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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

未来に向けて国連とその創造的進化を強化する(池田大作創価学会インタナショナル会長インタビュー)

Dr. Daisaku Ikeda/ Seikyo Shimbun【ベルリン/東京IDN-INPS】

新たな希望の時代を招来するうえで「青年の役割」に注目することがなぜ大切なのか。核兵器を法的に禁止し、廃絶する条約制定を目指す国連の画期的な交渉会議は成功するだろうか。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、SDGsやパリ協定の推進のために、どうすれば国際社会から十分な支援を得ることができるだろうか。 これらは、インターナショナル・プレス・シンジケート(INPS)の基幹媒体であるIDNのラメシュ・ジャウラ記者兼編集長が、創価学会インタナショナルの池田大作会長に電子メールインタビューで問いかけた質問の一部である。インタビューの全文は以下のとおり。 ...

Q:貴殿は、1983年から毎年、平和提言を発表されています。本年の「希望の暁鐘 青年の大連帯」と題する提言の冒頭で、「青年の役割」に焦点を当てられております。「青年の役割」に注目することがなぜ大切なのかについて、説明いただけますでしょうか。

SDGs for AllA:それは、「青年の数だけ希望があり、未来がある」と固く信じるからです。現在、世界では多くの問題が山積していますが、青年たちが連帯して行動を起こしていけば、そこから希望の暁鐘が生み出されるとの思いを、提言のタイトルに込めました。

今回、私は、SDGs(持続可能な開発目標)をめぐる課題を中心的に論じましたが、その制定プロセスにおいて国連が実施した調査に、最も多くの声を寄せたのも青年たちでした。

市民社会から700万人以上の声が届けられる中、7割以上を30歳未満の若い世代が占めていたのです。

以前のミレニアム開発目標とSDGsの違いは様々ありますが、なかでも重要なのは、市民社会の声、特に青年の声を踏まえる形で採択された“民衆のアジェンダ”であるという点だと思います。 

SDGsでは、貧困や飢餓をはじめ、ジェンダー平等や気候変動など、17分野・169項目にわたる目標が盛り込まれました。

いずれも容易ならざる課題であり、国レベルでの取り組みの強化はもとより、市民社会の力強い後押しが絶対に欠かせません。

“民衆のアジェンダ”という特色を最大の強みとし、グローバルな行動の連帯を築くことがSDGsの成否を握る鍵であり、その結集軸となる存在こそ「青年」にほかならないと私は考えます。

私どもSGIが、国連の協議資格NGOとして軍縮・人権・環境・人道を軸に活動を続ける中、その中核を担ってきたのも青年たちでした。青年には、自らの創造力をもって希望のシナリオを紡ぎ出し、自らの情熱と行動をもってそれを前に進める力が具わっています。

今、世界には10歳から24歳までの若い世代が、18億人いるといわれています。こうした若い世代が、暴力や争いではなく、平和や人権を守るために共に立ち上がり、行動の輪を広げていけば、SDGsが目指す「誰も置き去りにしない」社会への道は、必ずや大きく開けていくに違いありません。

Q:「大連帯」とは、国家、人種、民族、経済、イデオロギーの違いを超えるものかと思います。貴殿の視点から、青年たちはどのように大連帯を実現することができるでしょうか。

A:様々な違いを乗り越えて連帯を築くための出発点となるのは、「思いを共有すること」ではないでしょうか。

それは、難民の人々が直面する窮状に対して“胸を痛める心”であったり、環境破壊を食い止めたいという“やむにやまれぬ思い”であったり、戦争のない世界を求める“心の底からの願い”といったものです。

実際、私どもSGIが国連支援の活動を続ける中で、他の団体と連携を深める基盤となってきたのも、そうした思いでした。

Ambassador Maria Nazareth Farani Azevedo of Brazil (left in the photo) addressing launch of the Exhibition as representative of the Platform for Human Rights Education and Learning, comprising the governments of Brazil, Costa Rica, Italy, Morocco, the Philippines, Senegal, Slovenia, Switzerland, and Thailand. Credit: Kimiaki Kawai | SGI例えば人権の分野では、各地で広がる差別や排他主義に対し、問題意識を同じくする多くの団体と連携する中で、「人権教育および研修に関する国連宣言」の採択を後押しました。採択から2年後の2013年には、アムネスティ・インターナショナル人権教育アソシエイツ(HREA)と一緒に、「人権教育2020」という市民社会ネットワークを立ち上げ、この3月にも同ネットワークなどと共同し、「変革の一歩――人権教育の力」と題する新展示をジュネーブの国連欧州本部で開催したところです。

