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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

若い命を救うために性教育を

 

【バンコクIPS=マルワーン・マカンマーカー】

イスラム教が支配的なマレーシアで、性に関する話は気の弱い人にはできない。それも公衆の面前で、毎週テレビでとなるとなおさらだ。

それを敢えて実行しているのが、マレーシア人女性ラフィダ・アブドラとカルチニ・アリフィンである。これは抵抗であると同時に、教育であり、若者の命をHIVから守る計画でもある。5年間に亘り週1回の娯楽報道番組に出演する2人は、若者にとって重要な問題を提起し、意識を高める活動を行う20代の女性チームの一員である。

話題の中心は安全な性行為、致死的性病であるHIV/エイズの予防法である。

 
「若者は大人から説教されるより、同年代(Peer)の意見を聞くもの。安全な性行為、HIVについても同じ」と番組進行役のラフィダは言う。彼女が最初にエイズの大流行を学んだのは、クアラルンプールの学校展示だった。それは11歳のときだったが、その後エイズは80年代を通じて東南アジアに蔓延した。タイでは死亡者数が数千人に達し、もはや無菌状態の中学校の展示ホールにとどまる話ではなくなった。

この女性たちの活動は、世界でもっとも猛威をふるう殺人ウイルスとの闘いの焦点を示唆している。それは、エイズウイルスが餌食とする若者である。

UNICEF(国連児童基金)のアジア太平洋事務所長アヌパマ・ラオ・シン氏は「東アジア、太平洋地域ではHIV/エイズの主役は若者になりつつある。子どもが亡くなっているというだけでなく、子どもの生活に無数の影響が出ている」と言う。同氏は「子どもはエイズ被害の矢面に立つにもかかわらず、無視されつづけてきた」と訴え、UNICEFと国連合同エイズ計画(UNAIDS)は「子どもをエイズ対策の中心に据える」新しい世界キャンペーンを立ち上げた。

このような懸念の原因となっているのは、タイの現状である。タイはつい最近まで、広範に及ぶ先駆的な公衆衛生活動でエイズの封じ込めに成功した手本として称えられていた。90年代よりエイズ撲滅に携わってきたジョン・アンファコーン上院議員は「最近、幼い子どもの間にHIV/エイズ感染が増加している。タイは自己満足に陥っていた」と言う。

同議員は、弱い立場の子どもを救うために必要な対策は「倫理教育ではなく、質のよい性教育」であり、さらに予防、治療、支援を提供する政策だと考えている。「子ども達に優先順位を与えることはこれまで一度もなかった」と言う。

UNICEFとUNAIDSが10月25日に発表した『東アジア:子どもとHIV/エイズ』によると、タイで麻薬を注射する若者の多くは、いまだにエイズ感染を防ぐことができず、性交渉で常にコンドームを使用する若者は2割から3割に過ぎない。タイでは毎年2万8,000人が新しくエイズに感染し、その5割から6割を24歳以下の若者と子どもが占める。また、若年感染者の7割が15歳から24歳の少女と女性である。

2004年の成人、子どもを含むエイズウイルス感染者は820万人、そのうちアジア太平洋地域の子どもの感染者は12万700人であった。両機関が危惧するのは、この3分の1に当たる4万6,900人が2004年に新しく感染したことだ。

15歳以下の年間死亡者数も懸念材料である。世界中で同年にエイズで亡くなった子どもは51万人だが、東アジア、太平洋地域では9,100人、南アジアでは3万0,300人だった。『子ども-忘れられたエイズの主役』と題する国連報告書は、「南アジア、東アジア地域の15歳以下の患者数、死亡者数は、サハラ以南のアフリカ地域に次いで多い」と伝えている。

東アジアでは、タイに加えて中国、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ラオスで子どもの感染が増えている。UNICEFは、これらの国の子どもはエイズウイルスの感染経路、予防法をほとんど知らず、「中国の地方の学生を調査したところ、半数が運動をすることでHIVを予防できると信じている」と報告する。

危険な性行為は子どものエイズ感染経路であるが、それ以前にも殺人ウイルスは子どもの生活を2つの方法で根本から蝕む。1つはエイズ孤児の問題、もう1つは出産、新生児期の母子感染の問題である。両国連機関はアジア、太平洋地域でエイズにより両親を亡くした孤児は150万人。母子感染により抗エイズ薬が必要な感染児童は3万4,500人と報告している。これ以上死者を増やさないためには、この地域の子どもを蚊帳の外におかず、「必要な情報とスキルを提供」する啓蒙が必要である。

UNICEFのシン氏自身、若者を今回の生存をかけた戦いの中心に据えるには、ラフィダのような若者が築いた活動の他にはないと考えている。(原文へ

 

翻訳=IPS Japan