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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER
国連の分担金削減の危機が迫る中、「希望の持てる領域」を探す動き

UN Secretary-General Guterres (left) and General Assembly President Thomson at the high-level dialogue on January 24. / UN photo【ベルリン/ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

米国による分担金の大幅削減というリスクが、まるで「ダモクレスの剣」のようにアントニオ・グテーレス国連新事務総長の頭上にぶら下がっているなか、政府高官や市民社会の代表らが、「永続的な平和」と「持続可能な開発」のネクサス(関連性)を強調し、ニューヨークの国連本部という舞台を超えて、この関連性に関する意識を広く喚起する必要性を訴えている。

「公正で、平和的で、包摂的な社会」の必要性に焦点を当てた「持続可能な開発のための2030アジェンダ第16目標は、そうした本来的な関連性を強調しているが、国連が2015年9月に全ての加盟国の賛同を得て持続可能な開発目標(SDGs)の履行が開始されてから既に1年が経過しているにもかかわらず、一般の人々や外交分野における関心は依然希薄なままである。

急速に緊急性を増す「核兵器廃絶」

From L to R: Front Row: Daniel Ellsberg, David Krieger, Noam Chomsky. Second Row: Paul K. Chappell, Rick Wayman, Elaine Scarry, Steven Starr, Richard Falk, Jackie Cabasso, Jennifer Simons, Peter Kuznick, Judith Lipton, Kimiaki Kawai. Third Row: Robert Laney, Mark Hamilton, Daniel Smith, John Mecklin, Hans Kristensen, Rich Appelbaum. (photo by Rick Carter)【サンタバーバラ(米加州)IDN=リック・ウェイマン】

2016年10月24・25の両日、核時代平和財団は、様々な分野から核問題に取組んできた少人数の専門家(学者、活動家、思想家等)を招集して、核軍縮に向けたグローバルな言説をいかにして変えていくかを議論した。シンポジウム「喫緊の課題である核兵器廃絶」において、参加者らは、核の脅威をめぐる現状、核兵器廃絶に立ちはだかる地政学的・心理学的障害、今後進むべき道筋について議論した。

シンポジウムから僅か2週間後にドナルド・トランプ氏が米国の新大統領に選出されるという新たな政治的現実を盛り込むために、シンポジウム最終声明の発表は大幅に遅れることとなった。

トランプ氏のツイート、3月の国連核兵器禁止協議に悪影響か

An unarmed Minuteman III intercontinental ballistic missile is launched during a 2016 operational test at Vandenberg Air Force Base, California./ Senior Airman Kyla Gifford/U.S. Air Force.【ベルリン/ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

ドナルド・トランプ氏が1月20日に第45代米国大統領に就任するのを控えて、専門家らは、同氏が核の危険を減らす政策を採るのか、それとも自滅的な軍拡競争につながる行動に訴えることになるのか、真意を測りかねている。

この推測合戦の背景にあるのが、国連総会が「核兵器の完全廃絶につながるような、核兵器禁止の法的拘束力ある文書」を交渉するために全ての加盟国に開かれた会議を3月に開くと決定したことである。ニューヨークの国連本部で開かれるこの会議は、3月27日~31日と6月15日~7月7日の2つの会期に分かれている。

国連、核兵器禁止条約交渉会議に道開く

UN General Assembly approves historic resolution on December 23, 2016./ ICAN【ジュネーブ/ニューヨークIDN=ジャムシェッド・バルーア】

国連総会が、「核兵器を禁止しその完全廃絶につなげるような法的拘束力のある文書」を交渉するすべての加盟国に開かれた会議を2017年3月から開始することを決定した。ニューヨークの国連本部で開催される予定のこの会議は、3月27日から31日と6月15日から7月7日の2つの会期に分かれている。

「この歴史的な決定は、多国間の核軍縮努力が20年にわたって麻痺している状態に終わりを告げるものであり、(米ロ)二大核武装国が核兵器を巡ってさや当てを続ける状況の中でなされたものだ」と「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)はコメントした。

アジアのSDGs実現、欧米の活動家に乗っ取られる恐れ

 Bangkok SDGs event. Credit: UNDP【バンコクIDN=カリンガ・セネビラトネ】

12月初め、国連開発計画(UNDP)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、国際連合人口基金(UNFPA)の3つの国連機関が、「ケース・フォー・スペース(#Case4Space: SDGsの中心に若者を)」(C4S)と題したユースフォーラムを、3日間にわたって国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の施設(バンコク)で開催した。これは、アジア太平洋地域において持続可能な開発目標(SDGs)を促進するための意識喚起を図り、その重要性を訴えるために、同地域における60以上のパートナーが主導したキャンペーンとうたわれているものだ。

