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「核への抵抗」を象徴する国連会議

 A Trident missile-armed Vanguard-class ballistic missile submarine leaving its base at HMNB Clyde./ Wikimedia Commons.【ロンドンIDN=サマンサ・セン】

一部で語られてきた「世界新秩序」というものが、今や「世界新無秩序」へと崩壊していく恐れがある。なかでも、新たな懸念は、それを巡って米ロ両国が合意できないものではなく、むしろ合意できる問題なのかもしれない。かつて米ロ首脳はなにかにつけ反対側に立っているとみられていたが、ドナルド・トランプ大統領ウラジーミル・プーチン大統領は、お互いが、反対側から同じ方向を見据えている政治上の「双子」であることに気付いた。こうしたなか、核戦力の強化という問題ほど、この両者の見解の一致が致命的となる領域はないだろう。

米ロ首脳は、自国が保有するあらゆる兵器に肯定的であり、さらなる軍備増強を承認している。また両者とも、自国の核能力の「強化」について論じている。いったい何の目的でどの程度強化するのだろうか? 両国でいったい何度世界を破壊することができるのか。これは恐るべき計算だ。しかし、それを数える必要などない。たった一度の核戦争で十分だからだ。

UN General Assembly approves historic resolution on December 23, 2016. /ICAN国連総会は、トランプ候補の大統領当選以前に、核兵器を禁止する法的拘束力のある合意をまとめるために、3月と6・7月に会議を開くことを決議した。米ロ首脳が核兵器が実際に使用される前に事の真理を理解するだろうと期待している者はほとんどいないだろう。来る国連会議は、この政治的な双子を、その親戚(=他の核兵器国と核抑止を支持する国々)とともに正気への道、すなわち、人類が生き残る道へと引き戻す世界政治を強化する、時宜を得た動きとなるだろう。

この国連会議は、「改宗者」(=核抑止理論をもはや信奉しない国々)の間でのみ合意が交わされる単なる「しゃべり場」と化し、問題となっているその他の人々(=核保有国とその同盟国)が会議場からはるかに離れた所にいるだけのものになるという、冷ややかな見通しも出てきている。核を「持つ者」と「今後持つかもしれない者」がいかにして改心し軍縮に向かうのか? あまりありそうにないことだが、英国について、そのような希望がはたして持てるだろうか? 核軍縮キャンペーン(CND)は明らかにそのように考えているようだ。それは、CNDが単に英国に本拠を置いているという理由からだけではない。英国は米国の核兵器とその兵器システムに歴史的にも最も緊密に結びついている。しかし、英国内における核に対する抵抗は強く、しかも近年一層強まってきている。

Kate Hudson/ Campaign for Nuclear DisarmamentCNDのケイト・ハドソン議長はIDNの取材に対して、「(非核化を訴えている)野党勢力が強い英国が、世界の核兵器体系の鎖において『最も脆弱な部分』であり、もし英国で核政策に変化をもたらすことができれば、他の核保有国にも波及効果があるのではないか、という推測もあります。」「それこそ、私たちが目標として活動していることです。」「核兵器を現在支持している世界の少数の指導者らが、いったいどんなメカニズムで核に関して正気を取り戻すのかは不明ですが、もし人類に将来があるとするならば、彼らはそうせねばなりません。」と語った。

そうしたメカニズムが英国でどう機能するかは不明だが、一つの「脆弱な部分」を指摘することは可能だ。それは、ヴァンガード級原子力潜水艦が配備されているスコットランドである。潜水艦発射弾道ミサイル「トライデント」システムの改修には約3000億ドルが必要とされており、核ミサイルシステムの改修はスコットランド市民の圧倒的多数にとって、危険で高価なうえ、おそらく機能しないとして反対する政治的な意見を民衆の声が後押ししている。

Photograph of a protest against the war in Iraq, taken from Hungerford Bridge, in Embankment London. 15th Febuary 2003./ Simon Rutherford, CC BY 2.0英国の欧州連合(EU)離脱投票を受けてスコットランドが英国から離脱する可能性は、今すぐとはいえないにしても、かなり高いものがある。このことが核兵器の将来に影を投げかけている。伝統に生き、観光客の目からは離れた風光明媚な沿岸の村々は、朝食をとりながら湾の向こうに停泊する核潜水艦を見やるなどという事態を決して歓迎しないだろう。英国市民の圧倒的多数は、その指導者らが見過ごしている正気を見せている。かつて「サダム・フセインの大量破壊兵器?」という民衆に投げかけられた幻影を根拠に(当時の英国政府が)イラクに侵攻した事実を誰も忘れてはいない。100万人がイラク侵攻に反対して「ダウニング街10番地」前を行進し、その中には数十万人の子ども達が含まれていた。そのとき街頭に繰り出した子どもたちは間違っていなかった。間違っていたのは政府だったのである。