また、青年の連帯という面では、核兵器の廃絶を求める国際ネットワーク「アンプリファイ」が昨年5月に発足し、SGIの青年メンバーが他の団体の青年たちと力を合わせて、核時代に終止符を打つための活動を広げています。

このように思いを共有し、問題解決のために何をすべきかを共に考えることが、連帯を形づくる基盤になると思うのです。

SGIが「世界市民教育」を重視し、地球的な課題に関する様々な展示等の開催を通して、特に若い世代の意識啓発に力を入れてきた理由の一つもそこにあります。

その上で最も大切なのは、共に行動を重ねる中で、垣根を超えた“一対一の友情”を深め合っていくことではないでしょうか。

「大連帯」といっても、あくまで重要なのは、規模の大きさではなく、つながりの強さです。困難な状況を乗り越えながら、現実変革のうねりを巻き起こすスクラムの強さです。“一対一の友情”こそ、「青年の大連帯」の生命線なのです。

INPSQ: 2015年8月に広島の地で、SGIが共同主催された「世界青年サミット」を鮮明に思い起こします。貴殿は、師匠である創価学会の戸田城聖第2代会長が「原水爆禁止宣言」を発表してから60周年の佳節である本年も、青年に焦点を当てた行事の開催をお考えでしょうか。

Josei Toda/ Seikyo ShimbunA:戸田第2代会長が「原水爆禁止宣言」を発表した神奈川の地で、「青年不戦サミット」の開催を予定しています。これは、広島・長崎・沖縄の青年部をはじめ、各地の青年の代表が集って行われるものです。

今から60年前の1957年9月8日、戸田会長は、5万人の青年たちを前に、世界の民衆の生存の権利を根源的に脅かす核兵器は“絶対悪”にほかならず、いかなる理由があろうと、その使用を断じて許してはならないと訴えました。

そして、核兵器の禁止と廃絶を時代潮流に高めていくことを、“遺訓の第一”として、当時、青年だった私たちに託しました。

以来、私は、その遺訓を胸に、「核兵器のない世界」への道を切り開くための行動を続けてきました。

SGIが現在、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)をはじめ、他のNGOや宗教コミュニティーの団体などと力を合わせて、核兵器禁止条約の締結を目指す運動に取り組んでいる精神的な源流も、この戸田会長の「原水爆禁止宣言」にあるのです。

時を経て、核兵器の非人道性に対する認識が高まる中、核兵器禁止条約をめぐる交渉がいよいよ国連で始まりました。

条約の締結によって、一切の例外を認めることなく核兵器の使用を禁止する国際規範を打ち立てることが、1996年の国際司法裁判所の勧告的意見で焦点となった“明示的な法の不在”の克服につながることは間違いありません。

この禁止条約の交渉を成功に導く上でも、また、条約の締結後に実効性の確保を図る上でも、市民社会の声、なかんずく、核時代との決別を強く求める青年の声を結集し、目に見える形で示していくことが、非常に重要になると思います。

神奈川で開催する「青年不戦サミット」が、その一翼を担う集いとなることを、心から念願してやみません。

Q:核兵器を法的に禁止し、廃絶する条約制定を目指す国連の交渉会議の第1会期が3月31日に終了したことを受けて、6月15日から7月7日に行われる第2会期に何を期待されますか。

A:交渉会議の第1会期で、国連加盟国の3分の2を上回る130カ国以上の国々と市民社会の代表が参加する中、条約の大枠をめぐる建設的な議論が進んだことを、強く歓迎するものです。

会議にはSGIの代表も参加して発言を行ったほか、作業文書を提出しましたが、討議では“何としても禁止条約を成立させよう”という熱気に満ちた発言が相次いだといいます。討議の進展を踏まえ、議長を務めるコスタリカのホワイト大使は、第2会期の最終日には条約の成案を採択したいと表明しました。