しかし、フォーラムの中身は、主に欧米の発表者やコンサルタントが多数を占め、プロジェクトは英国の活動家集団「弛みなき発展」が主導するものであった。このため、アジア・太平洋地域から参加した多くの活動家らは、SDGsに関する議題そのものが、まるで欧米の活動家に乗っ取られたかのように感じていた。

国連事務総長、軍縮の「慢性的停滞」を激しく批判

Photo: Ban Ki-moon (centre right) delivered a keynote address on 'The Future of Multilateral Disarmament' at an event hosted by the Centre for Global Affairs (CGA) of New York University (NYU) on 22 November. From left: Dennis Di Lorenzo, Dean of NYU School of Professional Studies; Andrew Hamilton, President of NYU; Vera Jelinek, Divisional Dean and Associate Professor at NYU School of Professional Studies Center for Global Affairs. Credit: UN Photo/Rick Bajornas【ニューヨークIDN=ロドニー・レイノルズ】

「核兵器なき世界」の実現に向けて長年たゆみない取り組みを続けてきた国連の潘基文事務総長が、多国間軍縮の将来をめぐって国連の193加盟国の間に「深い亀裂」が生じていることに強い失望感を表明した。

「核兵器国とその多くの同盟国は、核戦力を削減する措置を実際に取ってきていると主張しています。一方非核兵器国は、軍縮交渉の不在、依然として数千発の核兵器が存在すること、1兆ドルをはるかに超すコストをかけて今後数十年で既存の核戦力を近代化する計画が存在する点を指摘しています。」と潘事務総長は、11月22日にニューヨーク大学プロフェッショナル学部で行った基調講演で語った。

信仰を基盤とした諸団体、軍縮を訴える

Faith Communities Concerned about the Humanitarian Consequences of Nuclear Weapons met with Kim Won-Soo, UN High Representative for Disarmament Affairs to hand over an interfaith joint statement. at United Nations Headquarters, New York./ ICAN【ニューヨークIDN=T・K・フェルナンデス】

1945年に広島・長崎に恐るべき原爆が投下されて以来、国際社会は核兵器の廃絶を訴えてきた。ゆっくりとした歩みだが、市民社会は、核兵器なき世界の必要性を弛みなく訴え続け、事実、その実現に原則一歩近づきつつある。

創価学会インタナショナル(SGI)の河合公明平和・人権部長は、IDNの取材に対して、核軍縮の重要性を指摘し、「私たちは気候変動や貧困、飢餓、災害といった共通の地球的課題を共有しています。ならば、私たちの貴重な資源をもっと意味のある目的に利用すべきではないでしょうか。」と語った。

国連安保理、核実験は禁止しても、核兵器は禁止せず

A view of the meeting as Security Council members vote the draft resolution on Nuclear-Test-Ban Treaty on 23 September 2016. UN Photo/Manuel Elias.【ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名開放20周年を翌日に控えて、国連安保理は、20年前に確立されている核実験の事実上の世界的禁止を強化する決議を採択した

拒否権を持つ米国・ロシア・中国・英国・フランスの5大国(P5)と、ローテーションで選出され2年の任期を持つ非常任理事国10カ国からなる国連安保理は、9月23日の集中審議の後、賛成14・反対0・棄権1で決議を採択した。エジプトは、決議の文言が核軍縮の必要性を強調していないとして、棄権した。

核軍縮キャンペーン、ノルウェーのベルゲンに焦点を当てる

Visitors to the exhibition Everything You Treasure – For a World Free From Nuclear Weapons/ IDN-INPS.【ベルゲンIDN=ロワナ・ヴィール】

北大西洋条約機構(NATO)の創設メンバーであるノルウェーは、「核の傘」依存国としてこの軍事同盟の保護を受けながら、一方で、平和問題への関わりが深い国とみられている。それは、2013年3月にオスロで「核兵器の人道的影響に関する国際会議」を主催したためだけではない。

「ノルウェーは(また)、2008年にクラスター爆弾禁止条約の署名につながったオスロ・プロセスも主導しました。」と語るのは、創価学会インタナショナル(SGI)の寺崎広嗣平和運動総局長である。

「2030アジェンダ」達成へ向け若者に目を向ける国連

Photo: Young people from a local NGO in Ouagadougou, Burkina Faso. Credit: Ollivier Girard.【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】

国連事務総長としての2期目の任期を2016年12月31日に終える潘基文氏が、世界の若者の関心と意欲に焦点を当てる取り組みを強化している。過去のパターンを打破し、世界をより持続的な将来に向けた軌道に乗せるための取り組みを世界的にリードするよう、若者らに促している。

潘氏は、「深刻な貧困が広がる一方でこれ見よがしにひけらかされている富、飢餓が拡大する一方で横行している食材廃棄、豊かな天然資源と地球環境を蝕む企業活動…若者らは世界に蔓延するこうした悲劇的な矛盾に直接的に影響を受けています。」と、「国際青少年デー」に寄せたメッセージで述べた。