子どもたちと民衆は再び、今回は核軍縮に関して正しい判断を下した。ブリストル大学の調査によると、核兵器によって安心感を得ると回答したのはわずか3%であった。このような結果を示す事例は、世界で枚挙に暇がない。

「世界的なトレンドは、冷戦終結以来相当程度に減少してきた核弾頭の数に関しても、国家と市民社会の両レベルにおける意見に関しても、『核兵器反対』にシフトしています。」「非核兵器地帯に参加する国々の数は増えており、今では南半球の全域と北半球の一部をカバーしています。また、数多くの主要な政治家が、核兵器はあまりに危険で保有するに値しないと認識するようになってきています。」と、ハドソン議長は語った。

僅か一握りの指導者が世界の生存に対する拒否権を持ちうるものだろうか? そして今、根本的に道徳的で政治的な問題が国連総会の会議で試練に付されることになる。行動する能力への信頼は、それ自体限定されている。国連安保理は、つまるところ、一部の国による決定権を認めている。この限界の中で、今年7月に核兵器が劇的に禁止されるというわけではないけれども、限定的な可能性は確かに存在する。停滞の20年を経て核軍縮が正式に国際的な議題に上り、それが最終目標地点というわけではないにせよ、もうあと数歩というところまで見えているのである。核兵器に対する圧倒的な民衆の反対は強まっており、核兵器への民衆の抵抗はさらに拡大していく勢いだ。

ICAN「世界的な核兵器禁止条約の確立を止められる世界の指導者は誰もいないが、実際にそれに署名させようとするプロセスは恐らく困難なものになるだろう。」とハドソン議長は語った。その困難とは、一部の指導者に自分たちとその国民にとって何が正しいかを理解させるという点にある。「核軍縮は彼ら自身にとっての利益でもあります。」とハドソン議長は付け加えた。「無用な大量破壊兵器に国の資源をこれ以上浪費することはできないし、自国絶滅の脅威を永続化させることもできません。指導者自身もこの脅威から逃れることなどできないのです。彼らを交渉のテーブルにつかせ、核兵器禁止を支持させることが私たちの仕事です。そしてそれは、事故であれ意図的なものであれ、核兵器が実際に爆発する前に実現しなければなりません。」

この論理は、まずもってトランプ大統領とプーチン大統領の面前で明確に示されることになるだろう。しかし、問題なのはこの2人だけではない。CNDが指摘するように、英国・フランス・イスラエルのような(すべてではないにせよ)その他の核兵器国も核兵器禁止に反対している。一方、北朝鮮はこれを支持し、中国・インド・パキスタンは棄権した。反対したその他の国々は主に、北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国や日本・韓国・オーストラリアのように、米国と軍事同盟を結んでいる国々だ。

UN Headquarters Building/ K.Asagiri of INPS Japan「国連での交渉は、国連総会の圧倒的多数によって支持されてきました。」とハドソン議長は言う。「世界的な核軍縮を望む願望は、数十年にわたって多くの国によって表明されてきましたが、核不拡散条約に体現された国際法に反対するほんの一握りの核保有国によって妨害されてきました。」

国連会議は、この核兵器体系の鎖を一撃の下に叩き斬るということにはならないだろうし、そう懸念する理由もある。しかし、(核兵器禁止という)困難な仕事を考えると、この鎖が「脆弱な部分」で弱められるだけでも意味があるだろう。この鎖の弱体化は、世論の力を通じてのみ成しうるものであり、英国においてのみ起こるものではない。世論の力には既に世界中で圧倒的なものがあり、必ずしも為政者自身が生み出したわけではない政治的決定につながってきた。(核抑止を信奉する)残された一部の指導者たちについても、今や民衆が政策に影響を及ぼすことが可能になっている。来る国連会議は、停滞しがちな外交チャンネルでの諸事を超えて、民衆へのシグナルとなることだろう。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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