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│ケニア│マイクロローンと温室栽培が女性を救う

Ruth Muriuki in the greenhouse she built with the help of a microloan. Credit: Isaiah Esipisu/IPS【ナイロビIPS=イサイア・エシピス】

 

ルース・ムリウキ(64)さんは、小型トラックにトマトとキャベツを満載して、ケニア東部メルー市のガコロモネ市場に到着した。このところの雨不足にも関わらず彼女の農業が順調なのは、マイクロクレジットを使って彼女が建てた温室のおかげである。

「3ヶ月前には40ケニア・シリング(0.5米ドル)だったトマト10個が、いまや倍の値段です。もうどうしようもないですよ。」と市場で野菜を売っているデイビッド・ヌジョグ氏は語った。ここでムリウキさんは、3か月前まで1個50セントだったシュガーローフキャベツを1.5ドルで販売している。

本来なら10月から12月にかけて降るはずの雨が少なかったため、国全体の農業生産が深刻な影響を受け、この3カ月で農産物価格が高騰した。

しかし、温室で作物を栽培している農民らには、干ばつの心配がない。一般的に温室はガラスか透明なプラスチックでできており、室内の温度と湿度を調整できるため、一年を通じて農産物を栽培することができる。

 
リフトバレー州
ナンディヒルに暮らす一児の母、サラ・チェベット(28)さんは、この2年間にわたる温室栽培の経験について、「私は、地元のマイクロファイナンス機関から資金を借りて、この温室を購入しました。この2年間のプロジェクトで、トウモロコシのフライス盤を買い、小売店を建て、乳牛を2頭買い、値段が上がったら売るつもりで400キロのトウモロコシを買ったのです。まさに長年抱いていた夢が、マイクロファイナンスのお蔭で実現したのです。」と語った。

ひとつの温室から、彼女は平均で毎週4ケースのトマトを収穫している。これで100ドルの収入がある。

「子どもがまだ小さいので、就学するころまでに私の収入を安定させようと温室事業に投資したのです。」とチェベットさんは語った。夫は夫婦が所有している5エーカー(約2ha)の土地で他の農業プロジェクトを実施している。

園芸会社大手のアミラン・ケニア社は、この2年で2300棟以上の温室を販売してきた。同社のプロジェクトオフィサーのシラス・トゥエイ氏は、「温室のほとんどが、女性、青年、教育機関を対象に融資しているマイクロファイナンス機関を通じて販売したものです。平均すると、温室全体の半分近くを女性が所有しています。」と語った。ケニアでは、アミラン社のほかにも、温室の建設方法を習得している個人が各地で販売を手掛けている。

またトゥエイ氏は、「当社では出来るだけ多くの農家に(温室が)いきわたるよう、小規模金融機関3行(ケニア女性金融トラストエクイティ銀行ケニア協同銀行)と提携しています。」と語った。

一方CIC保険会社は、このところの温室ブームを受けて、専門業者によって建てられた温室が、火災、強風などの自然災害により被害を受けた場合に補償する商品を売り出した。

前出の7人の子どもを持つムリウキさんは、「この2年の経験から、温室と灌漑農業こそが今後のあるべき方向だと思います。雨水に依存する農業では、これまで何度も失敗し、とりわけ近年は大変な目にあってきました。天候にはもはや期待はできません。」と語った。

またムリウキさんは、「メル市周辺では、私が子供のころは3月15日になると必ずと言っていいほど雨が降ったものです。しかしここ数年、当たり前と思われてきたこの時期の雨が降らなくなっているのです。」と指摘した。

しかしムリウキさんの場合、メル市郊外15キロのカリマガチジェ(Karimagachiije)村に所有する約1エーカー(約0.4ha)農地に設置した温室のおかげで、週当たり少なくとも1トンの野菜を収穫している。

ムリウキさんはケニアの東部と中部各地の市場で野菜を売った収益から、末の2人の娘を大学に送り出すことができた。「この温室プロジェクトを始める前は、子どもの学費負担は夫の責任分担でしたが、今回初めて、私が負担できるようになりました。」とムリウキさんは語った。

しかしムリウキさんもチェベットさんと同様、自身で園芸プロジェクトを立ち上げるだけの資金を用立てる余裕はありませんでした。

「3年前、私はケニア女性金融トラストに申請し、温室プロジェクトの資金として30万ケニア・シリング(3750米ドル)の融資を得ることができました。」とムリウキさんは語った。

同トラストは、融資を通じてケニア国内の女性・少女の自立支援に取り組んでいる。貧しい女性の多くは担保となる資産を持っていないため、融資の大半はこうした女性が少額ずつ出資して運営する互助組織を通じて行われている。

これまでに50万人近くの低所得層の女性が、農業分野に限らず様々な小規模事業に、このマイクロファイナンス機関の融資を活用している。

「私の温室の場合、限られた水資源を最大限に活用するために、地中に埋め込んだパイプを通じて作物の根本に直接水を供給する『点滴灌漑システム』を採用しています。こうすることで、作物以外への水の浸出を最小限に抑えられるのです。」とムリウキさんは語った。

ケニアでは、一般的な温室の建設費は、材料の入手経路や、素材の質、構造物の規模等により、1250ドルから3125ドルまで様々である。

「わたしはこれまで、このようなプロジェクトを手掛けられるような資金を自力で集めることができませんでした。しかし女性の自立支援を掲げたマイクロファイナンス機関のおかげで、この年になって初めて独立した事業家になることができたのです。」とムリウキさんは語った。(原文へ

IPS Japan

 

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