そこで私が申し述べたいのは、第1会期ではほとんど参加がみられなかった核保有国や核依存国を含めて、より多くの国が、今後の討議に参加するよう、強く呼び掛けたいという点です。

意見の対立があるから対話は不可能なのではなく、対立があるからこそ対話が必要となるからです。

今日、核兵器がもたらす壊滅的な結末への懸念と、偶発的な事故などによる核爆発の危険性に対する認識は、核保有国や核依存国を含め、どの国にも基本的に共有されたものであるはずです。

その点は、2010年のNPT運用検討会議の最終文書でも確認されております。

そこを足がかりに、NPT第6条の核軍縮義務に焦点を合わせた討議を行う中で、各国が抱える安全保障上の懸念と、「核兵器のない世界」を実現するための方途が交差する点がどこになるのか浮き彫りにし、前に進めるべき時が来たと思うのです。

第1会期で行われた市民社会の代表を交えての自由討議の機会を第2会期でも設ける中で、禁止条約の制定を“地球的な共同作業”として推し進め、会期末の成立を期すべきではないでしょうか。

UN General Assembly Hall/ Wikimedia CommonsQ:核兵器禁止条約をめぐる今後の交渉会議において、貴殿は、日本がどのような役割を担うべきであるとお考えでしょうか。

A:私は、唯一の戦争被爆国である日本が歴史的な使命と責任を深く自覚し、交渉会議に積極的に臨むことを呼び掛けてきました。

それだけに、3月末に行われた交渉会議の第1会期で、日本が不参加となったことを、極めて残念に思います。

しかし同時に、日本から多くの市民社会の代表が会議に集い、核兵器の禁止と廃絶を求める声を条約への具体的な提案と併せて届けたことの重みは非常に大きかったと感じてなりません。

会議では3人の被爆者の方々が体験を生の声で語りました。その体験を通し訴えられた“核兵器による惨害を二度と誰にも味わわせてはならない”との切実な思いは、核兵器禁止条約の立脚点がどこにあるのかを明確に示したものといえましょう。

これまで日本が核軍縮・不拡散外交の柱としてきたNPTは、核戦争が全人類に惨害をもたらすとの認識に立ち、「諸国民の安全を守る措置」の必要性に基づいて制定されたものです。この本旨に照らせば、禁止条約はNPTと決して相反するものではなく、NPTが目指す核軍縮・不拡散の強化につながるものです。

Atom Bomb Dome/ INPSJその意味で大切なのは、日本が近年、広島で開催した軍縮・不拡散イニシアチブの会合やG7外相会合で、核保有国や核依存国の外相らと共に採択した宣言を今一度想起することではないでしょうか。そこには、核兵器の非人道的影響をめぐる議論は「国際社会の結束した行動のための触媒であるべき」との文言や、「核兵器は二度と使われてはならないという広島及び長崎の人々の心からの強い願いを共にしている」との一節が刻まれています。

核兵器のない世界を築くために何が必要か、議論を徹底して深めながら、道を切り開くことに、日本の使命と責任があります。その一点に立ち返って、第2会期からの討議への参加に踏み出すことを、強く願ってやみません。

そして、第1会期に参加していた核依存国のオランダなどとも連携しながら、核保有国と非保有国との橋渡し役を担い、日本だからこそできる貢献を果たしてほしいと望むものです。

Q: 貴殿は、米ロ首脳会談をできるだけ早期に開催し、核軍縮の流れを再活性化することを提言されております。近い将来に、そのような会談が開催される可能性について、どのような見通しをお持ちでしょうか。

A:今年1月、アメリカでトランプ新政権が発足した直後、ロシアのプーチン大統領との電話会談で意見の一致をみていたように、3年前のウクライナ情勢をめぐる対立以来、冷え込んでいた両国関係の改善を目指す機運が見え始めていました。

しかし、先日のシリアへの空爆を巡って、米ロ関係はより深刻な状況に陥り、先行きが見えない状況となっています。

両国の対立は、シリアを巡る国連安保理での議論にも影響を及ぼすなど、国際社会に大きな陰を落としており、緊張緩和に向けての糸口を早急に探る必要があります。

空爆から5日後(4月12日)に、アメリカのティラーソン国務長官がモスクワを訪れ、ロシアのラブロフ外相に続いて、プーチン大統領との会談が行われましたが、両国の間で対話の回路を閉ざさない努力は、緊張状態のエスカレーションを防ぐために、ますます求められるでしょう。

