│南アジア│経済│世界的不況で明暗分かれる南アジア諸国

【マニラIPS】
アジア開発銀行(ADB)が行った研究によって、世界的な経済不況が南アジア諸国に異なった影響を与えていることがわかった。
南アジア全体で言えば、不況の影響はそれほど大きいものとはいえない。2007年の経済成長率は8.6%だったが、2009年については6.7%と予想されている。
しかしながら、グローバル金融市場への開放性や輸出依存率が低いために、インドが世界的不況の影響をそれほど受けないのに対して、ネパールやバングラデシュはかなりの悪影響をこうむるものとみられている。
ADBからの研究を委託されたマヌ・バスカラン氏(コンサルタント会社「Centennial Asia Advisers」代表)は、インドにおいては、公務員の賃上げや豊作などの理由で消費が上向き、経済成長が続くだろうとみている。
インドは銀行に対する規制が厳しく、インフレも抑制されている。ADBは、昨年のインフレ率11.5%に対して、今年は7.5%と予想している。
他方、ネパールやバングラデシュは、国民の多くが移住している中東からの送金が減少し、経済が減速している。また、ネパールでは観光産業が、バングラデシュでは織物・履物産業がそれぞれ不調になっている。海外からの援助も減っている。
南アジア諸国で景気刺激策を採ったのはこれまでのところインドだけだ。インドでは80億ドルを投じることになっている。うち15億ドルは、中小企業向けの融資だ。
バスカラン氏は、南アジアにおいては現在の経済危機は2010年ごろに終息し、ふたたび成長の時期が訪れるであろうと考えている。
世界経済と南アジア経済の関係について考える。
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