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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|イエメン|風刺画騒動が長い影

 

【サヌアIPS=ナビル・スルタン】

 

デンマークおよび世界中で物議をかもした風刺画騒動が収まって久しいが、イエメンのメディアではいまだにその余波を引きずっている。ジャーナリストたちは、風刺画をどんな形でも掲載した編集者に対して言い渡された実刑判決をめぐり、政府と戦っている。

英字紙イエメン・オブザーバーのモハメド・アルアサディ編集長は、12月初めに50万イエメンリアル(2525ドル)の罰金を科された。裁判所は罰金が支払われるまで同編集長を拘留するよう命じている。同編集長は風刺画に大きなバツ印をつけて反対する立場を示し、読者に主張を知らせながら風刺画を掲載していた。


「決して預言者を侵害していない。判決はいわれのないものだ」とアルアサディ氏は拘置所から声明を発表した。「判決を全面的に拒否し、上訴する」。
 

 

 アルアサディ編集長の弁護士、モハンマド・ナジ・アラウ氏とカリド・アルアニシ氏は、「不当で危険な」判決に対して控訴手続きを開始した。

「判決は非常に危険なものである」とアラウ弁護士は記者団に語った。「アルアサディ氏の命が危険に晒される。裁判所が有罪としたことで狂信的な信者が預言者のためにアルアサディ氏を殺害する可能性がある。狂信的な信者は刑罰が軽すぎると感じ、自分たちで罰を下そうとするかもしれない」という。


聖職者アブドゥルマジド・アルズィンダニの弁護人であるタハ・カリド氏は、より厳しい判決を求めてこちらも控訴するといっている。「今回の判決は適切ではない。法律による罰則は最低5年の懲役である。裁判官は最低刑から最高刑までの範囲で刑を選ぶ裁量があるが、実刑を与えないのはありえない」。


判決の中で、サフル・ハムザ裁判官は、「法律にのっとり、アルアサディは罪を犯したとする。風刺画を批判する意図があったとするアルアサディの主張は弁明にならない。たとえ善意の目的で風刺画を掲載したとしても、アルアサディを弁護する法はない」と断じた。


だが裁判官は「アルアサディは罪を犯したが、異端者とするには当たらない」と実刑にはしなかった。


11月には、アルライ・アルアーム紙のカマル・アルオルフィ記者に、風刺画の掲載により預言者ムハンマドを侮辱したとして、裁判所は1年の懲役刑、18カ月の記者活動停止、半年間の新聞発刊停止を言い渡した。


控訴中に検察はオルフィ記者を一旦釈放した。だがまもなく、検察が新聞社の封鎖とオルフィ記者の逮捕を命じたため、同記者は現在姿を隠している。


「これはいったいどういうことだ」とオルフィ記者はイエメン・ジャーナリスト組合に書簡を送った。「自由な立場で新聞を発行している間は上訴できないということか。メディアとジャーナリストには活動する安全な場がないということか」


イエメン・ジャーナリスト組合の会員は判決に対する抗議を続けている。「われわれの預言者を政治的論争に利用し、解決を図ろうとするのは悪いことである」と組合のアリ・アルジャラディ氏はIPSの取材に応じて語った。


組合は、新聞は預言者を侮辱しているのではなく、デンマークやその他の新聞の神への冒涜に対して擁護したと主張した。


「アルライ・アルアーム紙とイエメン・オブザーバー紙に対する判決と、オルフィ記者を刑務所へ追い詰め、18カ月も執筆できないことするなど聞いて遺憾に思う」とイエメン・ジャーナリスト組合はアリ・アブドゥラ・サーレハ大統領宛の嘆願書の中で述べている。「さらに遺憾なのは、当局が新聞を廃刊し記者があたかも犯罪者であるかのように追跡して最初の判決を実施し初めていることだ」。


ニューヨークに本部を置くジャーナリスト保護委員会(CPJ)も、オルフィ記者に対する厳しい懲役刑について非難している。


「この厳しい判決を深く憂慮している」とCPJのジョエル・サイモン事務局長はいう。「ジャーナリストが公表したものに対して投獄されることはあってはならない。風刺画が感情を害したのは理解するが、ジャーナリストが出版物のために投獄されることに正当な理由はまったくない」。


サヌアの控訴審は先週の月曜にオルフィ記者に対する実刑判決の差し止めを命じたが、控訴手続きも保留している。


風刺画を掲載した3番目の週刊誌アルフリヤのアクラム・サブラ編集者とヤフヤ・アルアブデル記者が、先週1カ月の記者活動停止を命じられた。裁判所は風刺画を掲載しイスラムを侮辱したとして2人を有罪とした。


「一連の事件の中では最も甘い判決だが、上告するつもりだ」とカレド・アルアンシ弁護士はいう。


翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