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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|オーストラリア|アボリジニの女性・子供虐待に対する無関心

【シドニーIPS=ニーナ・バーンダリ】

 

国連の先住民問題常設会議(UNPFII)の第5回会合がニューヨークで開催される中、オーストラリアでは、先住民アボリジニ族の女性/子供に対する性的虐待および暴力の凄まじさが明らかになった。

北部地域訴追担当官ナネット・ロジャースが作成した機密報告書がリークされたもので、同氏は報告書の中で、先住民の文化、緊密な同族関係により社会に蔓延する女性/子供に対する暴力がこれまで公にされなかった事実を暴露している。

しかし、活動家および政府関係者の一部は、政府は欧州植民地主義による先住民征服に根ざした悲劇を無視してきたと非難している。1900年から1970年にかけては、アボリジニを根絶やしにするため数万人の子供を家族から引き離す政策も行われていた。

 
ロジャース氏の記録には、ガソリンを嗅いでいた18歳の少年に強姦、溺死させられた6歳の女児、母親が酒を飲みに行っている間に複数の男に襲われ外科手術が必要な程の酷い性的暴行を受けた子供などの事例が含まれる。

オーストラリアの先住民数は、総人口2千万の僅か2%に過ぎないが、先住民社会におけるアルコール中毒、失業、投獄、家庭内暴力のパーセンテージは極めて高い。

アボリジニおよびトレス海峡諸島の先住民は、先進国の中で最も阻害された民族である。同地域の女性早死の第一原因は殺人であり、彼女達が家庭内暴力の犠牲となる確率は、他のオーストラリア女性に比べ45倍といわれる。

しかし、コミュニティー内での復讐、嫌がらせ、脅迫に対する恐れから、犠牲者が犯罪の届け出、証拠の提出を行うことは殆どない。

15年の被告弁護経験を有するロジャース氏は、「北部地域における子供に対する性的暴力と文化問題」と題された報告書の中で、オーストラリア中央部のアボリジニは、犯罪の届出および裁判所における正しい証拠の提出に責任を持つべきであると述べている。

同氏は、6歳の女児の事件では、裁判官の前で事情聴取が行われたが、女児と一緒に遊んでいた子供達は絵に書いた証拠を提出したと記している。同裁判は、他の裁判同様、自殺、過失死、殺人といった新たな悲劇でまもなく有耶無耶になってしまった。

ロジャース氏は、暴力を見て育った、暴力の犠牲者となった子供達は残虐になり、大人になると暴力事件を起こすようになると指摘している。

同氏はまた、ある男が妻と子供達をナイフで脅しながら、娘の一人を強姦した恐ろしい事件について記している。後に、この娘は妊娠していることが分かったという。

オーストラリア統計局およびオーストラリア保健厚生研究所の2003年報告によると、先住民の女性/女子が暴行による怪我で入院する確率は、一般オーストラリア女性の28倍という。

少年も例外ではない。クィーンズランド工科大学の研究者は先週、アボリジニの少年が強姦される確率はオーストラリア男性の10倍という報告を行っている。

北部のアリス・スプリングでは、10代の女性がボーイフレンドを刺し殺すという事件が過去1年間で数件発生している。

オーストラリア労働党のワレン・マンディーン党首は、当局が暴力を無視していては、問題は悪化するばかりと警告。「警察は、先住民を目の敵にしていると見られるのを恐れ介入しようとしない。政府は、人種差別主義者とのレッテルを貼られることを恐れている」と語っている。

暴力は一部社会に深く浸透しており、これらコミュニティーは「無機能社会」「未開地ゲットー」と呼ばれている。ロジャース氏は、男性が法を無視した野蛮な行為を行うことを許している先住民文化が問題の原因としている。

しかし、先住民社会問題担当コミッショナーのトム・カルマ氏は、「政府は、コミュニティーおよび家族と協力し、暴力に影響を与える社会経済問題に取り組んでいく必要がある。暴力問題は、住居/生活条件の改善、雇用創設、レクリエーション施設の建設、健康/教育プログラムの導入により改善可能」と主張する。

救援団体Oxfamは、「政府の関与がなければ、先住民社会に蔓延する虐待は解決されない」としている。Oxfamオーストラリアのジェームズ・エンソー会長代行は、「オーストラリア市民が享受している基本サービスを先住民に提供するための予算が不足していることが問題」と指摘する。

オーストラリア医療協会が、先住民向け基本保健サービスの支出は年間3億4千5百万ドル不足していると指摘しているにも拘らず、2006~2007年度予算は、僅か9千万ドルに止まっている。

エンソー氏は、「中央政府のトップ・ダウン政策は役に立たない。意志決定の全過程で、先住民リーダーを中心に据える必要がある」と言う。

先住民問題担当のマル・ブロー大臣は、同問題を討議するため、国および地方リーダーによる緊急サミットを召集する意向であるが、北部地域担当のクレアー・マーチン大臣は、「アボリジニ自身がそれを欲しなければ、全国サミットを開催しても無益」と言う。

連邦政府が、虐待する親から子供を引き離し、麻薬やアルコールの問題を抱える親には治療を施すという政策を提案したため、ブロー氏は、「奪われたジェネレーション」に関する新たな議論を展開した。

5月26日に終了する2週間のUNPFII会議には、70カ国、3億7千万人の先住民の代表が参加。他の緊急課題と共に、意志決定への参加権を要求している。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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