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|熊本地震|国際的な災害支援ネットワークの構築が急務(北里敏明元内閣府防災担当審議官)

Toshiaki Kitazato/ Devnet Japan【熊本IDN=北里敏明】

2016年4月14日と4月16日私が住んでいる熊本県を中心に相次いで2回の大きな揺れが襲った。

4月14日は午後21時26分自宅にいると大変な揺れで棚が倒れたりして身の危険を感じた。モーメントマグニチュード(Mw)6.2であった。内陸型地震で,震源は深さ11kmほどの浅いところであった。

2016年熊本地震の震源分布/ As6022014 - File:Topographic northern kyushu.png, 気象庁震度データベース検索, CC 表示-継承 3.0ところが,その15日の夜寝てから16日午前1時26分にMw7.0の本震が襲ってきた。このときはさすがに家の外に飛び出し、それから3日間車の中で過ごした。幸い、家族は全員無事で家屋の被害も軽微なものだった。しかし家の周囲を取り囲んでいた塀は崩壊していた。

今回の地震の特徴は、地震から5日で612回の余震、そのうち震度7が1回、震度6強が3回、震度6弱が3回と強い地震が続けて起きたことと今も余震が続いており、平成28年7月22日現在で1915回にもなっていることである。最初の地震から4ヶ月が経過した今でも住民は不安の中に居る。

また被害は、死者76名、負傷者1957名となっている。建物被害は、住宅で全壊が8299戸、半壊が2万5932戸、一部損壊は12万戸になっている。その被害は、益城町西原村などに集中しており、特に断層に沿って帯状に全壊家屋が広がっている。

さらに避難所帯は、72か所でまだ3940人の人々が避難所に避難している状態である。家を失くした住民に向けて仮設住宅の建設が現在も続けられており、数百名単位での移住が予定されている。

熊本地震で石垣が崩壊した戌亥櫓/ hyolee2 - Own work, CC BY-SA 3.0大変残念なことに、有名な史跡である熊本城阿蘇神社が倒壊し、その再建には3年から20年の年月がかかりそうである。

電力については、当初47万7000戸で停電が起きたが、4月28日までに復旧した。またガスについては最大で10万5000戸が供給停止となったが、月までにすべて復旧している。

また石油については、石油備蓄法に基づく災害時石油供給計画で全国から供給量を確保して5月15日までにおおむね供給を確保した。

さらに水道については、当初44万5857戸が断水となったが、緊急時対応で、全国の水道事業者が協力して緊急給水を確保し、4月30日までには熊本市内は回復し、現在は熊本県全域でほぼ回復している。

しかし、道路は国道57号線が土砂崩れのため阿蘇大橋もろとも一部が流され、南阿蘇へ通じる俵山トンネルのルートも使えなくなり、現在は山を越えていくミルクロードとグリーンロードという二つの迂回路によってしか阿蘇へのアクセスができない状態にある。

鉄道は、新幹線も7日間熊本県内の一部が止まっただけで全線復旧し、在来線もすべて動いているが,阿蘇大橋を使っていた南阿蘇鉄道は一部区間が停止したままである。

熊本県内の45自治体の内、宇土市や益城町、その他で庁舎が全壊となり、災害対応に重要な最初の3日間の初動にも支障をきたした。また、熊本市立病院や立野病院などに代表される354の地域の基幹病院が損壊し、地域医療に大きな支障をきたした。

平成28年熊本地震の地滑りで崩落した阿蘇大橋/ Hideki Kimura - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0農業においては,畜舎など1183件が損壊,家畜の死亡54万頭羽などとともに、地震の断層が動いたことにより農地や農業用施設が損壊し農業ができなくなってしまった農家もたくさんある。

産業においても、地域の重要な地場産業やホテルなどが損壊し、当初支障をきたしていたが徐々に回復しつつある。

警察は、全国の警察から災害派遣隊を送り支援した。また消防では、全国の消防から緊急消防援助隊が派遣され、59,000名が動員されて救命救助の支援を行った。防衛省は、延べ81万4200名の災害派遣を行い、人命救助や生活支援を行った。

また、世界各国から熊本地震に対し多額の義援金が送られている。4月18日以降、在日米軍は、米軍輸送機による救援物資の被災地への輸送などの支援をしてくれたし、4月18日には,韓国政府から支援物資の提供も受けた。

熊本沖に支援物資を満載して停泊する海上自衛艦「ひゅうが」/U.S. Navy, Public Domain以上が今回の熊本地震の被害の実態である。地震災害の対応に経験の多い日本であるが、未だに解決すべき課題は多い。更に大規模な災害となれば物資や人員、資金における海外との連携は避けられないだろう。国家的な大災害に備え、国際的な災害支援ネットワークの構築を進める必要性を改めて痛感した。(原文へ

北里敏明氏は弁護士でDEVNET JAPAN顧問。東京大学法学部卒業、米国ハーバード大学卒業、京都市助役、自治省企画室長、総務省消防庁次長、内閣府防災担当審議官等を歴任、21 世紀防災・危機管理研究所設立。横浜国立大学客員教授、立命館大学非常勤講師、北里柴三郎博士(細菌学)の親族。

この記事はIDNが国際協力評議会並びにDevnet Japanと共同で実施しているメディアプロジェクトの一部。

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