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安産のカギを握る熟達した助産師

 

【国連IPS=ジョアン・エラキット】

 

話はこうだ。たったいま出産を終えたばかりの若い母親が、薄暗い明かりが灯っている部屋に横たわっている。その後1週間、母親は赤ちゃんを注意深く世話し続けるが、数日後に亡くなってしまうことを恐れて、赤ちゃんの名前を付けることを拒む―。

 

残念ながら、依然として世界の多くの女性が直面している現実はこういうものだ。毎年世界で1億3500万件の出産があるが、そのうち、十分な質のケアが受けられるのはわずか1100万件に過ぎない。これは、貧富の格差というだけではなく、生死の格差でもある。

 

国際援助団体「セイブ・ザ・チルドレン」は5月7日、『母の日レポート2013―1日目を生き延びる』を発表した。この報告書は、世界176カ国を対象に、母子を取り巻くさまざまな環境の評価結果をランキング形式にまとめたもので、2013年の報告書では、妊娠期、出産時、そして出産後における母親と新生児の健康状態に重点が置かれ、教育と利用可能な医療サービスを充実させることの大切さを強調している。また今回の報告書では初めて、国別の「出生日リスク指標Birth Day Risk Index)」が算出された。

 

報告書によると、新生児の誕生から最初の数時間、数日が決定的に重要な意味を持っている。すべての新生児死亡のうち、4分の3(200万人以上)が生後1週間以内、36%(100万人)が出生初日に死亡している。

 

こうした新生児の死亡原因は様々だが、適切な訓練を受けた助産師や地域の巡回看護婦へのアクセスがない場合が最も一般的である。一方そうでない場合でも、出産のために病院に行くことについて夫も許可を待たざるを得ず、その間に死産してしまう事例も少なくない。

 

また無事出産しても、新生児が罹りやすい感染症疾患の問題や、出産中、産後における母体の健康問題がある。

 

「セイブ・ザ・チルドレン」のキャロライン・マイルズ事務局長は、国連における報告書発表会の席で、「子どもにとって最良の存在は、社会的な力と教育を身に付けた母親なのです。」と語った。

 

報告書は、新生児死亡の3つの主要因として、重度の感染症、未熟児出産、出産時の合併症を挙げている。

 

問題の根本にあるのは、非常に多くの女性が医師や医療機関、助産師などにアクセスできないという現実である。

 

「新生児対策に一層取り組むにあたり、十分な質のケアを提供することが重要なポイントとなってきます。なぜなら、私たちは新生児を単に生き長らえさせることにとどまらず、身体障害を負わせないようにすることを目標としているからです。」と、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のジョイ・ローン教授は語った。

 

このことはつまり、母子保健を、政府当局やコミュニティーの指導者の優先事項にすることであり、夫や父親と出産計画について話し合う環境を整えるということである。

 

「男性を積極的に巻き込まなければ、母子保健の問題を解決することはできません。」「コミュニティーにおいて、実際に出産計画に関与するよう、夫たちに働きかけなければなりません。つまり妻が、無事出産できるよう病院に行く計画を立て、夫をその計画に関与させるのです。その際、夫には病院までの車代が必要な場合にはその支払いができるようあらかじめお金を取っておくなど、当事者として協力するよう事前に確認しておくことが必要です。男性も実際には当事者に他ならないのです。」

 

助産師を育てる

 

出産中の新生児の死亡は、途上国ではありふれた出来事である。一般的に出産とは、時折悲惨な結果を伴う困難な出来事だが、それでも自然の摂理だと理解されている。

 

「妊婦たちの間には、新生児は早産など様々な要因で死ぬもの、つまり『仕方がないこと』という感覚があります。多くの新生児が出生後一週間以内に死亡することから、母親たちは出産後7日経過しなければ、子どもに名前を付けようとしないのです。」とマイルズ代表はIPSの取材に対して語った。

 

報告書によると、800人の女性が妊娠中か出産時に死亡している。また8000人におよぶ新生児が、出生後一か月以内に死亡している。こうした母子死亡を引き起こす要因としては、教育と利用可能な医療サービスへのアクセスの問題が考えられる。

 

また、とりわけ農村部では、助産師や出産に立ち会う人がいる場合でも、出産前、出産後のケアに関する十分な知識や経験を欠いている場合が少なくない。また、たとえわずかな知識を身に付けていたとしても、失敗事例を含むそれまでの出産の現場で見よう見まねで習得したものに過ぎない。

 

公衆環境衛生の擁護者は、助産師には、出産後にへその緒を消毒するといった基本的な処置や新生児の母親に感染症のリスクについて教えるスキルを習得させるため、適切な訓練が必要と述べている。

 

またこのことは、妊婦が出産に際して十分なケアを受けられないもう一つの障害要因である医療サービスへのアクセスの問題とも関わっている。農村部へのアクセスは一般に厳しく、コミュニティーワーカーも診療のために移動ができるほどの十分な支払いがされていない。また、母子保健のための財源は一般的に乏しいのが現実である。

 

「この(アクセスの)問題を一部解決する方策は、より多くのコミュニティーの助産師や医療関係者に対して訓練を実施することです。」と、ナイジェリアのザリアにあるアハマドゥ・ベロ大学病院のキャサリン・オジョ看護長は語った。(原文へ

 

翻訳=IPS Japan

 

 

 

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