った問題は、貧困を和らげ、ミレニアム開発目標(MDGsに代表される世界の開発問題の解決に向けた取り組みを前進させるために、女性や女子の力をいかに解放するかということです。」と国連財団のピーター・ヨウ副理事長は語った。

1804年、世界の人口は10億人であったが、123年後(=1927年)、人口は20億人へと倍増した。もし現在のペースが続けば、地球上に毎年新たに7800万人(カナダ、オーストラリア、ギリシャ、ポルトガルの総人口の合計相当)が増えていくこととなる。

言い換えれば、一秒に5人が誕生しており、読者がこの記事を読み終わる頃には世界の人口は167人増加している計算になる。

国連人口基金(UNFPA
によれば、人口増加の大半(100人中97人)はとりわけ女性や女子に対する人権感覚が乏しい途上国で起こっている。

「70億人突破は行動を起こすべきとの警告です。この歴史的転換点に行動を起こすことで、私たちは女性や女子の人生を大きく改善し、現在や将来の世代のために人間開発を推進することができるのです。」と、ババトゥンデ・オショティメインUNFPA事務局長IPSの取材に応じて語った。

しかし世界の動向は、オショティメイン氏の予測ほど明るいものではない。

UNFPA
自身の統計を見ても、世界の非識字者7億7600万人のうち3分の2が女性であり、1億100万人の小学校就学年齢の子ども達がまともな教育を受けていない。さらに性別選択による中絶や育児放棄のために、世界で1億3400万人の女児/胎児が「いなくなって(Missing)」いる。さらに35万人を超える女性(その99%が途上国の女性)が、90秒に1人の割合で出産時の事態が原因で死亡している。

加えて、ナショナル・ジオグラフィックによれば、現代の産業生産体制が人々の定住パターンを大きく変え、何万もの農家が田舎のコミュニティーを捨てて都市部へ移住し、メガシティー(人口1000万人を超える大都市)を形成していった。同社の見積もりによると、1975年時点で世界に3つ存在したメガシティーは2010年には21都市へと急速に拡大した。そして2050年までには世界人口の70%が都市住民になるとみられている。

国連人間居住計画(UN Habitat
によると、こうした都市部人口の内、スラム人口が昨年初めて10億人を突破した。そしてインド、ブラジル、中国といった「新興市場」国に最大級の巨大スラムが点在している。

都市住民の大半が女性で、70%の女性が一生のうちでジェンダーに基づく暴力(主に都市部において)を経験している現状を鑑みれば、人類文明の開発の流れは世界の女性にとって良い兆しとは決して言えない。このような厳しく暗い現実にも関わらず、専門家や活動家は、人口が70億を超えるこの機会を活用して国際社会に根本的な転換を促す絶好の機会だと確信している。

「人口そのものが問題なのではありません。問題は、地域と人間が分断されてしまっている状況なのです。スペースがないのではなく、平等がないことが問題なのです。9億人の若い女性たちが教育や保健衛生へのアクセスもなく生活しています。そしてあまりにも早い時期に出産し、市民として活発に政治に参画する権利や国際社会においてリーダーシップを発揮できるかもしれないという知識から隔絶された状況に置かれているのです。」とオショティメイン事務局長は語った。

「国連ユース・チャンピオン」を務めている俳優のモニーク・コールマンは、ジェンダー平等を推進するために世界中を飛び回っている。そんな彼女が、ユニセフの公衆衛生推進の仕事でケニアを訪問したときのことを語ってくれた。

「私はある部屋に連れて行かれました。そこには、衛生のための機器があると思っていたのです。ところが、私が見たのは、女性が部屋の隅っこに座って縫い物をしている姿でした。この女性が私たちのプロジェクトとどう関係あるのかわかりませんでした。でもあとで、彼女が、再利用可能な布ナプキンを縫っていることを知ったのです。」

「その時私は、外部の人間として、何がその地域の人たちのために必要なのか何もわかっていなかったことを思い知らされました。地元の人びと、とくに女性こそが、問題解決に向けた知恵も技術も経験も持っているのです。こういう女性たちの力をつけていけば、人口70億人という課題に立ち向かっていくことができると思っています。」(原文へ

翻訳=IPS Japan戸田千鶴