かりに対話の過程で激しい意見の応酬が続いたとしても、互いの懸念がどこにあるのかを知ることが、関係改善の一歩となることは間違いありません。

先日(5月2日)にも、トランプ大統領とプーチン大統領が電話会談を行いましたが、こうしたさまざまな形を通じて対話の継続を図っていくことが重要だと思います。

現在、米ロ両国とも、核兵器の関連予算は莫大のものとなっており、このままではさらに増えていく恐れがあります。その莫大な資金が削減されれば、福祉や保健などの向上のために充当することもできます。

昨年11月、トランプ大統領の当選直後に、プーチン大統領と行った電話会談で話題になったように、今年は両国が国交を樹立してから210年にあたります。その時の会談で一致した「実務的で互いの利益となる協力関係への復帰」に向けて、歩み寄りへの模索を続ける中で、両国の行動が大きな鍵を握る核軍縮の問題についても対話を開始することを、切に願うものです。

Q: 国連の新事務総長であるアントニオ・グテーレス氏が直面する課題とは何であるとお考えでしょうか。また、そうした課題を事務総長はどのように解決できるとお考えでしょうか。どうしたら、事務総長は、SDGsやパリ協定の推進のために、国際社会から十分な支援を得ることができるでしょうか?

A:国連では創設以来、「世界人権宣言」の採択をはじめ、様々な分野で基盤となる国際規範や条約の整備を進める一方で、「持続可能な開発」や「平和の文化」といった人類が共同して追求すべき理念や指標を打ち立てることに貢献してきました。

こうした一連の取り組みが、第2代の事務総長を務めたハマーショルドが提起していた、憲章の精神に基づく国連の“創造的進化”の重要な一端を担ってきたといえましょう。

それは、多くの地球的な課題に対する「認識の共有」を国際社会で押し広げ、近年もSDGsの制定とともに、温暖化防止のためのパリ協定を採択に導く大きな牽引力となりました。

しかし難民問題のように、事態の深刻さへの「認識の共有」が進んでいても国際協力の強化が難航する課題も多く、「認識の共有」から「行動の共有」への流れをいかに強めていくかが、現在の国連が直面する大きなテーマであると思えてなりません。

その意味で、グテーレス事務総長が、10年にわたる難民高等弁務官としての経験などを踏まえて、「予防の文化」の重要性を呼び掛けるとともに、ジェンダー平等の実現を最優先課題の一つに挙げておられることに、強く共感するものです。

なぜなら、温暖化の問題が象徴するように、地球的な課題に無縁でいられる国はどこにもなく、どの国にとっても有益となる「予防の文化」の追求は、国連の挑戦を支える「行動の共有」の強いインセンティブ(動機)になると思うからです。

また、ジェンダー平等は、私も今年の提言で強調したように、平和構築や紛争解決の面で不可欠の要素であるだけでなく、SDGsの全ての目標を前進させる中軸となるものです。

The ninth Secretary-General of the United Nations, António Guterres. /UN Photo/Eskinder Debebeこの点、グテーレス事務総長がその一環として、国連幹部のジェンダー平等を目指して、副事務総長や事務次長、官房長や政策担当特別顧問に女性を任命し、自ら国連におけるジェンダー主流化の流れを強めようとしていることを、強く歓迎するものです。

私は、グテーレス事務総長が重視する「予防の文化」やジェンダー平等こそ、SDGsやパリ協定をはじめとする国連の挑戦の大きな推進力になるに違いないと確信します。

そのためにも、これまでの質問の中で述べてきたように、「国連と市民社会との協働」をあらゆる分野で強めていくことが大切であり、とりわけ「青年の参画」の場を積極的に設けることが何よりも欠かせない要素となるに違いありません。

グテーレス事務総長のリーダーシップの下、「市民社会との協働」と「青年の参画」が、国連の強化と創造的進化をもたらす基盤として広がっていくことを、私は強く期待しています。(原文へ

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