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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

画期的なトラテロルコ条約の成功から50年

UN High Representative for Disarmament Sergio Duarte at the Conference on Facilitating the Entry into Force of the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty on 23 September 2011. Credit: James Leynse | CTBTO Preparatory Commission2017年2月14日、ラテンアメリカ・カリブ海地域核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)は50周年を迎える。同条約は、核兵器の実験・使用・製造・生産・取得を禁止している。同地域の全33カ国がこの条約に加盟している。本記事は、同条約の重要性を詳しく検討するものである。

【ニューヨークIDN-INPS/TMS=セルジオ・ドゥアルテ、ジェニファー・マックビー】

地球上の人間の住む地帯に初めて非核兵器地帯が設置されたものとして、トラテロルコ条約は、世界および地域の軍縮・平和・安全保障に重要な貢献をしてきた。条約効力の無期限化、留保の禁止、核兵器の定義、消極的安全保障を通じて非核兵器地帯の地位を尊重するという核兵器国による約束、加盟国による平和目的に限定した原子力エネルギー利用の容認等、この条約は数多くの革新的な条項を含んでいる。

 Treaty of Tlatelolco Logo/ OPANALトラテロルコ条約は、非核兵器地帯はそれ自体が目的ではなく、将来における全面的かつ完全な軍縮、とりわけ核軍縮を達成する手段だとする原則を体現している。この条約はまた、国家間の平等と、加盟国間の差別禁止の原則を掲げている。

OPANAL(ラテンアメリカ・カリブ海核兵器禁止機構)は、トラテロルコ条約の義務遵守を確保する責任を担う国際組織である。1992年、国際原子力機関(IAEA)は査察実施に関する完全な権限を付与された。ラテンアメリカ・カリブ海地域の全ての国々が核不拡散条約(NPT)に加盟していることから、これらの国々はNPT第3条に規定されたIAEA保障措置に従っていることになる。また、これらの国々は包括的核実験禁止条約(CTBT)にも署名・批准している。さらに、4者協定によって、ブラジル・アルゼンチン両国は、IAEA並びに両国が1991年に設立した「アルゼンチン・ブラジル核物質計量管理機関(ABACC)」による査察にも服している。

この間、世界の他の地域もラテンアメリカの範に倣った。現在、南太平洋、東南アジア、アフリカ、中央アジアと、4つの地域に非核兵器地帯が存在する。現在113国がこうした非核地帯の加盟国であり、これに加えて、国連によって1998年に非核地位を確認されたモンゴルがある。その大多数が南半球に位置しており、南半球は事実上の非核半球となっている。

Nuclear Weapon Free Zones/ UNODAトラテロルコ条約交渉の起源と成功は、ラテンアメリカ諸国に共通するイベリア半島の起源とその外交的伝統、平和的共存と協力、国際法への信頼、地域の問題に対処するメカニズムを協議することへの信頼に負っていると言ってよい。

1962年、ブラジルのアフォンソ・アリノス・デメロ・フランコ国連大使は、ラテンアメリカに非核兵器地帯を確立することを初めて提案した。この数週間後、キューバにソ連がミサイルを設置したことから生じた国際危機が、この理念への一般的な支持を確固たるものにした。1963年には、ボリビア・チリ・エクアドルがブラジルとともに非核兵器地帯創設を提案する決議草案を提出した。

翌年、この4カ国にメキシコを加えた5カ国の大統領が、ラテンアメリカ大陸の非核化をもたらす国際文書の協議および署名を行うとの正式決定を発表した。協議は1964年にメキシコシティで始まり、1967年2月14日に署名開放され、翌年4月に発効した。そして2002年にはキューバが批准し、ラテンアメリカ・カリブ海地域の全33カ国について条約が完全発効した。また、メキシコのアルフォンソ・ガルシア・ロブレス大使は、この協議プロセスを主導した功績と、核軍縮・核不拡散への貢献が評価されて、1982年にノーベル平和賞を授与されている。

トラテロルコ条約の付属議定書2の下で、(NPT上の)5つの核兵器国は、ラテンアメリカ・カリブ海地域の非核兵器地位を尊重し、条約加盟国に安全の保証を与える義務を負っている。しかし中国を除く4か国は、議定書批准に際して、自国の義務に関して一方的な解釈宣言を行っている。(フランスは国連憲章第51条の下での自衛権の行使について、また米国、英国およびソ連〈当時〉は核兵器国に支援された締約国による侵略の事態に消極的安全保障の義務を再考する権利について、それぞれ留保を付している。)

条約の加盟国は、こうした解釈は議定書の目的や精神に反しているとして、解釈の見直しか取り消しを要求している。というのも、こうした解釈は、条約が適用される地帯内で核兵器の通過が可能となったり、一定の状況下で核兵器の使用あるいは使用の威嚇が可能となったりするようにみなしうるからだ。

条約の締約国と議定書の締約国がこれらの問題に関して共通の理解を持つことが重要である。そのため、OPANALは相互の利益になる問題について共通の立場に到達すべく、核保有国やその他の非核兵器地帯の諸機構と協議している。

興味深いのは、包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択された1996年から先立つこと29年前に、既にトラテロルコ条約の中に核実験の広範な禁止が盛り込まれていたことだ。このことは、CTBTが依然として正式に発効していないという事実を浮き彫りにしている。CTBTの発効には批准が必要とされる残り8カ国による批准が必須だ。非核兵器地帯を確立した5つの国際条約と同様に、CTBTの発効は核拡散を阻止するうえで極めて重要な要素となる。

UN General Assembly approves historic resolution on December 23, 2016. /ICANトラテロルコ条約50周年は、2016年の国連での歴史的な決定を受けて核兵器禁止に関する協議が開始されるという状況と時を同じくしており、幸先良いものを感じさせる。この協議が成功するならば、国連憲章が1945年に署名されて以来、国際社会のほとんどの国々が追求してきた目的の達成(=全ての核兵器および大量破壊兵器の廃絶)に大きく近づくことになるだろう。

同様に、核物質の保安を確保する効果的な措置を全ての加盟国が採ることが、核兵器の拡散を防止する取り組みにおいて重要だ。核兵器を永遠に廃絶することは、核の大惨事を予防し、人類の生存を保証するための緊急かつ死活的な任務だ。(原文へ

※セルジオ・ドゥアルテは、ブラジル大使、国連の軍縮問題元高等代表、核不拡散条約運用検討会議の元議長、国際原子力機関元理事長。ジェニファー・マックビーは、米国科学者連盟上級研究員。

翻訳=INPS Japan

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